第33話

「今の帝は、青龍を抱いていると言われている」


「青龍っすか?」


 ………うおー、来た来た!………


「青龍は力を欲する神獣で、強大なる力を保持しているという」


 ………コレコレ………


「だから今のこの国は、独裁的だ」


「へっ?」


「………とは言っても、強大な力を保持していると言われている、大地の大神がかつて、兄国である日本において、八百万の神々によって、幽閉される様な事があって………まっそれで、この国を造って此処に引きこもった感が、無きしも非ずなんだけど……」


「えっ?メンタル弱っ!」


「あーーー日本の神々はいっぱいいるからさ、神々の協議で決まる処があって、そんな処は此処も同じなんだよ。此処にも沢山の神々が居て、協議で決まる………そんな慣いが、政治的な分野にも影響を受けてるから、独裁政権程にはならないんだけど、それでも青龍を抱ける帝の時代は、帝の発言力がデカイんだ」


「……なるほど」


「………でその帝が、少しずつだが近代化というものに、興味を示していてね」


「近代化っすか?車も耕運機も無いのに?」


「いやいや……車もだが、耕運機よりも此処じゃ牛や馬の方が、無機質な機械より全然効率がいいんだ。さっきも言ったけど、沢山の神々が此処には居て、その神々は自然界のいろいろな物に存在してる。かつては日本にも存在していたが、此処ほどに顕著に存在してはいなかった。だが此処はガチでそれらが存在する。だから牛にも馬にも神が居て、その神が手助けをしてくれる。その比は耕運機なんて物じゃ無いし、牛や馬が排泄する物は、即座に肥料となる様になっているんだが、そういった事などは、今上帝になってからの進歩が大きい」


「あの最強微生物っすか?」


「ああ……ああいった利用や、近代国家に引けを取らない、合理的な衛生管理なども、目を見張る物があるよ。つまりこの国特有の、生き物達による共生の強化は、やはり力のある者だからできる事だろうね」


 宮部は窓外に目を向ける、佐藤を見ながら言う。


「魑魅魍魎や鬼や妖の事とかも聞いた?」


「ああ、大神様が在わすから、そういったもの達にも護られているとか?」


「はは………よくこの国の人は、そういった言い方をするんだが……結局今は青龍を抱ける帝の治世だから、そういったもの達も、力加減で服従している感じだ。神獣を抱けると言っても、代々の帝が抱ける物でも無いらしいし、神獣にはそれぞれ特性があるらしいからね………ただ一つ言える事は、大神の血を流す帝は、大神に護られているという事だ」

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