第2話 サクイショバ

 ギギギギギ....

 金属どうしが擦れるような、嫌な音で目が覚める。

 目を開ける。コンクリートで作られた2畳くらいの部屋で、目の前には木で作られた机の上にコップが置いてあり、それ以外には何もない部屋。目の前には窓のない扉。

 椅子に固定された私は、何もできないままあたりを見回していた。

 少し立ったあと、突如に男が一人、入ってきた。私が駅で見たビジネスシューズを履いていた。30代くらいの男性に見える。黒いスーツを身にまとい、目の前のドアから入ってきた。

「あなた...誰?何するつもり?」

 問いかけてみた。男が私に何をするのかがわからないから、慎重に。

 男は何も言わずに下を向いていたかと思うと、いきなりポケットに手を突っ込み、一枚の写真を私に突き出して言った。

「この写真の人 わかるか?」

 突き出された写真には、外国人のようなきれいな白い肌にポニーテールにくくられた黒の髪を持っている、白い半袖のシャツを着ている女性が写っていた。その人は街を歩いているところを盗撮されたような角度で撮られている。

 だが、私の知っている人にはこのような人はいない。だからといって正直に答えてもいいのだろうか。

「えっと...」

 私がそう言うと男は少し機嫌を悪くしたような目でこちらを睨んできた。

「はやく!2もやらねぇといけねぇんだ!」

 残り二人…

 私はそれを聞いてゾッとした。一番最初に尋問をやっていているのは私であり、その次に一緒にカフェに行こうとしていた友達が尋問をされるということなのである。それは私が言ったって続く。私が言っても言わなくてもこの人にとっていらないものになれば、おそらく私に待っているのは...

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「全く知らないです。」

 もういいや。どうにもならない。

「あーあ、やっと吐いたよ。なら...」

カチャッ。

静かな空気に1つ。黒い音が一つなる。

あぁ。終わりなんだな。

さようなら。

お母さん。お父さん。


ト゛ン゛ッッ!!!

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