第39話 宿の女将さんは転生者 

* 宿の女将さんは転生者 


まあ、私は紹介された宿へ向かおう。ギルドから少し、10分くらい坂道を登った丘の上の宿、ここ見晴らしが良さそう。

「こんにちは〜、ワタリさんの紹介で来ました〜」

って入っていったんだけどね、あれ? 誰も居ないのかな? 「こんにちは〜」

「はいはいはいはい・・ごめんね〜 今そっちへ行くから〜」

って、何か肝っ玉母さんみたいな人が現れたよ。あれ? 見えたよ、転生者なの?

名前は、ヨーコ、ワタリって、えっ? 

ギルド長の妹さんらしいよ、どうやら兄弟で異世界召喚されてきたらしい。というか、兄さんの召喚に巻き込まれて、付いてきちゃった?っぽい。

顔を合わせた途端にいろいろ説明してくれたよ。小声だったけどね・・・

もう、私のことは、すべて?このヨーコさんにも伝わっているらしい。恐るべき情報網だね。まあ良いや、どうにかなるでしょ?

それで、案内された部屋は二階の海側の南角部屋で・・とても良い!

窓からは海も港も全部見える、何コレ、もう最高!


部屋には風呂もあるし適度に広い。あとは食事だよね〜

もうすぐ昼食だよって言われて、下の食堂に降りていくと、何とも懐かしい?香り。

あっ、これひょっとして和食? ご飯に味噌汁、オーク肉の和風ハンバーグ、サラダ、これが、昼のメニューだ。

ご飯と味噌汁を食べてみる。ああああ〜 美味しい! 何?お米も美味しく炊けてるよね〜 凄いなヨーコさん、それとノスト王国! 

イイねこの宿、コレで一泊銀貨1枚! 紹介してくれたワタリさんに感謝です〜

食事中にヨーコさんが寄ってきたので少し話をしたんだけど、彼女は、持っているスキルは収納だけなんだって。でも、宿を経営するには便利だよね。

それで、兄さんの召喚に巻き込まれたのではなくて、思わず、その時の直感で、兄さん、ワタリさんの腕をガシッって掴んで自らついてきたって教えてくれた。

「ミヤビさんも転生?」って聞かれたので、いつもの設定で、祖先に転生者が居たこと、能力はあまり受け継いでいないこと、このマジックバッグが親の形見であること、などを話しておいた。

「そうなんだ〜そういえば、髪の色も目の色も、こっちの人だね〜」

うん、そうそう、悪いけど、そうしておいて下さい、って心の中で謝っておいた。


ヨーコさんも、こっちで結婚して、旦那さんを和食文化で染めて、この宿をオープンしたそうだよ。兄がね、これ幸いと、ギルドの上客を斡旋してくれるから、ありがたいね〜って、商売も繁盛しているようだ・・・


さて私は、依頼はまだ明日からで良いって言われたから、中央市場をぶらつこうかな?

まずは、そうだよね、食材。ヨーコさんに聞いてきた食材店にはいる。

米、醤油、味噌、豆腐まで揃っているので、ちょっと多めに買って収納する。

帰って、エミリにも教えてあげよう!

あとは、流石に海が近い王都、魚の種類も多い。幸い、収納があるからね、これも、いろいろ買っておこう。マグロ、カツオ、サンマ、ブリ、アジ、イカ、ホタテを多めに買い込んだ。これ、生魚なんだけど、収納に入れられるって良いよね〜寄生虫も、回虫なんかも除かれているよ・・・

宿の夕食は、ひょっとして?刺し身でも出てくるのかな〜楽しみ!


出ました〜刺し身です〜 夕食はマグロとイカの刺し身に、アジフライ、味噌汁にご飯でした。何これ、もう!最高〜

さすが、収納持ちのヨーコさんです、使いこなしていますね、これなら、刺し身も安心して、美味しく食べることができます。

ご飯のおかわりまでしちゃいましたよ。

リンネが念話でね、「魚食べてみようかな〜」っていうので、あとで、私の収納から分けてあげるね〜 やっぱり猫には魚でしょ!


夕食後は、ゆっくり風呂に入って、今、夜風に当たりながら港の明かりを見ているんだけど、何かここ日本みたいだな〜


一応、空間把握して明日からの調査の下見をしてみる。おかしな気配をマッピングにマークして今日は終わり。悪意はたくさんあったけどね、殺意はなかったし・・・


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