第11話 いかれぽんち

 「いかれた男、ふぬけた男」の意(『広辞苑 第7版』)です。

 

 子供のころ、大人が使っているのを聞いて、妙な言葉だと感じた記憶があります。「いかれ」は「いかれた」のことと分かるのですが、「ぽんち」とはいったい何なのか?

 デパートの食堂などにあった「フルーツポンチ」の「ポンチ」なのか?


 私の両親は新潟県出身で、私は主に東京都内で育ったため、分からなかったのかもしれません。


 「国語辞典」には、「んち」は「んち」ど同義で、「【坊ち】〔富山以西、近畿・中国・四国方言〕未成年の男子」とあり、用例として「いかれぽんち」が出ています。

 ということは、関西方面出身の方なら、妙な言葉とは思わないのかもしれません。


 関西方面ではいまでも「いかれぽんち」が使われているのでしょうか? もし機会があったら、関西方面にお住まいの方にお伺いしたいものです。


 「ぼんち」とほぼ同義の言葉に「ぼんぼん 坊々」がありますが、こちらは今でも耳にすることがあります。

 例えば、

「若社長はしょせんだからな。大丈夫かな」

といった具合でしょうか。


 ちなみに、フルーツポンチの「ポンチ」は、「〔punchの日本語形〕ブランデーなどに、果汁や砂糖などを交ぜた飲み物」(国語辞典)です。


 さらについでながら、ポンチの用例に「ポンチ絵」が出ています。この場合のポンチは、Punch=英国の絵入り週刊誌名から来ていて、ポンチ絵の意味は「漫画、風刺画」です。

 私が若輩の会社員だったころ、たとえば会議資料の案を上司に持って行ってみてもらうと、「ここに全体の流れを示すを入れろ」などと言われました。

 

 ウィキペディアによりますと、『パンチ』は1841年に英国で創刊された週刊風刺漫画雑誌です。その海外派生版のひとつに、『ジャパン・パンチ Japan Punch』があります。

 これは、1862年に英国の画家・漫画家ワーグマンによって創刊された週刊風刺漫画雑誌で、1887年まで続きました。「ポンチ絵」の語源は、この『ジャパン・パンチ』だそうです。


 「ポンチ絵」という言葉も、「過去帳」に記載していいのではないかと思います。


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る