第5話 音楽室
アユカのケガの治療の為に、
センパイとアユカは……保健室へ向かっていった。
(アユカ……)
ぼぉーっとしながら歩いているとあたしは、いつの間にか
鍵盤はピカピカと光っていて、
まるで
(そう言えば。昔少しだけ習ったよね?)
指が覚えている。
あの曲 ……。あたしはセンパイに向けて……
聞いても居ないのに鍵盤を覚えている範囲でひきだした。
演奏していると、、、
今もこうして、センパイの使うピアノに指を置いている。
演奏がクライマックスになると
途端に、あたしはピアノを弾くのを辞めた。
鍵盤にあたしの涙が……こぼれる。
『どうして ……?』
消え入るような声を出しながら、
あたしは泣き続けた。
『センパ …………。』
想いが通じても、うまく行かない。哀しさが込み上げてきた。
『ダァーーーン……!!』
両手を思い切り鍵盤を叩くと
哀しい旋律が……音楽室中に響いた。
涙がとめどなく溢れる。
『どうして ……。』
いつの間にか。あたしは……
誰にも聞かれない様に、声を漏らしながら泣いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます