第4話 マドロス

 「マドロス」とは、オランダ語由来の外来語で、「船員」の意味です。


 私は日常生活の中でこの言葉が話されるのは聞いた記憶がなく、もっぱら歌謡曲の題名などで聞いたことがあるだけです。

 若い人の多くは、「?」でしょう。


 船員といっても、外国航路の商船の船員で、軍艦の乗組員つまり水兵などは含まれないと思います。


 今のように航空機による交通網が発達する前、国際貿易や旅客輸送は、もっぱら船舶が担っていました。

 戦争直後、岡晴夫という歌手が歌ってヒットした「憧れのハワイ行路」の世界です。

 その後も、田畑義男、小畑実、美空ひばり、三橋美智也、春日八郎といった歌手が、マドロスを扱った歌を歌ってヒットしました。「マドロス歌謡」なるジャンルもあるそうです。


 マドロスは、船に乗り込んで世界各地に赴き、寄港地ではロマンスも花咲いたのでしょう。しかし、船乗りなので定住はしない定め……。

 そこに、出逢いと別れの物語が生まれたわけです。


 マドロスに縁のある「波止場」という言葉も、あまり聞かなくなりました。

 今は、「埠頭」(例:大井埠頭)、「桟橋」(例:竹芝桟橋)という言葉に置き換わっているのではないでしょうか。


 しかし、「波止場」のほうが、ロマンを感じさせますね。

 

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