第8話

留学してきてもうすぐ2年が経つ。

あっという間だった。


友人もたくさん増えた。


勉学は頑張った。

試験前はみんなで教えあって、わたくしが在籍した2年間は1人もクラスメイトの入れ替わりはなかった。


卒業後、ラフィーネは「結婚は向かないから外交官になって世界中を飛び回るわ」と、嫁に出したくない伯父様は大喜びし、伯母様は怒り狂っていた。


リットとアリスは卒業と同時に結婚することが決まっている。

面白いことに、相手も双子でリットは嫁ぎ、アリスがお婿さんを取る。


どんな子供たちが生まれるのか今から楽しみだ。


わたくしだって、お付き合いしたいと手紙もたくさん貰ったし、直接告白もされたりした。



彼ほど惹かれる人はいなかっただけ。





国には1度も帰っていない。


両親とは手紙のやり取りを欠かさず続けている。

可愛い弟も大きくなっていることだろう。



殿下が婚約したとか、婚姻が決まったとかそんな情報は入ってきていない。


あれだけ魅力的な人だから、すぐに相手が見つかると思っていた。


忘れると決めて留学までしたのに、忘れることが出来なかった。

きっとあの笑顔を見ることが出来なかったことが未練になっているのだと思う。




明日は卒業式だ。


わたくしは次席での卒業だ。



リットとマリアの合同結婚式が終わるまでは帝国に残る。





感動した。

リットもマリアも飛び切り綺麗な新婦さんだった。


双子の新郎の方が号泣するから、わたくしまでつられて泣いてしまった。

ラフィーネは爆笑していた。


明日には帝国を出発予定だ。


今晩はラフィーネと2人語り明かすつもり。

母国の学園でも、帝国の学園でもラフィーネがいたから頑張れた。

大好きで自慢の従姉妹だ。




帰ったらすぐにデビュタントがある。

ドレスは伯母様とラフィーネのデザインで決められた。

装飾品は伯父様とテオ兄様からのプレゼントだ。

最後までお世話になりっぱなしのまま今日出発する。

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