第73話 ルビーとご飯
ルビーのドレスやワンピース、部屋着が完成したのでルビー用のブレスレットに細工をして渡した。
「ルビー、人化してみてくれ。」
『了解じゃ。チェンジ!』
人化したルビーは、黒のセクシーなドレスに着替えた。
「おお、凄いな。変身とともに着替えたのじゃ。チェンジ!」
『ドラゴンに戻ると服は収納される仕組みか。さすが主様じゃな。』
「そうだろ、そうだろ。」
「アトムのドヤ顔がキモい。」
いつも一言多い姉エミリンだった。
ルビーは何度も人化を繰り返し、洋服の装着を確認していた。
「とりあえず、この部屋着にしておこう。主様、どうじゃ? かわいいじゃろ?」
「まあな。」
ちょうど風呂の湯加減を確認してきたソフィアが戻ってきた。
「アトム様! そのお方はどなたですか?! まさかまた新たな婚約者を連れてきたのですか?!」
「え? 違うよ。ルビー、説明してくれ。」
「フフフ。ソフィアよ、我はルビーじゃ。驚いたか?」
「え? ルビーちゃんなの?」
「そうじゃ、人化できるようになったのじゃ。」
「えええ! 人化は100歩譲っておめでとうですけど、その胸はなんですか! 偽物ですか?」
「人化は人に化けているわけだから偽物と言えば偽物なのかもしれないが、感触はあるぞ。なあ、主様。」
不意に俺の手をとり、自分の胸に当てた。
「あっ」
「あっ」 ポッ
真っ赤になる俺とルビー。
「ごめん、ルビー。そして、ご馳走様でした。」
「いいえ。お粗末様でした。」
「アトム様! 今、揉みましたわよね? 鷲掴みにしましたわよね?! それにその反応は偽物では無いようですね。」
「ルビー。とりあえず、ドラゴンに戻って。」
「わかったぞ、主様。」
そこからソフィアの長い説教が始まった。
俺は悪くないよね?
我が家の禁止事項にルビーが人化した時は俺への接触禁止が追加された。
「その辺りにしておきなさい。アトム君に嫌われるわよ。」
ありがとう、シャナ。感謝するぞ。
そして、ドラゴンに戻ったルビーは俺の肩の定位置に戻った。
ソフィアがずっと見ている。視線を感じる。
☆ソフィア side
人化したルビーちゃんを見るとモヤモヤするの。
これは嫉妬なのかしら?
常にアトム様の側にいられるルビーちゃんに嫉妬してしまったのかしら?
それに凄い美人だし、色っぽいし。さらに巨乳って。
アトム君もやはり男の子ね。
ルビーちゃんの胸を触ったときにだらしない顔をしていたわ。
私だってまだ成長期だし、チャンスはあるはずよ。
絶対に負けないんだから!
でも、私は女である前に王女なの。
だから取り乱したりしたらいけないわ。
しかーし! 第一夫人の座は絶対に死守するわ。
「それじゃ、風呂に入ってくるかな。」
ここは逃げておこう。
「待ったあー! ルビーちゃん? なぜアトム君と一緒にお風呂に行こうとしているのかしら?」
『今更何を言っているのだ? いつもの事ではないか。』
「人化できるようになったのだから、女湯に入らなきゃダメじゃない!」
『たまにエミリンやカリンも一緒に入っているぞ?』
「え? えっ?! 聞いてないんですけど? エミリンさん、説明を求めます。」
ルビーに特大の爆弾を落とされて巻き添えを食らってしまったエミリンだった。
それから数十分の押し問答があり、ルビーは風呂での人化禁止となった。
『ソフィアの嫉妬深さと独占欲にも困ったものだ。主様のハーレムを維持できるのであろうかのぉ。』
「おい、ルビー言い方! ハーレムじゃないから。それより、また捕まる前に風呂に逃げるとしよう。」
婚約者達であって決してハーレムではない。
あれ? それをハーレムというのか?
まあ、どっちでも良いか。
それよりルビーの見た目には驚いた。
俺の美女ランキングが変動してしまった程だ。
1位は不動のスーザン母さん。
エルフということもあるが、俺を産んだとは思えないほど若い。
いや、俺と同い年と言っても過言ではない見た目だ。
昔は父の幼女好きを疑ったほどにだ。
恋愛していたころは釣り合っていたが、父だけ老いたのだろう。
2位はソフィアだった。
ソフィアは王女だけあって清楚で清潔感に溢れている。
典型的な美少女だった。
まさか婚約者になるとは思わなかったが。
そして、ソフィアを越えてしまったのがルビーだ。
『当たり前だ。主様の深層心理にある女性の好みを反映したのだからな。』
ルビーの一言で解決してしまった。
年上でセクシーなお姉さまタイプが好きだったらしい。
風呂から上がってもまだ女性陣の話し合いが続いていた。
また説教に発展したら嫌なのでエミリンに近づきクンクンした。
「早く風呂に入っておいで。エミリン、臭いぞ。」
「え! 本当? お風呂に行ってくる。」
一番匂い敏感なエミリンを攻めて正解だった。
「では、お風呂で続きを話しましょう。」
全員で風呂に向かうらしい。
まあ、我が家お風呂は大きいので問題無いだろう。
その隙に晩御飯の準備をするか。
渚さん、どうかな?
『完成していますよ。麺がのびてしまうので皆さんが戻ってから出しますね。』
もう出来ていたらしい。
久しぶりの餃子とラーメンが楽しみで仕方ない。
『主様、聞いて良いか? たまに独り言を脳内で言っているが何なのだ?』
「ルビーは気付いていたのか。俺のユニークスキルで相談役のような独立した知的機能があるんだ。俺の無意識化で俺のスキルを使うこともできる優秀なパートナーさ。」
『ナビか。さすが主様だな。』
「知っているのか?」
『遠い昔に異世界から来たものが転移時に神より授かったスキルと聞いているのじゃ。レア中のレアスキルじゃな。』
始めて渚さんのことを他の人に話したな。
理解してもらえるルビーで良かった。
『そろそろ女性陣が戻ってくるころか。チェンジ!』
部屋着のルビーが準備万端とばかりに食堂のテーブルに着いた。
「主様、早く出してくれ。」
「今日の料理は、アツアツで食べるのが良い料理だからみんなが席に着くまで待つように。」
するとエミリンが走ってきた。
「どう? 臭くない?」
まだ気にしていたらしい。
そういうところは可愛いぞ、姉さん。
「大丈夫、臭くないよ。まあ、さっきも臭くなかったけどね。」
腹にグーパンチを食らった。
徐々に席に着き、全員揃ったので料理を並べた。
今日の料理は約束通りラーメンと餃子、そして炒飯だ。
シンプルな醤油ベースにオーク肉のチャーシュー、煮卵とホウレン草が添えてある。
海苔とメンマも欲しいところだが、いつか手に入れたい。
餃子は、オーク肉の挽肉にニラとキャベツをたっぷり、獣人がいるのでニンニクと生姜は控えめにしておいた。
炒飯は、チャーシューとネギ、卵のシンプルなものにした。
我が家では頻繁にご飯を食べているので、皆ご飯には慣れているし問題無いだろう。
「主様、食べても良いか?」
「良いぞ。いただきます!」
「こ、これが旨いという感覚なのか! 脳が震える! この満足感、そして幸福感。我は今まで何も感じずに食していたと思うと悔しい。」
「アトムの料理は最高。フン。」 なぜかドヤ顔のエミリン。
「前に食べたうどんもおいしかったですが、私はラーメンの方が好きかもしれないです。」
「今日は醤油味だけど、他にも味噌や豚骨などいろいろな汁のバリエーションもあるし、トッピングもあるんだよ。ラーメンは奥が深いんだ。」
「主様、全種類が食べたいぞ!」
「そのうちな。それより冷めないうちに餃子や炒飯も食べてみてくれ。」
その日の晩飯は大好評に終わった。
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