第5話 私とヒネ

私はタトの言われたとおりに、一人でこの建物から出て山道を真っ直ぐに下っている。

タトは、建物の中にある死体をすべて処理しなければならないという理由で、一緒には下っていない。

森は、夜なこともあり暗く、なにか嫌な雰囲気を漂わせていた。

山道の土は少し滑りやすく、道中少しコケてしまったことがあった。

っっと、いきなり光がこちらを照らしてきた。

懐中電灯で照らされている。その先にいる人物は...

紺色の服を着た...警察だった。


―――――――

「あとさ、」

山道を降ろうとしようとする時、タトに呼び止められた。

「なんですか?」

「多分、いるから。気をつけて。」

「ひね...ですか?」

私がとぼけたように聞くと、タトは近づいて耳元で囁いた。

「警察。」

そういうと離れていってニコッとしながら拳銃を渡してきた。

「ちゃんとリロードしたからね。安心して。」

「あぁ、はい...」

「もしもヒネがいたら...撃つこと。いいね?」

  

 ...はい

――――――


「ちょっとそこの君っ!何をしてるんだこんなところで!!」

ライトを照らされ、私は声をかけられる。

...警察の右手は右腰あたりに当てられている。そこには拳銃が入っている。

明らかに身バレしているのだろう。普通の市民に警察は拳銃を向けない。

私は素早く拳銃を取り、

「ドンッ!!」

警察に向けて撃った。だが、私はそんなになれていない。

しかも元気に動いている人間に当てることは困難である。

射的がうまいわけでもない私は、一発目は外れてしまった。

「ドドドンッ!!!」


警察官は、眠りについた。

周りには赤いカーペットが広がっていく。

周りの草木も染まっていった。


「お、君か?」

警察官を見つけていると後ろから声がした。私はとっさに振り向き拳銃を構えた。

「ちょちょちょ!まってまって!」

そこにいたのは、ツインテールにくくられた茶色の髪を持つ、制服のようなものを着た女の子がいた。

「あなたが...タトさんが言っていた...リヌさん...?」

そう私が言うと、その女の子の焦っていた顔はキリッとした。

「人前で名前、出さないでね。絶対。私しかいないからいいけど...今度は許さないからね」

女の子は、どこからか出したのかわからないスタンガンを、こちらに向けて警告してきた。

「わ、わかりました...」

私はゆっくりと銃をおろした。その女の子、リヌもスタンガンを直しニコッとした。

「ま、あんたが間違ってはいないということはわかったからよかった。

じゃ、改めて自己紹介。私はコードネーム[リヌ]よろしくねっ!」

そういうとリヌは手を伸ばしてきた。

「...よろしく...」

私はその小柄な手を...取った。

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