第107話 クルーザー 

* クルーザー 


夜には、魔道具でカロンさんから連絡が入って、呼ばれたダミアンが、「少し様子を見てくる!」って帰ってしまったけどね・・・程なく戻ってきて、また、大人の酒盛りがはじまってる。まあ、そんな大した問題では無かったようだね。

あれ、昔のポケベルみたいな魔道具で、呼び出し信号だけを送れるんだって・・・まあ、相手がダミアンなんだからね、転移してすぐにでも戻れるから有用なんだろうけど・・・念話すれば良いのにね〜

なんでも、どこぞの貴族の坊ちゃまが第一ダンジョンに入って、3日間、音沙汰が無いというので、騒ぎになったようだけどね、・・・無事に戻ってきたんだって!

まあ、お貴族様のお守り?も大変ですね〜


エミリも、アイカも部屋に戻って・・・今日は何か静かだよ? 気配を探ってみれば・・・あれ?もうぐっすり眠っているね、今日は疲れたんだろうね・・・オヤスミナサイ!


さて、明日は何して遊ぼうかな〜 

やっぱ、あとは船? あの箱船で良いかな? ちょっと色気ないよね〜

ちょっと10人乗りくらいのクルーザーを思い浮かべてみる、うん、イメージは出来るよ・・・でも、これをこのままで良いのかな? ガソリンも無いしね〜

船の形だけもらって、推進力は魔法でなんとかなるかな? スクリューを回して・・なんて駄目そうだから、風魔法のブレスを吹き出すことで進めないものかな?

それなら難しくはないよね、ブレスの吹き出し用に筒を4本くらいくっつけて、それぞれに、ブレスの魔道具を設置する。こんなんで進むかな?

帆船にして風で進ますってのも、結構大きな帆が必要だよね、帆を張ったり仕舞ったり、これは面倒っぽいね・・・

とりあえず、模型を作って実験してみようかな?

で、全長100cmくらいのクルーザーの形をした船を作って、不要なエンジンやスクリューは初めから無し、その分、内部居住空間が広がるよ。

で、船尾に、風ブレス放出用の筒を4本並べて設置。

ブレスの魔道具は、オークの魔石を4個使って、スピード調整は、4個のブレスのON/OFFと、筒の向きを上に向けることで、界面にブレスを当てないようにすれば、推進力が落ちるよね?きっと・・・

それらを、本体100cmの船体に合わせて小さく作って設置して、収納する。

1人で、海まで行って、船を取り出して浮かべる。まあ、もとのクルーザーのままだからね、形は。ちゃんと浮かんだよ。

舵を切って固定して、ブレスをONしてみた。

ブレスの風が、海面に当たって反動で船が前へ進んでいるよ、舵を切っているから、くるくる回転している・・

あっ! どうやって?止めようか・・・

遠隔装置を作っておかなきゃ! とりあえず今は、転送で砂浜へ上げて、OFFにした・・・

これ、いけるかな?


錬金で、イメージからクルーザーを原寸大で作成する、20mくらいの船体だよ。エンジン、スクリューは無し、居住区間拡張、ハンドルと舵は連動、風噴射の筒を4本設置、真ん中2本は上向きにすることが出来る。風噴射の魔導具を設置する。オークの魔石を組み込んで、スイッチにはゴブリンの魔石を4個使う。オークの魔石に、風ジェット噴射の風魔法回路を組み込んで完成。ブレスだと、よく考えたら、息継ぎしちゃうからね、ジェット噴射にしてみた。


あまり浅瀬では船を出せないので、収納して、飛行して沖まで移動して、船を出して海面に浮かべて、そこへ降りる。

乗り心地は・・・まあ、揺れるよね、波の上に浮かんでいるからね・・・

これ、船酔いしそうだね・・・

魔石を1個ONにしてみる、・・・進みだしたよ〜

もう一個ONにしてみた、うん! 早く進んでいるね・・・

ハンドル操作も、右に左に、急旋回っぽいのまでOKだよ・・・良いかも?

しばらく沖に向かって進んでいたら、空から何かが迫ってくるよ? まあ、解ったけどね・・・ エドガーとガロンだね。


船に降りてきて、

「ミヤビ! 夜の海は危ない!って言っただろ!」って・・・はい、叱られました。

「で、何だ?これは?」

船だよ、クルーザーって言うかな? 

「いやいや、そうじゃなくてだ! 作ったのか? こんな夜中に!」

うん、まあね・・・明日、みんなで乗れないかな?って思ってさ〜

「まあ、良い、無事なら、な・・・、で?どこへ行く?」

って、何だよ!乗りたいの!?〜 ・・・もう乗ってるけどね・・・

エドガーに、風噴射の筒のことと、ハンドルで舵をとって方向を変える、なんて話したら、・・・そら!もう、ハンドルを握りしめているし!〜〜〜


筒のスイッチと上向き加減は魔法で遠隔操作できるようにハンドルのところに設置してあるからね、わざわざ後ろまで行かなくても良いようにしておいたよ。

ハンドルの前に、いろいろ計器やメーターが並んでいるけど、・・・これは要らないね、あとで、外見を変更しておこ! 

2階の運転席には2名の椅子と後ろにも2個補助椅子がある。下の階には、空間拡張した大きな居住空間がある、客室の船尾には、トイレとシャワー、洗面所も付いているよ。水は、タンク式だったので、魔道具で賄うように変更しておいたよ。

寝室は無いけどね、客室が広いから、なんとかなるかな〜 仮眠くらいならできそうだね。寝台だけの個室を4部屋くらい作っておこう。

空間拡張するのなら、小さめのクルーザーでも良かったけど、まあ、大きいことは良いことだ!よね。なんだっけ? 大は小を兼ねる。


あとは、走っていて思ったけど、後退するのに、前にも風噴射の筒と魔道具を付けて、港侵入?などに備えて、低速走行用にオーク魔石の出力を抑える制御装置を前と後ろのオーク魔石に連結しておいた。

飛竜の魔石を使って、船体全体に、自重軽減魔法と浮遊魔法を付与しておく。

これで、わずかに船体を浮かせるので、波で船体が揺られることもかなり軽減できるよね?船酔い防止にもなるかも・・・まあ、船酔いしたら、状態異常無効の出番だけどね、それで済むだろうし・・・

そうそう、キッチンまで付いているのは、さすが!クルーザーだよね、まあ、狭いけど、なんとかなるでしょ!

エドガーが、楽しそうに運転している間にいろいろ変更できたよ。


「ミヤビ!、これ、楽しいな〜、バイクも良いけど、ここまで大きいものが走るとはなぁ〜 既存の高速船の5倍くらいの速度は出てるんじゃないか・・・」

そうなの? 

それはそうと、ガロンは? 

「ああ、さっき、客室に入っていたきりだな・・」 

見に行くと、あれ? いびきをかいて、大の字で寝てるよ〜 何だ?岩竜って、良く寝るんだね〜


旋回して島へ帰ることにしたよ。まあ、大成功!

しかも、自重軽減と浮遊魔法のおかげで、問題なく、砂浜まで乗り上げることができたよ。舵は船底より上に付いているからね、問題無し。

船から飛び降りて、船体を収納しておいた・・・さあ、もう、寝なきゃ!



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