第2話

高学年にもなってくると自分が勉強が出来る出来ない、の判断は何となくついてくるだろう。


私は休みがち且つ怠惰な人間だったので、休んでいる間は勉強などせず、何度か授業から遅れることがあった。勿論ズル休みだ。

しかしながらたかだか小学校の勉強だ。すぐに取り戻すことなどそう難しくなかった。


六年生になる頃には私はそこそこ出来る方。中の上~科目によっては上の中といったところか。

彼は全てにおいて上の上。毎回のテストにおいても殆ど彼がクラス一、いや学年で一番だっただろう。


自分が彼より劣っている事は重々承知だったが、彼と一、二点差なんて事もあったので親近感があったし、ちょっとだけ嬉しかった。


学校を休みがちでもそんな点数が出るのだ、自分は特別とまでは行かなくても何となく他とは違うかもしれないなんて思うこともたまにはあった。

子供にはよくあることだ。



彼とは何かしら縁があったのか、席や授業の班などでよく一緒になった。


その頃から何となく、彼とは遠く離れたくないなと思っていた。

恋心とはまた違った気持だった。



卒業が近くなって卒業制作の係を決めるとき、彼はすでに何かしらの係に選ばれていて、別のチームだけど一緒にやろうと彼から誘われたが私は断ってしまった。

当時の私は居残りまでして何か仕事をするなんてまっぴらごめんだったのだ。


今は彼の誘いを断ってしまったのを少しだけ後悔している。



卒業が近づくにつれ彼とかかわることが少なくなった。

そのまま冬休みに入り、卒業式が来てしまった。


みんながきちんと考え抜いた将来の夢を講堂で発表する中、生まれて一度も将来の夢ができたことがない私はその時ハマっていたアニメ関連の何とかを将来の夢とした適当なことを語るのはとんでもなく耐えがたい仕打ちだと泣きたくなったのを覚えている。

彼の将来の夢は医者だった。想像通りだ。

医者になって新しい薬を開発し、まだ治療薬が見つかっていない患者達を助けたいというものだった。優秀な彼らしい。そしてなんて差だ。



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