第3話 力が目覚めし時
あれは私が中学生の頃。たぶん中二だろう。きっと中二だろう。
私は家にいて、母親を探していた。部屋にいるかな。そう思い、二階に上がり、廊下の一番奥にある親の部屋へ向かった。
部屋の前に着いた私は、ノックもせずに戸を開けた。
「お母さーん?」
パチンッ。
突然、部屋にあったテレビが、点いた。
「……!?」
部屋に、母親はいない。というか、だれもいない。
テレビのリモコンはテーブルの上。踏んでも、触ってもいない。
固まる私の目の前で、テレビの画面は番組を映し出していた。
「もしかして私、力が目覚めたんじゃ……!?」
当時(おそらく)中二だった私は、とっさにそう思った。
私には電気系を操る力があったのか。無意識に覚醒してしまったのか。となると今後、手にした電化製品がなぜか壊れていくという事態になるのではないか。は、早くこの力を使いこなさなければ……!
などと妄想しながら、私はリモコンを使ってテレビを切った。
ちなみにその後、テレビや照明に向かって何度か念じたが、なにも起きなかった。触っただけで電化製品が壊れるようなこともなかった。
おそらく私の力は、あの時がピークだったのだろう。
ただ、ひとつだけ。家のトイレのウォシュレットが、ボタンを押してもまったく反応しなかったり、ウィーンと出てきて水も出さずにウィーンと引っ込んでいくことは何度かあった。たぶん壊れていたんだと思う。
夜中、だれもトイレにいないのに、ウォシュレットだけウィーンウィーン鳴っていたと、家族の者が言っていたこともある。たぶん壊れていたんだと思う。
ちなみに、勝手に部屋の電気が点いたり消えたりする現象は、機械の故障や、電波の誤受信などが原因らしい。
もしかしたら、心霊的なたぐいのものかもしれないが……。
ほんとに、あの力はなんだったんだろう……。
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