第3話 素直になれなくて、、、

アユカにとっては、久留須くるすさんは友達関係の様だった。


並んで歩いてても

アユカはだから。様になる。


まるで2人は、様だった。


それもそのはず、アユカは久留須くるす先輩の従兄弟いとこなのだ。




美男美女は、見ていてため息モノだ。あたしはちっとも可愛くないし。アユカは良いなぁ。



久留須くるすさんのプライベートな場面も、知ってるのね?



アユカは毎年、久留須くるすさんにバレンタインの

チョコレートを渡していた。



学校1モテる久留須先輩……。



その隣には、、、腕を絡ませるアユカ……


いつも見ていたわ。




ちっとも羨ましくも無いわ。


だけど……   だけど……



今は少しだけ妬いちゃう。




胸も苦しい。

この気持ちを抱えたままで……



アユカと親友で、居なきゃ。

アユカには、話せない。




だって、久留須くるすさんの事を呼び捨てしてるんだもの。



羨ましくも無いわ。


でも……

でも……。  あたし、、、



あたしだって、

バレンタインのチョコレート



渡したいわ。



アユカは良いなぁ。

で、素直で……



私も、アユカと並んで歩くと

前は……恥ずかしかったわ。



アユカは、抜群のスタイルしてるし、

久留須くるす先輩の隣にはとてもマッチしてるしね?





色々考え事してて、知らぬ間に

屋上で……涙がこぼれてきた。



アユカ…… 言えないよ……。





不意にこぼれた涙を拭こうとした時に……



視界にハンカチが見えた。




『あれ??  ……。?』


ハンカチの持ち主を見ると、、、






あたしは後退あとずさりした。




だって?




え?   ……何この展開?!






夕焼けを浴びた、久留須くるすセンパイが


…………あたしに??





『どうかしたの?』



『い……  いえ。何も。』




そのシルバーがかった瞳を、私の方へ向けて……



久留須センパイが覗き込んできた。




心臓が、またドキドキし出す。




『なんか、あったら言えよな?』



『……  ……らい。……』





『ん?!聞こえない。』



私は久留須センパイの前で、感情がめちゃくちゃになってきた。



次々と、こぼれ落ちる涙が私を、素直な感情から遠ざけた。





『センパイなんて、嫌い!!』




涙が、どんどん溢れてきて、その場を走り去ろうとした時に……



久留須センパイは、

あたしを……   ……。





無言で……抱き寄せた。

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