コメディ
【クイズ、『異』世界】
主人公:木葉(このは)
性別:未定(どちらでも)
職業:高校生
特徴:ごく普通の高校生。平均的な知能を持つ。ある程度アニメを見ているが、深い知識を持つわけではない。ツッコミ。
友人:晴翔(はると)
性別:男
職業:高校生
特徴:THEオタク。全ての作品をこよなく愛する天才。特に、最近は異世界モノにハマっている。ボケしかしない。
友人:かなゑ(かなえ)
性別:男
職業:高校生
特徴:軽度なアニオタ。広く浅く見る。ツッコミとボケを五分五分で担当。
友人:紗奈(さな)
性別:女
職業:中学三年生
特徴:晴翔の妹。兄のオタク具合に心配になることもあるが、兄妹の絆である程度の暴走は信じている。ツッコミ。
友人:綾(あや)
性別:女
職業:中学三年生
特徴:紗奈の友人。メタい。台本とか言っちゃう二次元の壁を突き破れちゃう存在。
本編開始
〇高校の教室・朝
SE:他クラスメイトのガヤガヤ。
晴翔「ヒマだな」
かなゑ「唐突だな」
晴翔「ヒマなんだよ」
かなゑ「分かったって。教室でわめくなよ」
SE:ドアがらがら音。
木葉「おーすおーす。朝からなに騒いでんの」
晴翔「おー木葉(このは)。良いところに」
木葉「良いところってそりゃ教室なんだからこの時間に来るのは当たり前だろ」
晴翔「そうだけどさ。つか昨日のアニメ見た?」
かなゑ「どれだよ25時のやつ? それとも、18時台?」
晴翔「25時」
木葉「あぁー異世界転生のやつね。見てない」
晴翔「はぁ? 時代乗り遅れてるわ~」
かなゑ「見てないとかないわ」
木葉「いやいや。多すぎなんだって似たようなタイトル。【クラスカースト最下層の陰キャが『異』世界転生を果たして美女に囲まれる】とか【クラスで陰キャな俺。《異》世界に飛ばされ無双する】。何が違うんだよ」
晴翔「全っ然違うからな!? お前なんにも分かってねぇ!! アニメを見て、設定を読み込んで細部の違いを見極めてから言え!!」
木葉「そんなキレる!? か、かなゑ何とかしてくれこいつ……!!」
かなゑ「《明るいトーンで》いっぺん死んで詫びて来い」
木葉「お前もそっち派かよ!? と、とりあえず晴翔落ち着けって! お前の友人、今君の気迫で殺されそうだから! なんなら首絞められて、死にそうだ(から)!!!」
SE:チャイム。
晴翔「あ、チャイムだ。戻ろうぜ、かなゑ」
かなゑ「だな晴翔。あ、今日お前んち寄っていい? 借りてた漫画返したくて」
晴翔「あー、良いよ。下の子居るから、長居できんかもだが」
かなゑ「いいよいいよ。紗奈(さな)でしょ? 一応顔見知りだからいいべ。多分」
晴翔「《徐々に小さく》まぁなぁでも紗奈の友達も来てるかもだしな――」
木葉「………………」
木葉「って、首絞めたことは謝れよ!?」
◇
〇晴翔宅。リビング・夕方
木葉「なんで、俺まで連れてこられてるんだ」
かなゑ「だってお前が異世界転生を馬鹿にするから」
木葉「別にしてないけどねぇ!? ただ似たタイトル多くてわからん言っただけで――」
晴翔「それがだめだと言っているんだ。お前には、これから英才教育をするために司会者になってもらうぞ」
木葉「なんで!? 意味わからん!」
晴翔「では説明しよう」
晴翔「クイズ『異』世界!! これは、司会者から出される『異』と言うフォントから作品のタイトルを導くクイズである!! 回答者はぜひ当たった際には作品の概要や一話目を軽く説明してもらうぞ!」
木葉「な、なるほど。出題者は調べてから『異』だけを繰り抜くから、多くの作品に触れるし、説明もみんなから聞けるから知ることが出来る。と言う訳か。理にはかなっているな」
晴翔「だろぉう? では、始めるぞ――」
紗奈「《遮る》で、なんで僕までこの変な会議に参加させられているわけ」
晴翔「そりゃ我が妹だからな。ぜひこのクイズには参加してほしかったんだ。お友達も悪いな、強制的に参加させて」
綾「いえ。クイズは面白そうなので。多分ほとんど分からないと思いますが」
晴翔「いや、良いんだ。分からなくたって良い。お兄ちゃんは……いでででで!!」
紗奈「いや、全然理由になってない」
晴翔「《ほっぺを摘ままれている》そう言うな。兄の言うことを聞いておくれよ。と言うか、ほっぺから手を放して………………」
晴翔「《小声》いててて。あとでアイス奢るから」
紗奈「《小声》マジ? じゃあサー〇ィワンね」
晴翔「《小声》む、仕方あるまい」
紗奈「《小声》じゃあ買収されましょう」
紗奈「《棒読み》あー! 早くみんなで遊びたいなぁ!」
木葉「そんな急にやる気出す!?」
木葉「それに明らかに棒読みだったけどな!!」
かなゑ「いつものことだろ。さ、早く始めるぞ」
木葉「いつものことなのか!?」
綾「因みに、優勝者には晴翔さんから一万円分の図書カードが贈呈されます」
かなゑ「そうなの?」
晴翔「いや、そんなものはないが――」
綾「だって、台本にそう書いてあるんですもん」
かなゑ「台本?」
晴翔「だい……ほん、とな?」
綾「はい。台本です」
晴翔「………………えぇ、では始めたいと思いまーす」
木葉「こいつ今絶対無視したぞ」
紗奈「しましたね。サイテーです」
木葉「ほんとな」
かなゑ「まぁ、まぁ。良いじゃない。始めようよ」
木葉「こほん。では、まぁ始めましょう」
四人「はーい」
◇
〇晴翔家、とある場所・夕方
木葉「え? なにここ」
晴翔「なにって、会場だ」
木葉「会場!? ただのゲームに会場なんてものあんのか!?」
木葉「つか、お前の部屋広いな!?」
晴翔「ふふふ。そうだろぅ。オタクには、広い部屋が必須なのでな!」
晴翔「ふははははははは!」
かなゑ「なんか、悪魔みたいな笑い方してる……」
紗奈「いつもです。無視してください」
木葉「…………えぇっと、では。クイズを始めようと思いマース」
晴翔「うむ! かかってくるがよい!」
木葉「第一問、ででん」
SE:プレートを机に当てる音。
『異』
綾「はい!!」
木葉「はや!? え、では綾(あや)さんどうぞ」
綾「[異]世界転生お孫さん!!」
木葉「いや、違う。………………ちなみに、その作品ってどんな話?」
綾「異世界に飛ばされた小さな子供が、賢者に拾われて育てられていく作品で」
木葉「ごめん。全然しらな――」
晴翔「その作品も素晴らしいな!!」
木葉「知ってんの!? 流石だな晴翔」
晴翔「《最後涙》もちろん。小さな子供。椎名が賢者クエルに育てられ、大賢者になるまでのストーリーが泣けてなぁ!!」
綾「《共感して泣く》ですよぉねぇ!!」
晴翔「《泣き》う、うぅぅぉぉぉおお!!」
綾「《泣き》うわぁぁぁっぁぁああああ!!」
木葉「二人して泣くなよ!?」
※小さく泣き続けてください。
紗奈「はい」
木葉「え、分かるの?」
紗奈「はい。分かります。てかお兄ちゃんうっさい。泣き止んで」
晴翔「あ、はい」
※泣き演技終了。
木葉「《内心》手綱握られとる…………!!」
紗奈「『異』世界で賢者になったオレ。前世では童貞だったがこっちではそうも逝かないらしい」
木葉「………………あっとる」
晴翔「さすが我が弟(妹)!! それでこそ――」
紗奈「おにぃうっさい」
晴翔「はい」
紗奈「じゃあ、概要を言うのめんどくさいから一話目を言うね?」
木葉「あ、はい。お願いします」
紗奈「ユウって言う冴えない大学生が、いじめっ子に倉庫に閉じ込められて。そこから出るためにドアにタックルしまくるんだけど」
木葉「意外とアグレッシブだなその主人公!? ……え? まさかそれで死ぬ?」
紗奈「正解。何度もタックルしてるうちに、横にあった器具がユウの上に落ちてくるの」
木葉「先に気づけよユウくん!! たぶん暗がりでタックルしてたのかもしれないけどさぁ!!」
紗奈「で、死んじゃうんだけど。そしたら神様が可哀そうだからって異世界転生させて、童貞だったから賢者ってスキルあげるよってなって。僻地でのんびり暮らそう。って言うのが一話」
かなゑ「よく知ってるね。俺は最近見始めたなぁ」
紗奈「思いの外面白いですよ? あ、でも綾にはおすすめしないかな」
綾「え? なんで?」
紗奈「意外と事後シーンが多い」
綾「なるほどー」
かなゑ「たしかに。二話目からあるもんな」
木葉「あるんだ」
かなゑ「あるんだよ」
木葉「えぇ、なんか見るのが憚(はばか)れるなぁ」
かなゑ「ねー」
木葉「じゃあ、二問目いこう。第二問ででん」
[異]。
綾「はい!!」
木葉「はや!? え、本当に考えた? 一問目も同じ速度で答えてたけど。てか、始まる前知らないって言ってたのに」
綾「大丈夫です! 自信があります!! 台本に書いてあるんで!!」
木葉「え? あ、いいや。どうぞ綾さん」
綾「はい!! さらば《異》世界。五度目の転生は静かに暮らします!!!」
木葉「え、違う………………」
綾「あれ? おかしいなぁ? そう書いてあるんですけど――」
晴翔「その作品、良いよな!!!!」
木葉「分かるんかい! いや、きっとわかると思ってたけどさ!!」
綾「いいですよね! 概要を話すとこれは主人公ドールは五回異世界転生をするんですけど、その内四回は世界を救っているんですよね。でも、それに疲れたドールはもういやだーって僻地に行って静かに暮らそうとする。って言う物語です」
晴翔「あぁ! そうなんだよ。四回も救ったから、五回目は静かに暮らしたい。そう願うドールなんだがそうは問屋が卸さない。次々に問題が彼に降りかかっていくんだ――」
綾「《徐々に泣く》ですです! 疲れているんだから静かに休ませてあげてよっとファンは涙なしには……、観られ…………なく、ひっく。てぇ………………」
晴翔「《大泣き》そ゛う゛な゛ん゛た゛あ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛!! 休゛ま゛せ゛て゛あ゛け゛て゛く゛れ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛な゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ!!」
木葉「うわ鼻水汚っ!? ちょ、ほらテッシュ」
晴翔「ありがとう………………ちーん」
※晴翔と綾は裏で小さく語り続けてください。
かなゑ「はい」
紗奈「あ」
かなゑ「残念。二問目は渡さないよ」
木葉「お前も冷静かよ」
かなゑ「クイズに真剣だからね」
木葉「図書カード欲しいから?」
かなゑ「そう。貰えるもんは貰いたい」
木葉「欲に忠実だ。はい、かなゑくん」
かなゑ「うむ。答えは――」
晴翔「《泣きが再熱》うわぁぁぁあああ!!」
紗奈「おにぃ。うっさい」
晴翔「あ、すません」
※小さい語り終了。
かなゑ「答えは………………引きこもりゲーマーのオレ。[異]世界転生を果たすもゲームの知識を駆使して生き残る ~クラスの陽キャギャルに異世界で声をかけられる~」
木葉「………………正解」
かなゑ「じゃあ一話目を紹介するね」
かなゑ「引きこもりのギルは学校に行かずにゲームに明け暮れていた。しかし、学校からの通達で一回だけクラスに通うんだけど、その時、眩い光がクラスを包み込んでクラス全員で異世界転生することに。転生先では、目には見えないスキルって言う特殊能力があって――」
かなゑ「――で、ギルは全然使えない能力、硬質化だったんだけど。それが防御力オンリーのアップだと思われていたんだけど、相手の身体を動けなくすることも出来ることに気付いてって無双するって話」
木葉「ほ、ほう……頭が痛くなるような話だな」
かなゑ「いやでも意外と面白いよ」
紗奈「ですね。見てみると絵も綺麗ですし、声優さんも豪華でしたよ?」
木葉「へぇそうなんだ」
紗奈「はい。意外とおすすめです」
木葉「今度、気が向けば見てみるよ。……じゃあ、第三問。ででん」
{異}
綾「はい!!!」
木葉「君ほんっと勢いだけは一人前だね!?」
綾「まだ未発達な少女と【異】世界転生」
綾「果たして、ノータッチロリ―タ。イエスロリータが信条な俺は、この子たちに触れずに異世界を生き残れるか!!」
晴翔「まな異たきたぁぁぁあぁああああああ!!!!」
※五秒くらいの間。
木葉「………………は? まな板?」
晴翔「違う! まな異ただ!! 料理をする時に使うまな板ではない!! まだ未発達な少女と【異】世界転生。果たして、ノータッチロリ―タ。イエスロリータが信条な俺は、この子たちに触れずに異世界を生き残れるか!!」
晴翔「略して【まな異た】だ」
晴翔「これはロリっ子少女らと転生してしまった保育士、葛築(くずき)が少女たちを育てると誓いつつも、決して触れないように細心の注意を払いながら異世界ライフを送る物語でな――」
木葉「いや、それ何が面白いんだ。つか絶対幼女だからまな板って略称で呼ばれてるだろ! 良いのかそれ!!!」
晴翔「馬鹿野郎!! 可愛いロリっ子に囲まれて生活するなんて良いじゃねぇか!! 見てるだけでほほえましい!! だが、触れてしまうと言うのはかなりのリスクがともなーう!! ロリに触れる。それは、一線を越えかねないからだ!!」
木葉「いや、わからねぇ!!!」
綾「《がん被りで》そうなんですよ!! 触れられないからこそ、ロリは可愛いんです!!」
晴翔「キミなら分かってくれると思っていたよ綾君!! 流石だ!!」
綾「はい、晴翔お兄様!!!」
※謎の友情が育まれていく。
木葉「まーじでわからねぇ……」
紗奈「はい」
かなゑ「あ、くっそぉ。先越された」
紗奈「へっへーん! 僕の方が早かったです」
木葉「そんでこっちはこっちで仲良しかよ。じゃあ紗奈さん」
紗奈「自分のアバターがバグってゲームからログアウト不可能になった件について。~これってつまり{異}世界転生ってやつ? 気付けば最強になったけど、ワールド制覇とか興味なかったので僻地でのんびり過ごします」
木葉「ちゃんと正解していくやん」
紗奈「そう言うの好きなんで」
木葉「面白いから?」
紗奈「私は――ってか、かなゑさんも同じだと思うんですけど現実に起こったら面白そうな作品は好きって感じですかね」
かなゑ「うん。それは言えてる。いろんなジャンルも観はするけど、どちらかと言うと現実味がある方が好きだな」
木葉「ごめん。違いが分からない。とりあえず、一話目をどうぞ」
紗奈「大人気MMORPGをプレイしていた郡田は、ログアウトしようとしていたところモンスターに攻撃されシステムがバグってしまい、ログアウト不可になるんです。で、それから何年かゲームの世界で生きるんですけど、気付けば最強になってた。って話です」
かなゑ「一話目では、ログアウト不可になって数年たった所から始まるんだけど、主人公は生きていく上で知らぬ間に最強になってたから、手強いモンスターが住んでいる洞窟で一人静かに暮らしてたんだけど、そこで最初のヒロインと出会うんだ」
紗奈「お、かなゑ先輩見たことあるくち?」
かなゑ「一応ね」
木葉「ごめん、観たことなかった」
※二人で同時に。木葉の「ごめん」と言う台詞が聞こえたら言ってください。
かなゑ&紗奈「知ってる」
木葉「あ、はい」
◇
〇晴翔家。クイズ会場・夕方
SE:リラックスできるもの。
木葉「で、三問終えた感想なんだけどさ」
かなゑ「おん」
木葉「調べる過程で思ったんだけど。まずみんな頭良すぎひん?」
かなゑ「例えば?」
木葉「一回見ただけの、読んだことがあるだけのウィキの情報を覚えているとか。過去に攻略したゲームと類似点があるからってその知識秒で引っ張れるもんか?」
紗奈「あーあるあるですね」
かなゑ「生産系の能力主人公作品に多くみられるやつだね」
木葉「そんな記憶力あるのに、なんで成績悪かったりすんだろうって思ってしまう」
紗奈「まぁでもいいんじゃないですか。それも楽しみましょうよ」
木葉「あと異世界に転生する時基本みんな過労死かトラックに轢(ひ)かれてない?」
かなゑ「たしかに。悪役令嬢ものや女の子が主人公作品だと過労死が多いイメージはあるね。逆に、男性主人公の無双とかはトラックが多いイメージがあるのもたしかだな」
木葉「実際は違うのか?」
かなゑ「最近だと、足元に異空間が突然出来たり、魔法陣で召喚されたり、後輩庇って通り魔に刺されたりだな」
木葉「わーぉ」
紗奈「みんな同じ転生の仕方に飽き飽きしたんですかね?」
木葉「でも考えてみてくれ。トラックに轢かれるとする」
紗奈「はい」
かなゑ「おん?」
木葉「いったい何人の犯罪者が産まれているって話なんだよ」
かなゑ「そこ。触れちゃうか」
木葉「いやでも気になるだろ!? と言うか、トラックの運ちゃんの人生みんな軽視し過ぎだから。そんなほいほい退かせるなっていつも思ってしまうんだよなぁ」
紗奈「まぁ。でもそれはそうですね。それならまだ通り魔に刺殺されたりする方が、犯人側が絶対悪でいいですね。子供を助けるため、動物を助けるために身代わりでトラックに轢かれるって展開多いですが、子供が勝手に飛び出している場合、運転手が可哀そうなのは一理あります」
木葉「そーなんだよなぁ。そう思っちゃうから、なかなか楽しめないんだよ。転生物」
紗奈「話の設定云々より、別の場所が気になっちゃうんですね」
木葉「そうなの」
かなゑ「そういうどうでも良いところばっか気にするからいつまで経っても恋人が出来ないんだよお前」
木葉「なんでそうなる!? 絶対関係ないだろ!!」
紗奈「それはありそうですねぇ」
木葉「紗奈ちゃん!?」
紗奈「それに比べたら、おにぃは確かにオタクではありますが――」
〇同室。一方その頃・夕方
晴翔「そう! そうなのだよ綾くん!! その作品はだなぁ!!」
綾「ですです!! そこなんですお兄様!! 〇〇が××とチョメチョメして――!!」
〇晴翔家。クイズ会場・夕方
紗奈「あのように、えり好みしないと言いますか。あ、もちろん人のことではなく、作品を。ですよ? どんな作品でも、愛せる才能を持っているので、初対面の綾とも、あのように仲良くなれるんですよ」
かなゑ「それがあいつの良いところでもあり、悪いところでもあるよな。作品知りすぎて、唐突に繰り出すネタが分からん」
紗奈「例えば、何がありました?」
木葉「え、言わせるの?」
紗奈「そりゃ気になりますし、おすし」
かなゑ「《かっこつけて》嬢ちゃん。そこは私の上腕二頭筋さんだ」
木葉「すんの!?」
紗奈「あー、転筋ですね。転生筋肉日記。略して転筋」
木葉「よくわかるな」
紗奈「これでも、おにぃの妹なんで」
かなゑ「つか学校でもやってただろう? 忘れてんのか」
木葉「ごめん。一切覚えてない」
かなゑ「晴翔呼んでくっか」
木葉「なんで!?」
かなゑ「やらせる」
木葉「やらせんの!?」
かなゑ「晴翔ー」
晴翔「なぁにぃかぁなぁ、かなゑ氏ぃ」
かなゑ「あ、オタクモード全開だ」
木葉「たしかに、急にハチマキ巻いとるなんで!?」
かなゑ「晴翔、転筋の上腕二頭筋さんやって」
晴翔「まぁかぁせぇたぁまぁえぇ!!!!」
晴翔「《自由にどうぞ》ふん!! 嬢ちゃん。そこは私の上腕二頭筋さんだ」
綾「おぉぉぉぉぉぉおおお!! そっくりです!! 流石ですお兄様!!」
晴翔「ふ、ふ、ふ。まぁそう褒めるな綾君。あとで牛丼でも食いに行こう」
綾「はい!! ぜひ!!!」
紗奈「ちょっと、僕に買うアイスも忘れないでよ?」
晴翔「もちろんだとも、我が妹ぎみ」
紗奈「ならよし。行ってこい」
晴翔「では早速――」
木葉「いや、あと二問あるから!! せめてそれだけやってくれ!! せっかく調べたのにこの二問使われないのやだ!!」
晴翔「ほほう。乗り気のようだな木葉氏」
木葉「違うわ!!!」
〇晴翔家。クイズ会場・夕方
※ラスト問題
木葉「じゃあ、第四問ででん」
≪異≫
綾「はい!!!!!」
木葉「来ると思ってたよ、期待を裏切らないね君は!!」
綾「[異]世界から始まるゼロ円生活!!!」
木葉「はい違う!! 概要どうぞ!!」
晴翔「仕事に生きる香我美は、ある日家の底が抜けて異世界に飛ばされた。転生先で和布と言う女神の加護を受けて生活を始めるのだが――」
綾「家はあるけど
木葉「息ぴったしだな君たち!! 仲良しかよ!」
晴翔「あぁ、綾君とはもうかけがえのない友。フォーエバーフレンドなの、さ!!」
綾「そうですそうです! そうなんですよ!!」
晴翔「して、この物語だが何と言っても面白いのはだなぁ!!!」
綾「言っちゃってくださいよ、お兄様!!」
※後ろで語っててください。
木葉「あー、いや。頭痛くなってきた」
かなゑ「はい」
木葉「そしてこの二人に対して温度差すごいなこっち!!」
紗奈「はいかなゑ先輩」
木葉「そして君が進行するんかい!」
紗奈「いや、暇だし。木葉さん突っ込みで忙しそうだったから」
木葉「優しいかよ!! 惚れちゃうよ、今そんなことされたら!」
紗奈「あ、結構です。間に合ってます」
木葉「あ。……はい」
※語り終了。
晴翔「《勢いよく出て最後童貞感出してください》ぬぅぅぅぅんんん!! まさかと思うが妹君よぉ。兄に内緒で……か、っか。彼氏。…………などと言う、ものを……」
紗奈「おにぃ、ハウス」
晴翔「《高音で》はいっ」
紗奈「改めまして、かなゑ先輩」
かなゑ「≪異≫世界から始まるのんびりスローライフ ~はちゃめちゃ強いスキル持ってるけど僻地でこじんまりと生きる~」
紗奈「正解。では一話目をどうぞ」
かなゑ「不慮の事故~と略された事故によって命を落としたミナトは」
かなゑ「異世界ロマ尾府と言うところに飛ばされてしまった。そこで、スキル贈呈の儀を受けて――」
木葉「へぇ。そういうストーリーなんだ、これ」
紗奈「ですね。実はタイトルだけ知ってて、見たことが無いんですけど、かなゑ先輩の説明聞いてたらおもしろそうって思えてきました」
かなゑ「ぜひぜひ、面白いよ、これ」
紗奈「今度一緒に見ましょうよ、かなゑ先輩。あ、木葉先輩も見ます?」
木葉「いや、いいです。はい……」
木葉「と、いう訳でラスト一問ですがなんと。得点は二対二で紗奈とかなゑが接戦だな」
晴翔「そのようですねぇ。えーこの状況を、どう思いますか出題者の木葉さん」
木葉「なにしれっと実況解説みたいな反応してんだ。言っとくけどお前一問も手を上げてないからな?」
晴翔「と、言うように木葉受刑者は言っており――」
木葉「アナウンサーみたいな対応で逃げれると思うな!!」
※物理攻撃
晴翔「あ、痛い!! 殴ったな!?」
木葉「殴って何故悪いか!」
※もう一度物理攻撃。
晴翔「二度も殴った!! 〇〇にも殴られたことがないのに!!!」
木葉「甘ったれめ!! 自分が殴られるようなことをしているって自覚しろ!!」
かなゑ「さぁ、五問目です。残念なことに司会者が口論中なため俺が代理を務めます」
綾「良いんですか? 先輩、問題を答えないと紗奈に負けますよ?」
かなゑ「いやーもう楽しめたからいいかなって。だから二人とも、頑張って!」
紗奈「…………かなゑ先輩!!」
綾「はい! わたしも頑張ります!!」
かなゑ「では第五問! でれん」
〔異〕
紗奈「…………え? なんだろ、これ」
かなゑ「結構難しいよこれ。紗奈に分からないなら綾ちゃんには――」
綾「はい!!!」
かなゑ「お、いい返事だ。どうぞ」
綾「〔異〕世界食堂、なんなんなん開店します。皆様どうぞ、お酌してきましょ!!」
紗奈「えーなにそれ。初めて聞いたなぁ」
かなゑ「正解!! え、すごいね綾ちゃん!!」
紗奈「おおぉぉお!? 綾すごい!!」
綾「やったぁ!!! やりましたよ、お兄様。見事正解しました!!」
晴翔「………………」
綾「お兄様?」
晴翔「………………ごめん、知らない」
綾「《ドスの効いた声》は?」
END。
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