第6話 シャン
私が子供のころ、父に命じられて、近くの酒屋まで酒を買いに行かされたことが、よくありました。もちろん、父が飲む酒です。
父は無類の酒好きでした。
そんな父が、「あそこの酒屋の奥さん、シャンだろ」などと言っていました。
それなら、自分で買いに行けばよかっただろうと、今になって思います。
「シャン」の意味は「美人」です。語源はドイツ語の「schоn」(シェーン。美しい。本来は「o」の上に小さな点が二つ付くのですが、文字の出し方が分かりません(-_-;))
「国語辞典」によると、戦前の学生用語だそうです。
私が知っている範囲ですが、「シャン」には派生語が二つあります。
一つは「とてシャン」。「とても+シャン」です。
もう一つは「バック・シャン」。これは「back+シャン」。つまり、後ろから見る分には、たとえばスタイルが良いなど、美しい。しかし、前から見ると……、ご想像にお任せします。
この文章を書いていて、父から聞いた言葉をもう一つ思い出しました。
それは「メッチェン」です。ちゃんと国語辞典にも載っていて、”「若い女の子」の意の、旧制高校生などを中心とした学生用語 ” とあります。
語源は、ドイツ語の「Madchen」(メートヒェン。少女。aは上に点が二つ付く)だそうです。
シェーンもメッチェンも、そのままドイツ人の前で声に出しても、とても通じそうにありません。
「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」という川柳のようです。
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