シェア屋敷
第51話
だだ広い平屋のフローリングの、家屋一棟を貸し出された佐藤は、超絶佐藤好みの明里さんに案内されて、棟と棟の間に建っている、やっぱり平屋家屋に在る風呂場で、此処に来てからずっとずっとずっと着ていた洋服を、やっとの事で脱いで温かい浴槽に浸かった。
そう言えばこの小さな棟には、同じ様な間隔で仕切られた部屋があったけど、これって以前諸福さんが言っていた、主人と使用人用の風呂場だろうか?………となると、此処が主人の風呂場とすれば、隣と隣が男子女子風呂という事になる、って事はかなり偉い人の屋敷って事になる?
マジかー!マジで日本人に対する待遇、良すぎないか?
まぁ初心者マークの佐藤と、十数年前に来た宮部を合わせての待遇だけど。
それよりめちゃ恥ずいのが、超絶好みの女房さんの明里さんが、風呂で体を洗ってくれたりする事で、マジでこれはやめて欲しいと思った。だから浴槽に入ったら、申し訳ないけど風呂場から出てもらった。
血気盛んな大学生に、こんなシチュエーションは、拷問としか思えないだろ?えっ?俺って外道っすか?
とか自責の念にかられて出て来れば、明里さんが風呂場の入り口で待っていて、体を拭いてくれたりする。
………マジやめてぇ〜………
「あ、明里さん、自分でしますから………」
タオルより全然薄い布………とか思ったら、なんか浴衣のもっとペラペラぽい物で拭いている。もう!なんだっていいや。取り上げて、さっさと体を拭くと、またまたペラペラな着物を羽織らされた。
………マジかー。宮部も着ているもんなぁ………
温泉場で見た、甚平的なのとは違う服装だ。
なんだかややこしい、着物とはちょっと違う服を着せられて、佐藤はすっきりしたんだか、もやもやしたんだかわからない状態で、宮部の居る寝殿とかいう棟に行くと、諸福さんの所とか根入さんの所で、美味い料理をご馳走になった時みたく、個別のお盆に脚が付いているヤツに、やっぱり小さな皿に小分けされた、料理がいっぱい置かれている。
「やっ、さっぱりしたな」
宮部が言ったが、その脇には綺麗な女性が、カラフルに着物を重ね着して座っている。
「えっ?」
的な顔を向けたんだろうな、宮部は察した様に
「僕の奥さんの、延登子です」
と紹介してくれた。
「ようこそお越しくださいました……」
めちゃ美人だ。
………ってか、宮部さん結婚してたのかぁ?………
思わず口に吐いて、出てしまいそうになった。
確かに年上とは思ったけど、結婚している年には到底見えないからだ。
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