第2話

 ………聖徳太子の時代って何時だっけ?………


 何せ学校の授業に出て来たって、そうそう興味がある人間じゃなきゃ、日本の歴史の諸々なんて、そんなに覚えているもんじゃない。

 第一年号とか、何とかの変とか、何とかの乱とか、何とか事変なんて事件の名前とか、主要人物名とか、何がどうなってどうした事とか、そんな事を教科書上で覚えてるから、何時代に何を着ていたとかの、ファッションなんか分かる訳が無い。

 聖徳太子は飛鳥時代だが、それならここは飛鳥時代という事だろうか?

 飛鳥時代って……かなり昔だぞ?とかしか分からんし。


「今、鮑粥をお持ち致しますので……」


 愛想の好い郡司は、にこにこしながら、とても平べったい布団?の側にやって来て言った。


「あのぉ……今は飛鳥時代ですか?」


「飛鳥時代?」


「あーーー。ここは日本ですかねぇ?」


「おお!やはり。日本ひのもとより、お越しでございましたか?」


「ひのもと?」


「いやぁ………その服装ゆえ………もしかしたら?と思うておりましたが……其方方そちらかたの方々は、似通っておられますからなぁ………とは申せ、帝がお呼びになさるは、やはり日本ひのもとの方と思いましてな」


「そちらかたの方々?」


 郡司は、こくこくと大きく頷いて


「………今は………中国と称される様になりましたか?大国……朝鮮……否々、二つに分かれて韓国と北朝鮮と称される様になりましたか?」


 とか言った。


「あーーーー」


 見分けが付かないって事か?まっ、日本人も中国人も韓国人も、話しをしなけりゃ区別はつかないか………?


の国の方々は、偶に辿り着く事がございます……まぁ、異国の方々は宮中におかれましては、殊の外お喜びとなられますゆえ………」


 郡司はへへへ……と笑う。


「あの………っと言う事は、ここは日本ではないんですか?」


「はい。ここは、日本ひのもととは別の所でございます」


「あーーー」


 どうやら日本では無い様だが………日本語って、日本以外でも使っていたっけか?


「俺……私は佐藤光輝と言います。日本人です」


 日本人に見えるし日本語も通じるのに、日本じゃないと言われたら、どうしてこんな挨拶になるんだ?自分で言っておいて、ちょっと恥ずくなる。


「おお!日本の佐藤様ですな?私は伊豆津国いずつのくにの郡司、諸福もろふと申します」


「いずつのくにのもろふさんっすか」


「さようでございます」


 諸福さんは、物凄く丁寧に頭を下げて言った。


「……いずつくに?日本語ぽい名前っすね」


 ………てか、そんな国在ったんだ?………


「はい……遠国とおのくにではございますが……大国の一つでございます」


「へっ?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る