第7話 煙管(キセル)(乗車)

 キセルは、刻みタバコ詰めて吸う喫煙道具のことです。


 キセル自体、時代劇や歌舞伎の中くらいでしか見ないものですので、現在では日常使われる言葉ではありません。

 しかし、ここで取り上げるのは、「煙管キセル(乗車)」です。


 「国語辞典」によると、「鉄道の乗客が、乗車駅・下車駅近くだけの切符を持ち、中間を無賃乗車するなどの不正行為の意」です。


 キセルの構造が、両端(雁首がんくびと吸い口)が金属、途中が竹でできていることから、そう呼ばれるようになりました。

 つまり、乗車区間の両端だけかね(料金)を払うということです。学生仲間の隠語が語源で、明治以降一般に広まったらしいです。(「語源辞典」)


 私は鉄道関係者ではないので、現在もキセルが行われているのか、ハッキリとしたことは知りません。

 しかし、改札口が自動化された今日、キセルを行うことは以前より格段に難しくなったのではないでしょうか。


 交通系ICカードにせよ、乗車券にせよ、改札を通って駅構内に入ったことが記録されていない状態で改札を出ようとすると、ランプが点灯し、改札口の観音扉がパタリと閉じてしまいます。そして、駅員さんがやってきます。


 自動改札口の導入は、業務の効率化だけでなく、キセルという不正行為の抑制にも寄与したのではないでしょうか。


 なお、キセルという言葉は、「くだ」を意味するカンボジア語「khisier」が語源だそうです。また、その中間部の管を「羅宇らお」と言いますが、これは地名ラオス(Laos)が語源だそうです。


 いやー、言葉って面白いですね。

 

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