上坂ハル…の後悔・幼馴染=いつまでも両想いな運命の相手……であって欲しかった
私、
彼の名前は
幼稚園の頃からの幼馴染。
ゆいとはかっこよくて優しいから、中学の頃にはもう大好きになっていた。
高校だって偏差値がちょっと厳しかったけど、頑張って勉強してついて行った。
一年から同じクラスだった事にはもう運命だと思った。
だからクラスの女子たちには、あたかも私とゆいとが付き合ってるみたいに言いふらして牽制した。
だって、ゆいとを狙ってる子が結構いたから、そうでもしないと取られるかもと怖かったから。
ちょっと嘘ついちゃったけど、私とゆいとは両想いだから大丈夫なはず。
告白は……怖くて出来ない。
両想いだけど振られたって話を聞いた事もあるから、万が一、億が一にでもゆいとに振られるのが怖かった。
あと、付き合うならゆいとから告白して欲しくもあった。
でもいつまで経ってもゆいとが告白してくれないまま、二年生になった。
二年目でゆいととクラスが分かれた時には軽く絶望した。
今までゆいとと一度も別のクラスになった事なんて無かったのに。
まるで魔法の時間が終わったみたいな気分になった。
それでもどうしてもゆいとに告白して貰いたくて、
三嶋君は一年から続くクラスメイトで、去年はゆいとと仲のいい友達。
彼が言うには親友らしいけど。
放課後に教室に残って何度も三嶋君に相談に乗って貰ってたある日、突然三嶋君にキスされた。
私はびっくりして、三嶋君が怖くなって、すぐに逃げた。
ファーストキス……ゆいとに告白して貰った時にしたかったのに……!
次の日に三嶋君に文句を言ったら、言ってる内につい泣いてしまった。
それで三嶋君に何度も謝られて、ファミレスに連れて行かれて奢って貰った。
その日だけにとどまらず、何度も三嶋君にファミレスや色んなスイーツ店を連れ回されて奢って貰った。
これって浮気かも?と思ったけど、私とゆいとはまだ付き合ってないし、謝罪だから大丈夫だと自分を誤魔化した。
「ねえ三嶋君。どうして私にキスしたの?」
キスに対する気持ちが落ち着いて、あのキスの訳を三嶋君に聞いた。
「それは……、実は俺も上坂さんの事が好きで、相談に乗ってる内につい気持ちが暴走してしまった。ごめん」
そしたら三嶋君に告白された。
私はすぐに答えられず、返事を待って貰って色々考えた。
考えている内に、どうして私がいつまでもゆいとの告白を待たなけらばいけないのか、疑問に思えて来た。
ゆいとがもっと早く告白していれば、こうなる事なんてなかったのに。
ゆいとが私のファーストキスを奪われたのは自業自得。
最近は私をほったらかしにしてゲームばかりしてるし。
そんなゆいとに少しお灸をすえたくなって来た。
三嶋君って色々奢ってくれて親切だし、付き合ってもいいかも知れない。
それでゆいとが後悔して私を引き止めようと告白して来たら、三嶋君と別れて付き合ってあげてもいいかも。
そう思って三嶋君の告白を受けてゆいとに報告したのに……
「悪いな
昼休みに三嶋君が明らかにゆいとを煽った。
親友なのに煽るの!?
「お前が悪いんだぜ?こんなかわいい子を放って置くからよ~」
ちょっと、余計な事しないでよ!
私が本当にゆいとより三嶋君の方が好になったって思われたらどうするの!?
俯いて心の中で抗議したけど、そんな私の気持ちはすぐ打ち砕かれた。
「お前、何を勘違いしているんだ?」
「は?」
ゆいとの予想外の言葉に、三嶋君も私もはぽかんとなった。
「そもそも、お前は俺の友達ではあったが親友じゃない。お前が勝手に自称してただけだ。それと、ハル……上坂とは交際してもいなければ、好きでもない。ただ付き合いが長いだけの友達だ」
「え?」
私の事が好きじゃない?
付き合いが長いだけの友達?
「はっ、負け惜しみか?今更何言っても響かないな~」
そうだよね?三嶋君が言ってる通り強がりだよね?今からでも告白すれば間に合うよ?
「そう思うなら勝手に思え。ただ、今回お前が俺への悪意を持って上坂を口説いたのはよく分かったから、今から絶交な。もう話しかけて来るなよ。……どけ」
でもゆいとは私を放っておいて教室に入ってしまった。
「へっ、強がっちゃってさ」
三嶋君はゆいとの後ろ姿を見てそんな事を言う。
そうだよね?強がってるだけだよね?
でもここまでしても私に告白して来ないゆいとなんてもう知らない。
私は三嶋君、ううん大吾君と楽しい学校生活を過ごすんだから!
後で後悔しても遅いから!
週末を跨いての月曜日。登校した直後に高山さんに空き教室に連れ込まれて、私が大吾君とデートしてた事を問い詰められた。
高山さんは一年の時のクラスメイトで、何度か話した事のある仲。……大体がゆいとに関する牽制だったけど。
「一体どういう事?あんた長岡君と三嶋で二股してる訳!?」
「違うよぉ……、私は大吾君とだけ付き合ってるもん……」
高山さんの顔と声が怖くて、私は半泣きで訳を説明した。
「そう。じゃああんたは三嶋とよろしくやっていればいいわ」
事情を聞いた高山さんはそれだけ言って私と別れた。
もしかして高山さん、今からゆいとを狙うつもり?
大丈夫だよね。ゆいとは今だって私の事好きなはずだから!
でも私はもう大吾君と付き合ってるんだから、ゆいとは悔し泣きでもしてればいいの!
それから私は大吾君と毎日イチャイチャして、何度もデートをして学校生活を送った。
夏休みに入るとすぐにエッチな事だってした。
というか、夏休み中、毎日大吾君と会ってたけど遊びに行くお金はないから、どっちかの部屋で遊んでて毎度そういう事する流れになったんだけど。
でも、夏休みが終わる頃、大吾君が生でしたいって勝手に言って、拒む私を無視して無理やり生で私を犯した。
その後は大吾君と大喧嘩して、もう大吾君が大嫌いになってそのまま別れた。
はあ………ゆいとなら私の嫌かる事はしなかったのに。
そう言えば、大吾君と付き合ってた時は彼氏以外の男子と仲良くしちゃダメって大吾君に言われたからゆいとと話さなかったけど。
もう大吾君とは別れたんだから、またゆいとと仲良くしていいよね?
深く考えないまま、私は久しぶりにゆいとの家に訪れた。
けど、ゆいとは私を居間で止めて部屋には上げてくれなかった。
「部屋には入れてくれないの?」
「もうそんな仲じゃないだろ。三嶋に浮気だと思われるぞ」
なんだ、そういう理由だったんだ。
「だい……三嶋君とは一昨日別れたよ」
「そうか?」
「うん、あのね……」
私はだい……三嶋君と喧嘩して別れた事と、何で喧嘩したのかを全部説明した。
三嶋君とエッチした事まで言ったのは恥ずかしかったけど、ゆいとの嫉妬を煽るためにあえて言った。
「それでね?もう彼氏とかいないから、昔みたいに仲良くしない?それと……こんな事を言って悪いけど、夏休みの宿題を見せて欲しいの。その……全然出来てなくて……」
これも恥ずかしいけど、三嶋君とあそんでばかりだったから宿題が出来なかったのよね。
でもゆいとは私が好きだから見せてくれるはず。
「宿題は後でコピーを貸すけど、昔みたいに仲良くするのは無理」
「えっ?どうして?」
「だって、今度は俺に彼女が出来たからな」
え……?
「こい……びと……?誰と?」
「一年から同じクラスだったユ……高山さんと」
高山さんって、私に怒ってたあの?
「高山さん?どうして……?」
「どうしてって、好きだからに決まってるだろ」
「私には好きって言ってくれなかったじゃない!」
「言っただろ?お前は恋愛的には好きじゃないって」
「……本当だったの?」
三嶋君が言ってた強がりじゃなくて?
「今更どう思おうが勝手だが、とにかく俺は今高山さんと付き合ってるから、昔みたいに仲良くは出来ない。友達でいるのは構わないけど、適切な距離感を保とう」
そんなの……そんなの……
「いやよ!私が先に!昔から!ゆいとの事好きだったもん!」
「俺が好きだった?俺より後で知り合った三嶋と先に付き合ったんだろ?」
「だって……、ゆいとが私の事好きって言ってくれないのに、大吾君は好きって言ってくれたから!」
「まあ、俺は好きじゃなかったからな。……だから好きって言ってくれる三嶋に心変わりするのも当然と言えば当然か」
三嶋君が好きになった事に納得しないで!
そんなに私の事が好きじゃなかったの?
「私……ずっと待ってたのに、待ってる間にだい……三嶋君に初めてだって奪われてしまったのに!」
「待ちぼうけになる前に、三嶋とでも付き合えてよかったじゃないか」
それって、もしかしてゆいとと付き合うなら私から告白すれば良かったって事?
なんでそれを教えてくれなかったの!
「まあ、三嶋と付き合えたって事は、別に俺じゃなければダメだったという訳でも無いだろうから、次はもっとまともな男と付き合えればいいな。宿題のコビーは後で届けるから、取りあえず帰れ」
違う!
私はもうゆいとじゃなきゃダメなの!
冷たく追い出そうとしないで!
「いや!ゆいとに好きって言ってくれるまで帰らない!」
「お邪魔しまーす!あ!この泥棒猫!やっぱりまだいたわね!」
その時、高山さんがゆいとの家に入って来た。
この!勝手にゆいとの家に入って!
「泥棒猫はあんたの方じゃない!私から寝取ったゆいとを返して!!」
それから、私を追い出そうとする高山さんと喧嘩になって、ゆいとに抑えられて、お巡りさんを呼ばれて、両親まで来て私は家に連れ戻されてしまった。
その後お父さんとお母さんにこっぴどく怒られた。
三嶋君と付き合った事はともかく、もう彼女が出来たゆいとにしがみついたらダメだって。
それでもゆいとを諦めたくないと言ったら、両親が私をゆいとと会わせない為に部屋から出して貰えなくなった。
そのまま何日も部屋でだけ過ごしてたら調子が悪くなって、トイレで吐いてた所をお母さんに見られて、病院に連れて行かれた。
そして……私が妊娠してるって知らされた。
あっ……そういえば三嶋君に生でされてからピル飲んでなかった……。
両親に相手について問い詰められて三嶋君にされた事を話すと、私の両親と三嶋君の両親で喧嘩に近い話し合いになり、三嶋君の家から慰謝料を貰って子供はおろす事にした。
私だって、あんな猿の子供を産むのはいや。
まだ学生だし、産んでも育てる余裕もないし。
でも大人になったら、次こそはゆいとの子供を産むんだ。
大学を卒業するまでには、ゆいともあの泥棒猫と別れて私と仲直りするはずだから。
でも神様の罰なのか、堕胎手術の後遺症として今後妊娠するのは難しいって言われてしまった。
これじゃあ、ゆいとの子供を産めない……。
それからの私の人生は、すべてがどうでもよくなった。
転校させられた高校を適当に卒業し、大学には行かず、就職もせず、親の脛を齧りながら暮らして、数年後にようやく元気が出てバイトを始めた。
何が悪かったのかな……。
三嶋君とエッチしなければ良かった?
そもそも三嶋君と付き合わなければ良かった?
その前に私からゆいとに告白していたら……。
一人になるとそんな後悔ばかりする。
ある日。
お母さんを通して押し付けられる様に、親戚であるイトコのお子さんを預かって面倒を見る事になった。
その女の子、ナツミは幼稚園児で、好きな男の子がいるらしい。
「おばさん!ナツミはおおきくなったらユウジとけっこんするんだー。いいでしょ?」
この子、天然で独身を煽るとか、悪女の才能があるわー
「そう。結婚出来るといいね」
本当にね。
ナツミちゃんは、ユウジって子と幼馴染になって結婚出来ればいいね。
――――――――――――――――
コンテストの読者選考まで終わったので書いてみました
ハル…の視点はこんな感じです<(_ _)>
ちょっと急ぎ気味で書いたので、後々修正加筆するかも知れません
自称親友が俺の幼馴染を寝取ったと煽って来たけど、そもそも好きじゃないからNTRは成立しない件 無尾猫 @aincel291
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