7.

 * * *






「うわあああ!」






 目覚めたら、家のベッドの上だった。


 状況理解には大分の時間を要したが、それでも段々落ち着いてきた。

 あんなに怖いベゼッセンハイトさんはやっぱり夢だった。


 そうだ。彼があんなことする訳はない。


 だから絶対に昨日の体験は夢。リアルな夢。


 今日、彼のもとへ確認に行こう。


 * * *


 でも現実はそんなに単純じゃなかった。

 朝、鏡を見たら――自分の瞳孔が真っ白になっていた。


「うわああ!」


 衝撃。

 すぐに同じ目の彼を思い出す。

 すぐに昨日の強烈な体験を思い出す。


 昨日飲んでしまった「何か」を思い出す。


 あれ……僕、それをあの後どうしたんだっけ?

 あれ。どうやって家に帰った?

 というか「ちから」とは。

 この目はどうやったら治るの。

 何が起きるの?

 どうなっちゃうの?


 また過呼吸になってきた。

 また心臓が痛くなってきた。

 頭も冷たくなってきた。


 僕は……「普通」?


 震える体を無理やり抑え込んで、再確認をと恐る恐る鏡を見て――。


「どうしたの? 響。さっき物凄い悲鳴が聞こえたけど」


 背後に丁度母さんが現れた。


 ――!


 それからは自分の身を守るため、必死だった。

 真逆、あんなことになろうとは。






「見ないで!!」






 ゴン!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る