第40話 海岸通りの調査
* 海岸通りの調査
朝食は、バイキングみたいに好きなだけ取ってくるものだったけど、私は、お粥にしておいた。おかずは、魚の煮物、焼き魚、佃煮まであるよ。そうそう、握り寿司っぽいのもあったから明日はそれにしてみようと思う。
宿を出て裏に回って、隠密して浮上する。港も王都も一望だよ、整った王都だな〜
高度を上げれば、海沿いの遠くに海岸通りの関所?出入国管理棟の建物が2棟見える。国境には険しい傾斜の山脈が海岸まで伸びているから、山越えで密入国するのも無理っぽいところだね。
思ってたよりも、人の交通も多く、馬車も走っているよ? 高速船に片道銀貨1枚払うよりは、時間をかけてでも安く移動しようというところだよね。獣道みたいな細い通路も見えるよ。
馬車は、商人のものだろうけど屋根なしの荷馬車が多い。ときどき屋根のある馬車が走っているけど、そのうちの一台、これきっと駄目なヤツかもしれないな、だって人の気配がおかしい。
御者は2人だけど、馬車の中には女性たちが6人、しかも気配が薄いのだ。きっと眠っている? でも6人全員が・・・?・・・
なので、隠密のまま馬車の真上まで高度を下げて馬車と並走しているんだけど、御者席の二人の会話が聞こえてくるよ。
「今回の6人、なかなかの上玉じゃないか!しかし、衛兵門なんて簡単に抜けられるな、この奪い取った冒険者カードって、なかなか役にたつよな本当に、見せるだけで済むんだぜ? ・・・」
つまり、まず冒険者カードの窃盗、その不正使用。女性たちの拉致・誘拐・監禁。人身売買。つまりこんなところですね。
マッピングに奴らと馬車をマークして、ワタリさんのところまで転移で移動する。
ワタリさんに「秘密案件」って伝えて、部屋の中で知り得た情報を報告したよ。
「よし解った。一緒に行こうか!」って、何?私も行くんですか〜「おうよ!」
って、私の腕を掴んでくるので、俺をそこまで連れて行け!ってことだよね〜
ワタリさんを連れて、これからあの馬車が向かってくる少し手前に移動する。
あと5分もしないうちに見えてくるだろう。
土煙を上げて馬車がこっちに向かってきているので、マッピングのマーキングを参照して確定。馬車内には6人の気配の薄い女性たち。間違いないので「あの馬車です!」ってワタリさんに教えてあげた。
彼も、自分で鑑定を発動させて確認できたようだ。なので、帰ろうとしたら、腕を掴まれて「まあ、もう少し手伝え!」って言うし、もう! 私は、ただのCランク冒険者ですよ〜
「俺が、馬車を止めて尋問するから、お前がなんとかしろ!」って、エッ?何をおっしゃってますか〜 まあ、なんとかしてみますけど・・・
それで、ワタリさんが馬車の前に出ていって馬車を止めて、御者席の連中に話しかけているんだけど、御者はもう馬車を走らそうとしているよ〜もう!危ないな〜
なので、ちょっと遠くからだけど、御者二人に気絶をかけて無力化してみたよ。
「ミヤビ? お前、何をした?」って、ただ眠ってもらっただけですよ〜
まあ良いじゃないですか〜 これで、馬車の中を調べられるでしょ?
やっぱり、女性6人は誘拐されて、何かの薬を飲まされて、馬車に載せられて連れてこられたようだよ。
鑑定してみれば、何か?隷属の効果のある毒薬のようだな、リンネ〜これ解呪できるの?「ああ、大丈夫だよ、浄化と解呪、あと怪我もしてるみたいだし、ヒールでもかけておけ」って教えてくれたので、そうしてみた。なんだ〜、アンデッドと同じようなもの?
「まあ、違うけどね、ミヤビの魔法なら効くだろ?」ってことだ。
まあ、そんなのを見ていたワタリさんが黙っている訳無いよね〜
「ミヤビ、お前、回復魔法も使えるのか?」
「少しだけですよ〜」って言って、ついでに、クリーンもかけてあげたよ、ちょっと臭ったしね〜
御者二人は、ワタリさんに縄で縛られて馬車の後ろの荷台に括り付けられて、馬車はワタリさんの運転で、とりあえず、そこからはノスト王都の方が近いので、そこへ向かって進んでいる。何故か?私は、帰りたいのに・・・私も御者席に座らされているんだよ、お尻が・・・・痛い!身体強化とヒールをかけて、なんとか頑張っているよ。
帰り道、ワタリさんがいろいろ話しかけてくるけど、・・・いろいろ「秘密」で!って言って、適当に答えているだけだったよ〜
でも、そんな話の中で、先日の船上の3人組について少し教えてくれたよ。
食堂から強制連行して、再度犯罪歴鑑定をして、お縄に。冒険者カードは、知らない新人冒険者から奪ったもので、その冒険者たちを殺害した。まあ、ステータスチェックとカードの名前が一致しないからね、冒険者カードの不正使用の現行犯!あとはさんざん尋問して情報を聞き出してから、衛兵たちに引き渡したようだ。でも、今回のこいつらも、まあカードの不正使用だろうけど、衛兵の検問をそれだけで簡単に通過できてしまえるのは、まあ問題だよね〜
3人組は、今までに数回、奪ったカードを使って出入国を繰り返していたらしい。
それで、犯罪組織ガロンの中堅幹部だったらしく、賞金首が2人いたようだよ。
「だから、お前にも用事があるから、このままギルドまで付き合え!」ってことらしい。まあ、良いけどね〜 何の用事?
のんびり楽しい馬車の旅!ということにはならずに!乗り心地悪い、お尻痛い・・・の馬車で、王都の冒険者ギルドまで戻ってきた。早速、ギルド職員が何人も出てきて、荷台の2人を担いで連れていき、馬車からおろされた女性たちも職員によってどこかへ連れていかれたよ〜
私はワタリさんの部屋にいる。机の上には・・・既視感?
金貨500枚入の布袋が2個置かれているよ? なんでも、犯罪者発見および確保への情報提供への報酬、並びに、賞金首捕縛への協力報酬、ということで、合計2袋、金貨1000枚、ということらしい。内訳も何もよくわからないけど、まあ、いただけるものなら?もらっておきましょ〜
▶ミヤビ
犯罪者発見および確保への情報提供への報酬など、
収入:ノスト金貨(現行)1000枚
因みに・・・って言って、賢者の遺品のノスト金貨を1枚出して見せて、
「この金貨は、この国で使えますか?」って聞いたら・・・
「それ!どうした?」
「どこかのダンジョンだったかな? 拾いました」
「確かに、ノスト王国の金貨だけど、それ純金100%の純金貨だよ!まあ使えないことはないけど、一旦、冒険者ギルドか商業ギルドで現行金貨に両替したほうが良いだろうよ」
どうやら、思っていたような大金貨ではなくて、さらに上の古代金貨で、純金貨というものらしい。相場では、10大金貨で1純金貨。なので、これ一枚で通常金貨100枚分の価値というものらしい・・・と、私の純金貨、大金貨、金貨を机に並べて見せてくれたよ。確かに、大金貨より一回り大きいな。大金貨も純金だけど、より大きく分厚い純金貨が10倍というのもうなずける。賢者の遺産は、今、一体いくらの価値なんだろうね!?
とりあえず、純金貨10枚出したら、両替してくれるっていうのでお願いしたよ。
ちょっと待ってろ、ってワタリさんが出ていくのと入れ替わりに、ギルド嬢がお茶を持ってきてくれた。あれ?この人も・・転生者なの? たくさん転生者が・・・多いんだね〜
「こんにちは、ミヤビさん。お茶をどうぞ」
って普通だね。でも、きっとこの人の能力も高いんだろうな〜 だって、
▶名前:アコ 転生者 女 レベル120 ギルド職員
スキル:鑑定、回復、
魔法特性:聖、風、水、
と、そこへワタリさんが戻ってきたよ、袋を2個持って。
「ほら!現行金貨1000枚だ、両替手数料はサービスしてやる!」
▶ミヤビ 両替収入 現行ノスト金貨1000枚
「まあなんだ?ミヤビ、いろいろありがとう。おかげで、犯罪組織の情報も集まったし、出入国チェックの大きな問題も浮かび上がった。すでに王家には伝えてあるけど、まあ、すぐ!ってわけにはいかないからな、できたら、もう少し今の調査を続けてくれるとありがたい!」
ってまあ、そこまで言われたらね! お金もいただいたし! 「はい!」って返事をしてギルドを出てきたよ。
あそこ、海岸通りの中央あたりにも、衛兵さんたちを配置して、通過検問でもおいたら良いのにね〜 って、別に?言わないけどね〜
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