第40話

「ここは?」


「この建物は、儀式とかに使うんだ」


「儀式?」


「宮中は、儀式の多い所だからね。特に、神々に捧げるものが多いんだ」


「あーーー神様が多いから?」


「そうかもな………」


 宮部は、可笑しそうに言った。


「他に何か質問とかは?」


「質問すか?ああ!根入さん達は?」


「後から来るよ」


 宮部がそう言った時、幾つ目かの門の前に立った。

 宮中って物凄く広くて、平屋なのに高くて大きくて立派な建物が沢山建っていて、そして門もいっぱい通る所だ。そこに立っている門番さん、本当にご苦労様……って気持ちになった。


「此処から内裏って言って、今上帝の私的な居所だ」


「今上帝の私的な居所って、プライベートルームっすか?」


「あーーーそんな感じ?……ん……ちょっと違うけど、まぁ……」


 とか言って、説明しにくそう。

 宮部は、何ヶ所かの門番に見せた様に、何かを見せると門番は頭を下げた。


「久々の〝客人様〟だからね、えらく楽しみにしておいでなんだ」


「誰がっすか?」


「今上帝……帝が佐藤君に逢うのを、物凄く楽しみにしているんだ」


 門の中に入ると、またまた大きな平屋がドーンと建っている。

 平屋平屋といっているが、佐藤の知っている平屋とは違って、かなり大きくて高い作りの建物だから、そんじょそこらの一般平屋家屋とは全然違う。

 そんなのがデーンという感じで、幾つも建っているんだから、狭い日本の国の一庶民である佐藤には、余りに凄すぎてその凄さを現実化できない。

 まぁ……所詮異世界……今の佐藤には、夢みたいなもんだ。

 なんとはなく、宮部に促されて……というよりも、くっ付いて歩いている内に、なんかの建物の中に入っていた。

 凄っごい太くて丸い柱が何本もある、それは大きな建物だ……平屋だけど。

 そんな平屋の廊下を歩くと、キュッキュッと音がする。

 これって、軋んでるってゆーヤツ?とか思っていると


「日本の有名な建物でさ、床を歩くと鳴るとかあるじゃん?」


 宮部が聞いた。


「あーーー何とか張り?」


「そうそう。それにあやかって、前の帝が張り替えさせたんだそうだ」


「この廊下をすか?」


「あーうん。此処じゃ、廊下じゃなくて、廊って言うんだけどね」


「でもアレって、何とか返しとか言って、侵入者を知らせる工夫とか言われてたけど、そうじゃない説が出てんすよ」


「プッ。只の老朽化?」


 宮部は、それは可笑しそうに笑う。


「………それを習って、張り替えさせたなんて、此処の技術って凄くないか?」


「言われてみれば………」


 思わず二人は、吹き出した。


「歴史なんて、案外とそんなもんかもな」

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