第7話
「にほん?
とか言って、根入さんは笑った。
………どうやら日本人は、凄く喜ばれる存在らしい。
まっ日本人は何処の国に旅行しても、歓迎される国民ではあるらしいけど。
………とはいっても、帝が呼んだってなんだろう?
………召喚ってヤツかぁ?召喚された方?異世界に?……って、能力が途轍もなく上がってるってヤツ?マジか………
とか妄想していると、やっぱり諸福さんの所の女子……メイドさんか?格好はメイド服じゃないけど、髪の毛を頭の上に団子結びした感じの、ちょっと可愛い髪型をして諸福さんの所より、やっぱり質の良い生地の服を着て、脚の付いた盆を手にして静々とやって来て、丸い座布団に座る佐藤と諸福さんの前に置いて行く。
「体調はいかがですか?」
「あー大丈夫です」
佐藤が言うと
「鮑粥を、五杯もお召し上がりとなりました」
諸福さんは、指を大きく広げて言う。
「五杯?」
「それも我が家の老女が差し出す、アノ椀にでございます」
「おお!諸福の所の、アノ椀か?」
根入さんも、アノ椀を知っているようで驚嘆の声を上げた。
「………実に美味かったもので………」
「………ならば、大事はございませんな?一両日には、都に向けて発ちとうございますが、差し支えはございませんか?」
根入さんは、平べったい畳に座ったまま、ちょっと身を乗り出して聞いた。
「大事ないかと存じます」
佐藤の代わりに、諸福さんが真顔を作って言った。
「………都迄って、どの位掛かるんすか?」
「はてさて………私が此処へ参るのに、如何程かかったか?」
「客人でもございますし、やはり物見雄山を兼ねて………」
「さようだな?ゆっくりこの国を堪能して頂きながら、参ると致すか?」
根入さんは、上機嫌で言った。
「大概帝がお呼びとなられた客人は、お側に置かれる事が多いと聞き及びます。したらば宮仕えともなれば、容易く旅を致す事も叶わぬかもしれませぬ」
「………とは申せ、昨今におきましては、旅の仕様も端的となりましたゆえ………」
「………とは申されても、此方迄の旅は、なかなかならんだろう?」
「いやいや、昨今の時代の流れを、気にお留めの帝でございますぞ?」
「ふむ……今上帝になられてから、客人のお呼びも多くなっておるとか………何せマニュアルが、できる程でございますからな」
「
諸福さんと根入さんが納得し合っている様だが、全然佐藤には理解できない。
ただどうやら帝という人が、日本人を召喚しているらしい。
それも、マニュアルが必要な程の数?
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