第12話 ずべ公(すべこう)
意味は、「不良少女」です。(「国語辞典」、『広辞苑 第7版』)
「国語辞典」に、〔「ずべ」は「ずぼら」の意の「ずべら」の変化という〕とあります。
「ずべ公」は、年配の人でないと、知らないのではないでしょうか。
辞書に「ずべ公」の意味として載っている「不良少女」さえ、今はあまり使いません。
いつごろまで「ずべ公」が使われていたのでしょうか。手がかりを得るため、この言葉をウェブで検索したところ、1970年から1971年にかけて東映で制作・公開された次の映画のタイトルが出てきました。
『ずべ公番長 夢は夜ひらく』
『ずべ公番長 東京流れ者』
『ずべ公番長 はまぐれ数え唄』
『ずべ公番長 ざんげの値打ちもない』
いずれも
少なくとも、1970年代ごろまで使われていたことが窺われます。
さて、「ずべ公」の「ずべ」は、上に記した辞書の説明で、何となく分った気がします。
しかし、後ろの「公」は何なのでしょうか? 公は、公益とか公共とか、余り悪い意味には使われないのでは?
手元にある新潮社編『新潮 日本語漢字辞典』(2007年)で、「公」を引いてみました。すると、「公」の意味の7番目に、次のように書いてありました。
「⑦ 人などを表す語の後につけて親しみや
そして、次のような用例が挙げられています。
忠犬ハチ公、
なるほど。「熊公」は落語によく出てきます。「先公」は今でも使われているんでしょうかね。
上記にはありませんが、猿を意味する「えて公」というのも聞いたことがあります。その由来などについて、「国語辞典」には次のように書いてあります。
〔「えて」は、サルが「去る」に通じるのを
へー。「さる」を嫌って「えて」と呼んだ、というのは知りませんでした。「スルメ→アタリメ」、「梨→有りの実」などと同じ発想ですね。
ずいぶん脱線してしまいました。
「ずべ公」は、今では何というんでしょうか。「ヤンキー(娘)」でしょうか。
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