第25話 ご褒美タイム

 ハイスペックカップルのご指導の甲斐あって、


「「やった~!」」


 俺と育実ちゃんは、無事に中間テストを乗り切った。


 ちゃんと、あの2人にお礼を言いたいけど。


 クラス内で俺たちが話しかけると、ちょっと面倒だから。


 あとで、メッセでお礼をしておけば良いだろう。


 そして、放課後……


「育実ちゃん、育実ちゃん」


「はーい?」


「中間テストも終わったし、今日は遊ぼうよ~!」


「良いよ~! 何して遊ぶの?」


「えっとね~……そうだ、CMごっこなんてどう?」


「CMぅ~?」


「うん、育実ちゃんが主演で」


「え~、何それ~。絶対、エッチなこと考えているでしょ~?」


「いや、そんなことは……とりあえず、寝転んでくれない」


「ほら、エッチだ」


「いや、大丈夫だから。寝転ぶと言っても、片手で頭を支えるポーズで」


「こう?」


「おお……これは想像以上に……エロい」


「おい、スケベくん」


「いや、ごめん。でも、仕方ないんだ。育実ちゃんの、ワガママボディがすごすぎて」


「ワガママなのはよっくんの方でしょうが」


「やっぱり、ぽっちゃり女子が一丁前にグラビアっぽいポーズすると、小生意気で可愛いね」


「おい、殴られたいの?」


「やめてくれ、育実ちゃんが俺よりもパワフルだって、知っているから」


「うん、そうだね。よっくんは、ヒョロガリだもんね」


「くっ……」


「まあ、エッチはパワフルだけど」


「ふっ」


「ドヤ顔で草」


「ていうか、今は俺じゃなくて、育実ちゃんだよ」


「で、ここからどうすれば良いの?」


「セリフをお願いします」


「何て言えば良いの?」


「ぽっちゃり女子は、お好きですか?……はい」


「ぽっちゃり女子は、お好きですか?」


「こっからは俺のナレで……理想のぽっちゃり女子とマッチングしちゃう? 極上のマシュマロボディに溺れろ、男子諸君!」


「草ぁ」


「今のは婚活というか、マッチングアプリのCMです」


「将来、起業でもするつもり?」


「いや、ただの遊びだよ。あと、もう1つ良い?」


「うん、良いけど……」


「次は、食べ物系です」


「はよっ、はよっ!」


「ふふふ、食いしん坊め……ちょっと待ちなさい」


 俺はダッシュで階段を下りて、冷蔵庫から目当てのブツを取り出し、ダッシュで舞い戻る。


「おまた」


「そ、それは……」


「ハムです」


「ブヒッ……って、誰がブタやねん♪」


「育実ちゃん、ツッコミにキレがないぞ♪」


「ねえねえ、それくれるの?」


「うん、じゃあ持って」


「はぁ、はぁ……」


「まだ食べないでね」


「はぁ、はぁ……」


「じゃあ、またセリフをお願いします」


「うぃ」


「……あ、これダメだ」


「どしたん?」


「いや、ちょっと頭の中の悪魔がヤバいワードを……」


「言ってみ? どうせ、2人きりだし」


「うん……生のままでも美味しいよ……って」


「いや、これ生ハムじゃないから。ちゃんと加工されているし」


「思わぬツッコミ! さすが、食いしん坊!」


「うるさい!」


 ベシッ!


「……クソ、こんなことなら、生ハムを用意しておくべきだった」


「ふふん、残念だったわね~♪」


「じゃあ、もう良いから、普通に食べてよ」


「えっ、良いの? いただきまーす♪」


 育実ちゃんは、笑顔でハムを食べる。


「おかわり」


「もうかよ」


「だって、1枚しかないし」


「じゃあ、もう面倒だから、これぜんぶあげるよ」


 俺は20枚くらい重なった状態で渡す。


「まじぃ!?」


 育実ちゃんは目を輝かせる。


 ていうか、俺のソーセージを見た時よりも、目が輝いていないか?


 クッソほどジェラシーなんだが……


「はむっ、はむっ、はむっ」


「あ、ハムだけにね」


「うるひゃい」


 クソ、ムカつくけど、可愛いなこのブタちゃん。


 あ、ブタって言っちゃった。


 まあ、胸の内だから、良いか。


 それに、決して侮辱した訳じゃないし。


「はむっ、はむっ……ゴクリ」


「はやっ」


「……みんなも、この食べ方、真似してね♪」


「しねーよ」


 ぽよん。


「やんっ♡ ちょっと、セクハラだよ!」


「お、お腹だし、セーフだろ?」


「いや、普通にアウトだから。何なら、今のご時世、視線だけでアウトだから」


「じゃあ、俺はどれだけの罪を重ねて来たんだ……」


「本当だよ。よっくん、付き合う前からずっと、わたしのおっぱいとか凝視していたし」


「うっ……だって、仕方ないじゃないか。育実ちゃんのカラダが、ヤバすぎるから……」


「全く、こんなお肉まみれのわたしの、どこが良いんだか」


「全てだよ、育実ちゃん」


「よっくん……」


 おちゃらけムードから一転、2人して真剣に見つめ合う。


 そっと、キスをした。


「……ねえ、ハム臭くない?」


「ああ、ちょっと臭うかも」


「おい」


「でも、最高だよ、育実ちゃん」


「何それ、バカ……」


 ちゅっ、ちゅっ、とキスをしつつ、彼女をベッドに押し倒す。


「ねえ、このままだと……エッチなCMになっちゃうよ?」


「それもまた、良いんじゃないかな?」


「もう、バカ……」


「ていうか、せっかくだし……さっきみたいに、カメラ回しても良い?」


「え、それって……ハ◯撮りってやつ?」


「う、うん……やっぱり、ちょっと引いちゃう?」


「まあ、そうだね」


「ガーン!?」


「でもまあ、よっくんだし……仕方ないかなって」


「育実ちゃん……さすが、器も何もかも、大きいよ」


「誰がデブやねん!」


 ベシッ!


「おふっ……みなぎって来たよ」


「ドMか」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る