第43話
「あっそうです。それスマホっす」
「先日参った者は、タブレットとヤラを持参しておったが、コレの事を言うておったな………宮部も、初めて見る物であるか?」
帝は、宮部を見て聞いた。
「私の時は、違う形の携帯でございました」
「あっ!ガラケーだ」
「ガ、ガラケー?」
「あー、スマートフォーンが普及すると、ちょっと出遅れた日本独自のフィーチャーフォンを、ガラパゴス諸島の生物になぞらえて、ガラパゴスケータイ………ガラケーと言ったんす」
「ガラパゴス………」
呆気に取られる宮部に、帝は可笑しそうに佐藤を見る。
「兄国は此処同様、独自の物を作るが長けておるようだ」
帝がスマホを手に取ると、スマホは明かりを煌々と付けた。そして宮部と佐藤が唖然としている内に、帝はスマホを開いて中を見た。
「えっ?ここって通じるんすか?」
「さて?朕以外で、できるか否かは分からぬな?」
「………すげぇ………」
さすが異世界の王様だ。
ん?いや待て、異世界では転生したり、召喚されたりした人間の方が優れているんじゃないのか?
どうも偏った異世界物が好きだったのか、どうしてもソッチに拘りを見せずにいられない佐藤だ。
「コレは面白いな。タブレットと、同じであるな………」
「まぁ……携帯する端末機すから………」
「ほう?」
「スマホとパソコンの間に位置するのが、タブレット?さっきのガラケーよりパソコンに近いのがスマホで、手軽く簡単に持ち運べるのが便利す」
「ほう?」
「最近ではコレ一つで、支払いとかもできます」
「ふむ……実に面白いな………」
「………と言っても、電気ないと使えないっす……」
「………なるほど、電気なる物は無いな。此処にはそういった物は無い………が、似通った役割を果たす物はある」
「あ!燭台とか言うヤツ。それだけじゃなぁ……アレそんなに明るくなかったし………」
佐藤が呟く。
「ふっ。暗くなれば暗く、明るくなれば明るく………さほどに、明るく致す事もあるまい?この星の外から見ると、暗黒の宇宙で、光り輝いておるとか?」
地獄耳らしい帝は、呟く声さえ聞き漏らさない様だ。
………異世界王最強………佐藤感嘆。
「確かにそれはそうすが………えっ?そんな事迄ご存知で?」
「何を………常識である。この星の周りには、無数のゴミが浮かんでおるとか?」
「ゴミすか?衛星じゃなくて?」
「さても、其を兄国の様な国々はそう呼び、我らの様なものは〝ゴミ〟と呼ぶのだ………だが私は、ゴミが嫌いではない」
帝は屈託なく笑って、渋面の宮部と佐藤を見た。
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