第5話 かまとと

 「国語辞典」には、”「かまぼこ」は「トト」で作るのか、と尋ねる意。世慣れていなふうをよそおうために、わざととぼけた物言いをすること(人)” とあります。


 私の印象では、特に、若い成人女性が、男女関係や性的なものに関して、さも知らないように、そらっとぼける様子を指している気がします。


 例えば……

 男が、スマホ画面に映った「おもちゃ」を見せながら、

♂「今度、これ使ってみようか」

♀「え? それ、なに?」

♂「知らないの? ウソだろ」

♀「分かんない」

♂「なにをカマトトぶってるんだよ」

 

 いささかしもがかった用例で、失礼しました。


 ちなみに「語源辞典」には、”……女性が「うぶ」らしく振舞うことについていうことが多い。” とあります。


 同辞典によれば、”江戸時代末期に上方かみがたの遊里で使い始めた語のよう” だそうです。ずいぶん「伝統」のある言葉なんですね。


 今では、古語の仲間入りを果したのではないでしょうか。


 ちょっと似ている言葉で、「ぶりっ子」(いかにもかわいくて、素直な子であるかのようにふるまうこと。特に、若い女性に言う……国語辞典)というのがあります。 こちらは、性的なニュアンスは薄いと思います。


 「ぶりっ子」も、あまり聞かれませんね。

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