第5話

その後の私は卒業まで抜け殻状態。

残りの授業にも身が入らず、何も入ってこないばかりか今まで培った知識は全て抜け去った。


こうして私の青春は幕を閉じた。



目標も希望もなくなり全てにおいて気力を失い、どこへ向かえば良いのか分からなくなった私はその後フリーターとなり適当な毎日を過ごしていた。


数年が過ぎ、私たちが22歳になった年のこと。

snsに一通のメッセージが届いた。

送り主は彼と私の共通の幼なじみだ。

内容は昔よくあそんでいた幼なじみたちで久しぶりに会おうとのお誘い。

特に断る理由もなかったので、日付を決めて集まることになった。



当日、久しぶりに会う友人たちに懐かしさを感じながら他愛もない会話を繰り広げた。

メッセージを送ってきた友人はもうすぐ大学を卒業し就職。

もう一人は私と同じフリーター。

私と違っていたのはこの子は頭を使ってお金を稼いだことだ。


そんな些細な事に対しても自分がいかに堕落してしまったのかを痛感してしまい、勝手に少し落ち込んだりもした。


他にも同じ中学にいた子たちはどうなっているのか等の話題が出たが、私は基本的に中学の連中が苦手だった事もあって卒業以来疎遠だったし、在学中も交流は狭かったので名前が出ても誰が誰か分からない。

中には結婚した子や子供がいる子が意外に多くて、みんな大人になっているんだと改めて痛感する。


私だけ、私だけがずっと時が止まったまま。

向き合いたくなかった。

本当は気づいていたけど見て見ぬふりをした。

私だけ心が18歳のままだ。

私だけ、過ぎていく時間を拒否したままなのだ。

惨めでどうしようもない気持ちでいっぱいだった。



そうして何度か幼なじみたちと集まっていくうちに彼が一浪して京都大学に入学した事を知った。



「なあ、もう少し人数を集めて同窓会的な事をしないか?」



最初に集まりの声をかけてきた幼なじみがそう言い出した。



私は彼に会えるなら、と賛成した。


その子に成人式の彼の写真を見せて貰ったが、昔とは少し印象が暗くなった様な感じで、写真の後ろの方に写っていた。






彼はまだ生まれ変わったら雲になりたいのだろうか。


それとも乾いた声でははっと笑って、そういったことも忘れているのだろうか。


昔憧れた少年へ少しの期待を抱いてしまうのだ。




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生まれ変わったら雲になりたい。 椛島 @oo000

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