第9話 アベック

 「男女などの二人連れ」(「国語辞典」)の意味です。

 語源は、フランス語の「avec=~と一緒に」だそうです。


 以前は、よく耳にしたような気がします。

 たとえば、

「今日の渋谷駅前ハチ公周辺は、若いで溢れています……」

という具合です。


 1948年にリリースされた「東京の屋根の下」(作詞:佐伯孝夫、作曲:服部良一)に、「上野は花の」という一節があります。


 しかし近ごろは、「アベック」をあまり聞かなくなったように思うのですが、どうでしょうか?


 「国語辞典」に、次のような「アベック」の用例が掲載されています。

「アベックパトロール」

「労使のアベック闘争〔=共同(なれあい)の闘争〕」


 これらも、どうもピンときません。


 今は、「カップル」のほうが、しっくりくるのではないでしょうか?

 「カップル」:「一組の夫婦・恋人どうしなど」(「国語辞典」)

 語源は、英語の「couple=一対いっつい」。


 派生語で、「ばカップル」=「ばか+カップル」というのを聞いたことがあります。「国語辞典」には載っていません。

 周りの迷惑を顧みず、騒いだり、いちゃついたりするカップルを指すようです。


 なぜ仏語由来のアベックが廃れ、英語由来のカップルに置き換わっていったのか?

 私には分かりません。

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