第5話 初デート

 朝、目が覚める。


 昨晩、また散々シ◯ったおかげだろうか?


 俺のムスコは大人しい。


 けど、決してフニャっている感じもしない。


 内にふつふつと湧き上がるリビドーを確かに感じる。


 俺は起き上がった。


「……デートだ」


 そう、デート。


 今日はついに、俺が水面下でシコシコと攻略中の、俵田育実たわらだいくみ


 彼女とデートする日なのだ。


 しかも、彼女の方から話を持ちかけた。


 これって、つまりは……


「……よし」


 女子はデートの時、気合を入れてオシャレをするだろう。


 それは男子も同じこと。とは言っても、そんなイケているオシャレくんじゃないから。


 せいぜい、シャワーを入念に浴びて、髪をきちんとセットするくらいだ。


 服は……まあ、そんなにダサくはない……はず。


 安物だけど。そこであまりハリキリすぎても、気持ちが悪いし。


 俵田さんも、引いてしまうかもしれない。


 ていうか、俵田さんは、どんなカッコで来るんだろう?


 ちゃんと、可愛い服で来るのかな?


 それとも、ラフな感じで?


 ああ、今からドキドキしてしまう。


 ピロン♪


「んっ?」


 スマホが鳴いたので、チェックする。


「……なっ」


 俺の願いが通じたのか、分からないけど。


 こんなメッセが届いた……


『……今日のデート衣装は、こんな感じです』


 照れながらピースサインをする、俵田さん。


 この前の、ラフなTシャツおっぱい自撮りよりも、ちゃんとオシャレをしている。


 俺はすかさず、胸元をチェックする。


 これは……


『……良かった、安心したよ』


『え、何が? もしかして、期待値が低かった?』


『いや、期待しかなかったんだけど……それ以上に、不安も大きかったから』


『と、言うと?』


『いや、その……ゆったり系の服で良かったよ』


『……ふぅ~ん? 峰くんって、やっぱりエッチだね?』


『ご、ごめん。でも、その……』


『大丈夫だよ。わたしもちゃんと、自覚しているから』


『そ、そっか』


『今のところ、峰くんにしか、見せる予定はないし』


『マ、マジで……てか、今のところって……』


『じゃあ、待ち合わせ場所でね♪』


『あっ……うん』


 メッセを終えると、スマホを持つ手をダランと下げる。


 俵田さん、俺の理想とする豊満シコ◯ティちゃん……


 まさか、俺のことを弄ぼうっていうのか?


 ビッチ属性も秘めているのか?


 だとしたら……


「……まあ、それはそれで、興奮するかな」


 他の男とヤ◯始めたら、泣くだろうけど。


 仮にそうなったとしても、BSSはやめてくれ。


 NTRなら、ギリ許す。


 最初にいただくのは、俺ってことで。


 NTRなら、最近とくにブームだから、ワンチャン興奮できる。


 いや、でも、やっぱり……


「……って、遅刻するわ」


 俺は慌てて家を飛び出す。




      ◇




 休日だから、人が多い。


 当たり前だけど。


 色んな美女が行き交う。


 一瞬だけ、目を奪われるけど。


 俺は彼女を見つけるためだけに、視力マックス状態になる。


「あっ、峰くん」


 キュピーン!


 ふんわりと柔らかい、その声に振り向く。


「……わっ」


 すでに写真でネタバレを食らっているから、さして驚くことはないと思った。


 けど、実際に間近で見ると……


「わっ、て何よ。やっぱり、似合ってない?」


 俵田さんは少しふくれっつらになって、ふりふりとスカートを揺らす。


「……いや、可愛すぎて」


「へっ? あ、ありがと」


 お互いに数秒、照れてしまう。


「ていうか、人おおいね」


「う、うん」


「はぐれると大変だけど……でも、わたしはちょっと太っているから、見つけやすいよね?」


「そんなまた自虐を……前にも言ったけど、魅力的だから」


「……エッチ」


「な、何で? せっかく、フォローしたのに」


「まあ、それもこれも含めて、あとで色々と問い詰めるから……覚悟していてね?」


「な、何か怖いな……」


 俺がたじろぐと、俵田さんはイタズラな笑みを浮かべる。


「じゃあ、やっぱりはぐれないように、わたしのおっぱい掴んでおく?」


「はえっ?」


「あ、間違えた。手でもつなぐ?」


「ど、どんな間違え……でも、別に恋人でもないのに……」


「じゃあ、腕に抱き付こうかな~?」


 俺は瞬時に、俵田さんの胸に目が行く。


 あのゆったりワンピースの奥底に眠る、ダイナマイトが……


「……か、勘弁して下さい」


「うふふ、ごめんね。大丈夫、ちゃんとはぐれないように、そばにいるから」


 ドキッ。


「わ、分かった」


 クソ、もっと気の利いたセリフが言えないのか、俺の口は。


 エロいことなら、割と言えちゃうのに……って、最低の男だな。


「じゃあ、なに食べる?」


「え、もうランチの話?」


「ううん、10時のおやつの話」


「……ああ」


「いま、だからデブなんだって、思ったでしょ?」


「いや、それは……健康的で、良いと思うよ」


「ふん、どうせ出ているのは、胸だけじゃありませんよ~だ」


「まあ、でもそのたるみ具合もまた……」


「ぎろっ」


「ごめん」


「全く、エッチな峰くんだよ」


 半目でこちらを睨むけど、すぐまた笑ってくれる。


 やばい、ちょっとクラクラして来たんですけど。


 このデート、ちゃんと完遂したいです。




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