第2話

1ヶ月後、王家からお茶会の招待状が届いた。


その日は朝から私の専属侍女のアンが起こされ「とびっきり可愛くしましょうね。最初が肝心ですから!」と気合いが入ってる。


浴室に連れ込まれ他のメイド3人で痛いぐらいに磨かれピカピカになったが既に疲れて抵抗もできず、されるがままドレスを着せられ、薄い化粧をし、髪もサイドを編み込みドレスも同じ緑のリボンをつけてくれた。


アンもメイド達もやりきった感で満足気に頷いてた。


お父様は茶色がかった金髪に青の瞳。

お母様は銀髪にピンクがかった紫の瞳。

私はお母様と髪も瞳の色も同じ。

顔もお母様そっくりだとお父様は私を溺愛してくれる。


お父様とお母様の待つエントランスに行くとお父様は「うちの天使が・・」と涙目で抱きしめてきた。

お母様は「まあ!可愛いわ。さすがわたくしの娘ね」なんてそっくりな顔で褒めてくれた。


3人で馬車に乗り込みお城に向かう途中にもお父様は「何で家の娘なんだ」と頭を抱えていた。そんなお父様の背中をお母様は優しく撫でながら困った顔をしてた。



応接間に通され、中には以前会った王妃様と王子様、そして初めて会う男の人この方が国王様だと雰囲気でわかった。


お父様に続いてお母様と一緒にカーテシーで挨拶をすると、国王様も王妃様も笑顔で返してくれた。


王子様は無表情で私を見て視線を外された。


何も話さない王子様と私に「デューク庭園に案内してあげなさい。」と王妃様に言われ嫌そうな顔で「では、こちらにどうぞ」と言ったあとは背を向けられた。

急いで席を立って慌てて追いかけた。

扉が閉まる前に「デュークったらダメね」と王妃様の声が微かに聞こえた。


王子様は待ってもくれず振り向くこともせず先を歩いていた。

小走りで追いかけても気にもかけてくれなかった。

その時いい香りがすることに気づいた私は追いかけることをやめた。

だって、そこは綺麗に手入れされた花々が幻想的に目の前に広がっていたから。


王子様のことはその時には忘れていた。


しゃがんで花を見つめていると「おい、おい!聞こえないのか!」と後ろから声が聞こえた。

振り向くと王子様が汗だくで怒っていた。



すぐに立ち上がって「申し訳ございません」と言ったが「帰るぞ」と言うとまた背を向け歩き出した。今度は置いていかれないように私も必死で追いかけた。


ようやく応接間に戻った時、お父様以外はみんな笑顔だった。

そのままお別れの挨拶をして馬車に乗り込んだ。


馬車が動き出すなり「2人で話してどうだった?」とお母様はワクワクしながら聞いてきた。応接間から出てから帰ってきたところまでを正直に話すと、お父様の顔は憤怒の顔に、お母様の顔は困った顔になった。


まだ、この時も王子様に対して何も思っていなかった。

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