第3話

中学に入り私は挫折を知った。


どんなに頑張っても一番になれない。どころか満点すらろくに取れない。

中学一番最初のテストが一番点が取りやすいといわれていたのに、総合的な結果は超ド平均。

手を抜いていたわけでもない。


そんな状態でも気になったのは隣のクラスになった彼の結果だ。


数日後に彼の担任が「あいつは凄いなぁ」と言っているのを聞いた。

やっぱり彼は変わらず凄いんだ。


彼は勉強だけでなく何でもできた。

スポーツも万能だった。毎年水泳大会ではバタフライを泳ぎ、毎年一番だった。


私が満点を取れるテストでは彼も当たり前に満点だった。


夏休み明けに開かれたよくわからない英語の実力テストでは満点を取った生徒は体育館で表彰されるのだが、そのテストで私は満点を取った。表彰者の中には勿論彼もいた。


彼と並べたのはこれが最後だった。



定期テストは回数を重ねるごとに大抵はみんな点数が下がりがちだが私は大きな上がり下がりがなくずっと一定で、彼はずっと学年トップを走り続けていた。


中学一年にしてもう彼は遠い存在だった。

私には憧れるだけしかできなくなっていた。




中学生にもなると周りにはカップルが誕生して行きがちだが、私もその一人だ。

一瞬の春だったが私にも恋人が出来た。

入学後に小学校からの友人と交際をはじめ、夏休み中に二股をかけられて別れた。


恋人がいても彼の存在は常に気になっていた。

休み時間、下校時、目に入る時。気づけば彼を目で追っていた。



暫くして私は彼のことも頭から離れる程何かに疲れる様になり、二年生になると私は本格的に不登校になった。

所謂思春期うつというものだ。そのまま卒業まで殆ど不登校だった。


勉強は好きだったので家では暇さえあれば参考書を解き、インターネットサーフィンと参考書の行き来を繰り返していた。


彼のことを思い出すのはたまに登校したとき、下校時に彼を見かけるときだけになっていた。


彼はきっと県内一の偏差値の高校に進学するのだろうと昔から思っていたが、彼は本当に合格していた。

きっと国内トップレベルの大学に進学するに違いない。なんて思いながら中学卒業を迎えた。








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