第4話 仕事

「どうだい!Dr.ドクターガリアの特製爆弾っ!!」

爆破したドアの向こうには黒い景色が広がっていた。上側にはキラキラと煌くかがやく何かがあった。

私がそれを夜空だと理解するのに時間は必要としなかった。

「よしっ...」

タトは顔を真っ赤にしている。さっきの言動(どうだい! 〜 爆弾っ!!)が恥ずかしかったんだろう。

「どくたーがりあ...ってなんですか?」

少し気になっていたことを聞いてみた。タトの友達のことなのだろうか?

「あーっとねぇ...うーん...」

その質問を聞いたタトは、言葉を濁らせて 考えている。言いにくいことなのだろうか?

「いえ、言いにくいことなら!」

「いや、言いにくくはないんだよね〜...」

言いにくいことはないらしい。じゃあなんで言葉を濁らせたのだろうか?

「まぁ、いいや。どうせ教える。」

こちらを向いていたタトの顔は、ドアの外に移った。

「此処から先は、危ないから。ほら 拳銃」

そう言うと拳銃をこちらの方へ投げてきた。

M1913ザウアーだよ。遠慮なく人に撃ってね。」

座り込んでいる私に渡された小型拳銃は「ザウアー」と言うらしい。少しのようなものがついている。

「え?!待ってください?!『遠慮なく人に撃って』?! そんなのできな」

拳銃の方に気を取られていたが、「遠慮なく人に撃って」というのがだいぶ異常だ。

それは、自分に「拳銃を使え人殺し しろ」ということになる。


「大丈夫だよwあんたとアタシは鉄砲玉殺し屋なんだから。」

酔っぱらいのように 笑いながら言う。


凜花は心の中、とてつもなく怒っていた。

自分の将来を勝手に決められている気がしたから。

自分が刑務所に入れさせようとしていると思っていたから。

幸いなことに、まだ凜花は拳銃に触れていない。

しかも、今なら自分は被害者だけにから。


私はいきなり立って

「そんな事できませんッ!!!」

きっぱりと断った。

「あーららー」

タトは何やら余裕のようだ。余裕な表情で続けた。

「えー でもねー 明日、あなたは警察に捕まるよ。明日『能力スキル』を発動できるようになるからね。明日終わっちゃうんだから、どうせなら私達と来ようよ。」

「決めつけないでください!!」

「決めつけじゃないよ。」

私の意見に適当に答えるタト。わたしはだんだん冷静を取り戻してきた。

「あーのね。あなたをあの男から助けたのも、じゃないんだよ。にするためにやったので...」

「私をするために助けたんですか?」

そういうと場は静まり返った。タトも何も言えないような表情でこちらを見ている。

その時...!


ドドドドドドドドドド


何か大きな物が連続で落ちているような、大きな音が 爆破したドアの向こう側から聞こえてきた。

「後ろに逃げて!!!」

タトは獣のような表情で私に呼びかける。

私の後ろには奥に一直線に続いている通路がある。タトの後ろも同じだ。


私は...

後ろ側へ全速力で逃げた。

タトも同じように逃げた。

――――――――

「ハァ...ハァ...」

その通路はとても長かった。拳銃を使えばよかったが、まだ使っていない。

なぜなら...

拳銃が打てないからだ。

詳細に言うと、トリガーのところを押しているのにたまが発泡されない。(チャンバーに弾が装填されて射撃可能な状態じゃないからである。)


私の方に追いかけてきている敵は全部で2人。男だ。

タトの方は3人。それもすべて男。


追いつかれたときに打とうとして打てなかった時、その拳銃を鈍器代わりにして、一人重症を負わせた。

だが、女の子一人が男2人に勝てるはずはない。


いずれ凜花も男たちに...


コツコツコツコツ....

何か、足音が近づいてくる音がする。

「わっ!」

隣りからタトの声が聞こえ、私は腰を抜かしてしまった。

「え、ええ、なんで、いるんですか...?」

小声で静かに問う私を少し笑いながらタトは答える。

「これが私の能力スキルだよ。瞬間移動。」

「おぉー!!」

「一時間に一回だけどね」

「めっちゃ弱いじゃないですか。」

「そういうのがこの世界の能力スキルだからね。」

コソコソ喋っているうちに敵も私達の場所に気づいたらしい。

何か荒い息と大きな足音が2つ、こっちに近づいてきていた。

私は体制を立て直し、男たちが現れるまで待っていた。

ちなみにだが、私はどうやったら打てるかをもう教えてもらっている。


「ここかああああ!!!!!」

男がバールのようなものをこちらに振り落としてきた。

それと同時に


ドンッ!


鋭い音がなった。

男は後ろに倒れ込んだ。男の後ろにいたもうひとりの男は腰を抜かしていた。

「や、やめっ、ころさ、ころさないでっ...!」

必死に訴えかける男なんか見ずに二回目の音がなる。


ドンッ!


二人が死んだことを確認すると、私に安心感がどっと流れてきた。

「ほら。適任だった。凜花ちゃん。 これで私達と一緒。」


仕事をもらう側になったよ。

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