第23話 女史(じょし)
「語源辞典」によると、もとは古代中国の女官をさした語で、これが日本の律令制に取り入れられたのだそうです。ただし、上述した意味で使われるようになったのは、明治時代からとあります。
この言葉を取り上げるのにあたり、私の脳裏に浮かんだのは、「ヘレン・ケラー女史」でした。ネットで検索してみると、予想どおり結構たくさん出てきました。
ヘレン・ケラー(1880~1968年)は、視聴覚に重い障害を持った女性で、障害者福祉や教育に尽力しました。
戦前戦後、計3回にわたって来日し、その都度大きな反響を呼びました。ネットで来日時の記事など見ると、「ヘレン・ケラー女史」が盛んに用いられているのが分かります。
しかし、よく考えてみると、女性の学者・芸術家・政治家等にだけ、なぜ敬う語を付けるのか、いささか合点がいきません。
なぜ、ヘレン・ケラー氏ではいけないのか?
社会的に活躍する女性が圧倒的に少なかった時代であったがゆえに、女性という「ハンデ」を乗り越えて一家を成した人ということで、女史を付けて呼んだのではないでしょうか。
今ではめっきり聞かれなくなったのは、きわめて自然なことといえます。
むしろ、使われるべき言葉ではないと思います。
なお、「国語辞典」には女史の用法に関して、「女性に対する
本来の意味の女史が使われなくなったのに伴い、こちらの意味でも使われなくなりました。
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