第15話
という事で、佐藤は馬に乗れないので、此処の乗り物であるらしい、牛車に乗ってトロトロと都に行く事になった。
一緒に行くのは、根入さんとなぜか諸福さんも一緒だ。
それと例の馬に乗った男達が数人と、数名の使用人が徒歩で付いて来る。
「………あのぉ、牛に引かせるのではなく、馬に引かせたらどうです?」
馬車は海外の王家が乗ったりしてるのを、テレビで見た事があるし、日本でもそんなのあった様な?なかった様な?
「あーーー。馬は気性が荒いですから……その点牛は穏やかで………」
「えっ?そうなんすか?闘牛とかあるから、牛の方が乱暴そうだけどなぁ」
「………とは申しましても、途中から馬に乗り換えて頂きます」
「えーーー乗れるけど、進みませんよぉ〜」
異世界スキルアップが得られず、意気消沈の佐藤が言った。
「使用人に引かせましょう………なら、いけそうでしょう?」
「いけます」
ちょっと、嬉しそうな佐藤である。
「今は、紅葉が見頃でござますなぁ」
ガタゴトガタゴトと、目一杯歩いたら佐藤の方が速そうな、そんな牛車から外を見ると、黄金の稲穂の海が広がる光景は物凄く綺麗で、その先で農家の人達が汗を拭き拭き仕事をしている、その姿はとても美しいな………と佐藤は思って、キュンと胸の奥がした様に思えた。
「沢山の神々様が護ってくれるから、実りの多い国だって言ってたじゃないっすか?飢饉とか食料不足なんてないんすか?」
なんだか、とても幸せそうにしている、農家さん達を見ていて佐藤は聞いた。
海外と貿易とかしなくて、本当に自国だけで供給できるものなのだろうか?
だけどあんなにのんびり、楽しそうに仕事をしている姿を見ると、本当にそんな事が出来るのか、満たされているのか不思議に思ってしまった。
「食料に関しては、全く懸念はございません。大地の大神様のご指示により、作物を育てるに適量の雨が降りますし、麦も米も上等品が収穫できます。山や川や海の幸も、神々の恩恵により不自由する事もございません」
「舶来物は、確かに貴重品でございますが、我々が手に入れてならぬ決まりはございませんが、品質的には此処の物に勝る物はございませぬ」
と言って佐藤が着ている、ちょっと汚くなった洋服の生地を見つめる。
「申し訳ございませぬが、こちらにお着きのまま参内せねばならず、着替えをして頂けませず……暫しご辛抱くださいませ」
「マニュアルっすか?」
「作用でござます」
とか言いながら、変わり映えしない景色を見ながら、たわいもない話しをしていると、何だか今迄とは違う町並みになって来た。
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