第13話


「えっと…それで私はこれからどうしたらいいかな?」


二人で赤いキノコを食べ終わった後、佐藤が不安げな目で俺を見てきた。


その目は,まるで飼い主に捨てられることを危惧する子犬のような目だ。


おそらく俺が佐藤のことを見捨てないか心配なのだろう。


「そうだな……お互いにクラスから追放状態で帰れないから……ここは協力しないか?佐藤」


「…!」


佐藤が大きく目を見開いた。


その表情が徐々に嬉しげな微笑みになる。


「う、うん…!私も、協力したい、かも」


「決まりだな。それじゃあ、これからは二人で協力してやっていこう」


「あ、足引っ張らないように頑張るね?私にできることがあればなんでも言って」


「了解。じゃあ…今後の方針を話してもいいか」


昨日佐藤を助けた時点ですでに俺は佐藤が仲間に加わることは折込済みだ。


その上でこれからどうしていくのかは、昨夜にもう考えておいた。


「ほ、方針…!」


佐藤が期待するような目を向けてくる。


「ま、まぁ、そんなたいそうなものでもないんだがな」


「き、聞かせて…」


「おう」


俺は一呼吸置いてから、今後の方針を語る。


「まず、現状確認だ。俺たちはクラスから追放された。もうあいつらの元には戻れないだろう。少なくとも、浜田がリーダーをやっている間は」


「う、うん…そうだね」


「だからどうにか自活する術を見出さないといけない。幸い……この無人島は自然豊かで動物も多いし魚も取れる。自給自足は不可能じゃないと思う」


「う、うん…」


「だからなんとか3人で問題なく生活できるだけの基盤を作るんだ。そのために、佐藤の力が必要だ。一人と二人じゃ出来ることが全然違うからな」


「わ、わかった…!私、全力で佐久間くんに協力して……って、え、?3人?」


「ああ、3人だ」


「佐久間くんと私と…あとは?」


「彩音だ。時期を見て、助けに行こうと思う」


「島崎さんを?」


「ああ。浜田は危険だ。この島に来てタガが外れてしまった。あいつを止められるものはいない。いつまでも浜田をあいつの近くに置いて置けないからな。だから……生活基盤を作れたら彩音を助けに行く」


「わ、わかった…!私も協力するよ!」


「頼りにしてるぞ」


まず佐藤と俺の二人で、自給自足できる生活基盤を整える。


そして彩音を浜田のもとから助け出す。


そんな大まかな方針を佐藤と確認しあった俺は、早速行動を起こすことにした。


「さて……それじゃあ、早速行動しよう。なるべく早く生活基盤を作って彩音を助けに行きたい」


「う、うん…まずはえっと、水の確保は終わってるから…食糧?」


「正解だ。動物を捕まえるための罠を作る」


「わ、罠…?作れるの?」


「ああ」


「す、すごい…!なんで…!?」


キラキラした目で俺を見てくる佐藤。


俺は頭をかいた。


「あ、あんまり理由は聞かないでくれ…俺の黒歴史なんだ…」


「あっ(察し)」


佐藤が何かを察したように身を引いた。


その気遣いが、今の俺にはありがたい。


「さ、早速始めようか……動物のいそうなと

ころに罠を仕掛ける。やり方を見ておいてくれ」


「りょ、了解です…」


なんだかちょっと気まずい雰囲気のまま、俺と佐藤は動物用の罠を作るために森の中へと入って行ったのだった。

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