お前らがクラスのアイドルに注目している間に、実は可愛くて豊満ボディな子をこっそり攻略していたわｗｗｗ

第１５話 育実視点⑧

　今のわたしは、肉のかたまりだ。

　いや、それだとちょっと、表現がエグいか。

　じゃあ、可愛いマシュマロちゃんってことで。

　とにかく、ベッドの上で、ちょっとだけ自慢な大きな胸を上下させている。

　あれ、彼のお顔が見えないなぁ。

「はぁ、はぁ……」

　なおも吐息を弾ませていると、ようやく彼が顔を見せてくれた。

　けど、何ていうか……

「……最低だよ、峰くん」

「た、俵田さん？　どうして、そんなことを……」

　彼は焦った顔になる。

　もしかしたら、自分のエッチが下手くそだったかなって、心配になっているのかな？

　わたしが性欲が強いって言ったから、プレッシャーに感じちゃったかな？

　あのね、わたしね……

「……もう、何回イッたか覚えていない」

「へっ？」

「育実（いくみ）だけに、イク～……なんつって」

　我ながら、しょうもないボケだと思う。

　彼もポカンとしているし。

「ちょっと、スベったみたいな空気にしないでよ」

「あ、いや、ごめん……何か、可愛すぎて」

「へっ？　も、もう、バカ……」

　わたしは、照れくささを誤魔化すように、よいしょと起き上がる。

「あっ」

「えっ？」

「いや、もう少し、寝そべるワガママボディを拝みたかったから……」

「誰がデブやねん」

　ビシッ、と彼を叩く。

「いや、言ってないから」

「そう言う意味でしょうが、ワガママボディって」

「ごめん」

「それに、ワガママなのは、君の……」

　言いかけて、わたしは口をつぐむ。

　同時に、蘇ってしまう。

　つい先ほどまで、わたしの中で暴れまくっていた、彼のアレを。

　もう、ご近所に聞えないように、声を抑えるので必死だったんだから……

「どうしたの？」

「……改めて、確認しちゃうけど……本当に、童貞なの？」

「いや、まあ……いま、卒業ホヤホヤですけど」

「う、うるさい」

　ぺち、と叩く。

　先ほどよりも、威力が弱いなぁ。

「あの～、ちなみにですけど、俵田さんも……処女でしたか？」

「何で敬語なの？」

「いや、大事な確認なので……」

「……もし、違うって言ったら？」

「えっ……しょ、処女じゃなかった……の？」

　峰くんがにわかに焦りだすと、わたしはジッと彼を挑発するような、値踏みするような、そんな視線を向けてみる。

「……処女じゃなかったら、ダメかな？」

「あ、いや……そんなことは……ないよ」

「めっちゃ震えているけど？」

「うっ……嬉しいよ、俵田さんの……２番目の男でも」

「うーそ」

「はい？」

「ちゃんと……処女だったよ」

「ほ、本当に？」

「だって、血が出たでしょ？」

「あ、そういえば……ていうか、ごめん。ベッドが汚れちゃって……」

「良いよ、シーツ洗えば良いし。何なら、記念に取っておこうかなって」

「や、やめときなよ。親にバレたら、ちょっと大変そうだし」

「うん、そうだね」

　わたしは、くすくすと笑う。

「で、改めて聞くけど、わたしとのエッチ……どうだった？」

「最高でした」

「即答かい。そこはもっと、恥じらいなよ」

「ちなみに、１つ聞いても良いですか？」

「どうぞ、峰くん」

「このデカパイ、何カップですか？」

「教えません♡」

「あ、ていうか、そこに落ちているブラを見れば……」

「チェストォ！」

「ぐほっ！？」

　思い切りぶっ飛ばしてしまう。

　やだ、大好きな彼なのに……♡

「ガクリ……」

「おーい、死ぬなぁ」

　場外でくたばる彼のそばに寄ったわたしが言う。

「……ほれ」

　そして、ブラの裏側にある、サイズ表記を見せてあげた。

「……Ｅ８０……ってことは、Ｅカップ？」

「うん」

「あ、それくらいなんだ……もっと、上のサイズかと思った」

「まあ、デブですから。アンダーがデカい分、カップ数もそんな行かないんだよ」

「だとしても、Ｅカップって普通にすごいけど、女子高生で……」

「ちなみに、Ｅ８０はトップが１００だから」

「……んっ？」

「１００ｃｍ」

「……それって、１メートル？」

「まあ、そうだね」

　わたしが頷くと、峰くんは顔をうつむけて、ぷるぷると震え出す。

　お、どうした、どうした？

「峰くん？」

「……ごめん、ちょっと大きな声を出しても良い？」

「あまり、近所迷惑にならないようにね」

「でっかああああああああああああぁ！？」

「君の声がね！」

　ベシッ。

「ああ、ごめん……」

　はたいたおかげで、彼は少し冷静さを取り戻す。

　けど、興奮しているせいか、鼻息は荒いままだ。

　もう、本当にスケベなんだから……♡

「す、すげえ……俵田さんのおっぱい……１ｍなんだぁ……でっけぇ」

「ちょっと、あまりジロジロ見ないで……」

「あの、１ｍと改めて知ったうえで……顔をうずめても良いですか？」

「えっ、嫌だよ。何か気持ち悪いし」

「ガーン！？」

　彼はその場で溶けて消えそうになる。

「……なーんて、うっそ」

「えっ？」

「ほれ、おいで」

　わたしは、泣きべそをかく彼に対して、両手を広げる。

「マ、ママぁ……」

「いやいや、彼女でしょ？」

「ああ、そうだね……ごめん、まだ実感が湧かなくて」

　ほーん、そうかぁ。

「じゃあ、第一歩として……名前で呼び合う？」

「う、うん……い、育実（いくみ）ちゃん」

「善和（よしかず）くん……だから、よっくんって呼ぼうかな」

「わ、悪くないね」

「こら、上から目線」

「ち、違うよ、照れ隠しだよ」

「なら許す」

　そして、わたしはこの世で１番愛おしい、彼のことをこの１ｍおっぱいでたっぷり抱きしめた。

次回予告

　彼女は誰もが憧れるアイドル的存在。

　けど、全てが順風満帆、という訳ではなかった。

　中学時代に味わった屈辱、その因縁を彷彿とさせる相手。

　それに出会い、さらには、彼とも出会って。

　運命が、大きく揺らぐ。

　次回、花梨（かりん）視点、さらに◯◯視点と続き。

　ようやく、下ごしらえが終わり、本番突入。

　乞うご期待。