第2話 サクイショバ (2)

ト゛ン゛ッッ!!!


大きな音が響く。その直後

「うわぁあっ...!」


拳銃を渡しに抜けていた男が倒れ込む。混乱した。私に撃ったはずなのに男が倒れている。男は脳を一発、撃ち抜かれていた。

コンクリートには赤色の絨毯が広がっていく。

椅子に固定された私はただひたすらにを見つめるしかなかった。

「よ〜し!無傷だねぇ〜」

後ろから声がする。女の人の声のように聞こえる。その声の主は段々と後ろからカツカツという音を立て、近づいてくる。

いよいよ私の前に現れたその人は、

「あっ...」

この倒れ込んでいる男が見せた写真に写っていた女の人に見えた。

手には拳銃を持っている。何やらニコニコしながらこちらを見ていった。

「あなたが、大学生の宮下凜花みやした りんかちゃんかな?あってる?」

刑事さんのようにその人は私に聞いてきた。私の名前を知っているということにドキリとしながらも、私はゆっくりとうなずいた。

「なんで私の名前を...」

そう聞くと、その人は はっとして話し始めた。

「君にちょっと用があってね。ダチがドヤで待ってるから 行こっか。」

私はそう言われてぽかんとしていた。前半の意味はわかったが後半からは何を言っているのか わからなかったからだ。「ダチ」は何となく分かる。おそらく友達のことである。けど「ドヤ」というのがわからなかった。ドヤ顔の「ドヤ」か?と考えたがそんな事今言うはずない。

「あ〜っと?大丈夫かな??」

「あ!ごめんなさい!」

顔を真っ赤にして答える私。考えすぎて目の前の人の話を聞いていなかった。

「とりあえずロープ切るね。」

その人はポケットからハサミのようなものを出し、椅子に縛られていたロープをそれで切った。私はその椅子から開放された。すかさず私は立って

「ありがとうございます」

頭を下げて礼を言う。その人は「いえいえ」と言いながら後退りしている。

「とりあえず君を連れていくから。後ろについてきてね。」

いきなりシャキッとしてその人が言う。手には拳銃を持って。

「はい。」

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