第11話
さて翌日フローリングの薄べったい布団で、佐藤は目が覚めた。
一応薄い掛け布団を掛けてくれているが、佐藤の知っている夏掛けの様にペラペラだが、今は夏なのだろうか?全然寒く無かった。
まぁ、あれだけ飲んだのだから、寒いか暑いかなんか覚えていないが、風邪も引いてないし大丈夫なのだろう。
「お目覚めでございますな?」
根入さんが、メイドと一緒にやって来た。
見るとメイド達は、洗面器やらタオルやらを持って来ている様だ。
一人のメイドが、木製の洗面器を差し出したので、ジッと覗いていると
「お顔を………」
と言った。
「顔………ですか?」
「洗うんですよ」
根入さんが笑って言う。
「?????」
言われた通り、手を洗面器に入れると、程よく温かいお湯だった。
物凄く遠慮とぎこちなさを表して、こじんまりと顔を洗うと、今度は違うメイドがタオルより、全然薄い布を手渡してくれたから、それを使って顔を拭いた。そうこうしていたら、さっきのメイドが、今度は木製の歯ブラシを手渡した。流れ的に歯ブラシをすると、またまた違うメイドが、椀を手渡すから覗くと水が入っている。それを口に含むと、今度は壷を口元に持って来る。ペッしていいの?的に目で聞くと、なんとメイドは笑って頷いたから、そこに二度程吐き出した。
すると一連の道具を持って、一人のメイドが下がると、残ったメイドがまた何やら持ったまま佇んでいる。
「お髪を………」
と言って、メイドは佐藤の頭を凝視した。
「あーーーブラシもらったら、自分でやりますから………」
「そうだなぁ……結い直す事は無さげだ」
根入さんは、またまた笑って言った。
「………それより根入さん。トイレどこでしたっけ?」
昨日何度か行ったが、酔っ払い始めてしまっているから、判然と覚えていない佐藤が聞いた。
「………ならば此方へ………」
メイドは、物凄く真顔で言って佐藤を促した。
平屋だが、かなり広い根入さんの家は、廊下の脇にフローリングの部屋が、幾つもある感じだが、その部屋がドアで仕切られている感じではなく、日本でよく見る襖とか障子とかでもなく、ちょっと重い木製の戸みたいなものが、引き戸の様になった感じで仕切られている。
家のずっと奥に、和式な感じのトイレがあった。その脇には、風呂場だろうか?佐藤がしみじみ見ていると、メイドは頭を下げて行ってしまった。
ああ、そうだった。
昨夜は諸福さんが一緒に来て、風呂場とトイレは、屋敷の奥にある様に見えるのだが、実は屋敷とは別棟に作られていると言っていた。
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