覚さんの懺悔
「――俺。ずっと、洋平のことが好きだった」
覚は思い出していた。中三の卒業式の日、告白してきた親友のことを。
「冗談、だよな?」
冗談だなんて、覚は思っていなかった。どう考えても、このタイミングで言ってくるなんて本気だとしか思えないから。なのに、冗談だと言ってほしかった。どうせ違う高校になるから、なかったことにしてしまえばいい――そんな風に、彼の必死の告白を軽く受け取っていた。
今でも、忘れられない。冗談だよな、と言って笑った後のあいつの顔を。
なんで、あんなことを言ってしまったのだろう。嫌われるかもしれない、罵られるかもしれない。けれど気持ちは信じてくれると思って必死に勇気を振り絞って言ったのだろう。なのに、自分は信じることもせず、受け止めることもせずに、なかったことにしようとした。
もう、あんなことはしない。今、目の前にいる一織という青年も彼と同じように苦しんで、葛藤してきたのだろう。吐き出すことのできない気持ちをどうすればいいのか分からないのだろう。もう、あんな思いは誰にもしてほしくない。だったら自分にできること、それは――。
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