第66話 炎龍との再会

いくら世界樹が神に結界で守られているとはいえ、サウザンカローナの被害は大きい。

このままでは悪魔どもから世界樹を奪還しても人の棲めない大地が残ってしまう可能性がある。

あまり時間が無いのかもしれない。

幸いギガンテスやデュラハンからステータスを大幅に上げるアクセサリをドロップしている。

これを活かさないのは勿体ない。

しかし、さすがにこの数のアクセサリを装備したら邪魔になるだろう。

そこで、オリハルコン製の細かい鎖のおしゃれなブレスレットにそのアクセサリ類を融合させることにした。

オリハルコンは、素晴らしい素材だ。

性能やスキルを底なしに吸収してくれる。

そこに動力源として、魔力水晶とデュラハンの魔石を凝縮し5㎜程の宝石型にし、はめ込んでいる。

性能は、母さん達に贈った守りの指輪と祝福の指輪の強化版だ。


*鑑定

 名称: アトムのブレスレット

 ランク: SS

 特徴: 全ステータス+500に上昇させるオリハルコン製チェーンブレスレット。

     無制限収納、時間経過なしの亜空間倉庫。

     全状態異常無効、念話、鑑定、生活魔法、身体強化、治癒魔法、

     鑑定阻害、隠密、危険感知、敵感知、魔力感知、魔力操作、マップ、

     HP/MP回復速度・回復量UP、Luck+500。

     アトムファミリー限定アクセサリ。


アーティファクト級の装備が出来上がってしまった。

神器と呼んでも良いレベルかもしれない。

装備しただけでレベル30~40アップしたぐらいのステータスの上昇が得られるものだ。

試しに装備してみると力が漲った。

これならドラゴンですら倒せそうな気がする。

ブレスレットのおかげで四天王をまとめて相手にしても余裕であった。


「アトム、このブレスレットは凄いわね。全能感が半端ないわ。もうイケるんじゃないかしら?」


「僕もそんな気がするよ。」


「レベルも60になりましたし、そろそろ良いかもしれませんね、南に向かっても。」


「最後にドラゴンと戦ってみないか?」


「良いですね。すごく勝てそうな気がします。」


「えっ? ドラゴンまで召喚できたのか? 本当に大丈夫なの?」


「さあ? でも、死ぬことは無いしやってみよう。ドラゴン召喚!」


あれ? いつもと違う?

ドラゴンであってもいつもはすーっと召喚されていたのだが。

ドロドロとした怨念のようなものを感じる瘴気のようなものが集まってきた。

数秒後、片腕を無くした手負いの炎龍が現れた。


『遅かったではないか人の子よ。我の身体に傷を付けて、ただで済むと思ったか。相応の報いを受けてもらうぞ!』


あまりにも怨念がこもった殺意で身体が震えた。

どうやら炎龍は、誇りを傷つけられ恨みで意思と身体を得て実体化したらしい。

これは莫大な魔力を持つドラゴンだから起こった奇跡だろう。


「GOAAAAAAAAAAAAA‼」


ドラゴンが吠えた!

それから口を大きく開き、いきなりブレスの体勢をとった。

向こうも始めから全力で来るようだ。


「みんな、しっかりしろ! 行くぞ! メイルシュトローム壊滅の大渦!」


地面から大量の水が噴射され、そのまま大渦となりドラゴンを包んだ。

激流にもまれたためにブレスの体勢が崩れ解除された。

その隙にオリハルコンの長剣を構えたエミリンが背後に回った。

オリビアのバフが飛ぶ。

大渦が解除された瞬間に腕の無い右側からカリンが斬り込む。

それをギリギリでドラゴンは交わしたが、それが油断となった。

背後から近づいていたエミリンが上段から剣を振り下ろし、尻尾を切り落とした。


「GAAAAAAAA‼」


大渦で翼はボロボロ、鱗は剥がれ、さらに尻尾を切り落とされた。

満身創痍状態になったドラゴンが渾身の力を込めて溜めなしのブレスを放った。

しかし、勢いは弱く避けられない程ではなかった。

ブレスを避けながらエミリンとカリンが斬り込む。

そして、エミリンによりさらに左腕も切り落とされた。


「エミリン、カリン、離れて!」


ずっと魔力を練っていた俺は渾身の魔法を放った。


「ビッグバン!」


爆発とともにドラゴンの右腹を吹き飛ばした。

ドラゴンは崩れるように倒れた。


「勝った!」


あれ? 消えない?


「まだ倒しきれてないのか?!」


『人の子よ。我の負けじゃ。良い戦いだった。トドメを刺すが良い。』


力なくドラゴンが呟いた。


『今ならテイム可能ですよ。眷属化をお勧めします。』


え? できるの? まあ、渚さんが言うならできるんだろうな。


「エミリン、カリン、待った!」


「えっ? 何で?」


「テイムする。」


「そんなことできるの? ダンジョンの魔物ですよ?」


「分からないけど、できるっぽいよ?」


倒れたドラゴンの前まで歩み寄り、額に手を乗せ語り掛けた。


「誇り高き炎龍よ。僕たちと共に旅をしないか? 君の力を貸して欲しいんだ。。」


眷属召喚は経験があるが、初めての魔物のテイムだ。

緊張したが、確かな炎龍との心の繋がりを感じた。

実体化しているので通常の魔物と一緒らしくテイムできた。


「できたっぽい? あっ、やばい虫の息だ。エンジェルウィスパー天使の息吹。」


みるみるうちにキズが癒え、両腕と尻尾が再生した。


『人の子よ。我を眷属にして良かったのか? 自分で言うのも何だが、今後色々と大変だと思うぞ。それと名前を付けてもらって良いだろうか。』


「そうだな。その大きさで外に出たら街は大騒ぎになるだろうな。例えば小さくなることって可能か?」


『できなくもないぞ。但し、小さくなった分、力も弱まるが。』


10m程のドラゴンが50cmに縮んだ。

ステータスも1/20に縮小した。

そして、俺の肩の上に乗った。


「おお! 可愛くなった。」


『主様。我の名付けを忘れていないか?』


「そうだった。赤い瞳からルビーでどうかな。赤い宝石と同じ名なのだが、ルビーには情熱、熱情、純愛、勇気、自由って意味もあるんだ。君にピッタリじゃないか?」


名を付けるとさらに絆が深まった感じがした。


「主様、気に入ったぞ。我はルビー、皆よろしく頼む。」


おお、念話ではなく、普通に話せるようになったぞ。

とても強い新しい仲間が加わった。


「ところで床に落ちているルビーの鱗や尻尾をもらっても良いか?」


「構わん。主様に治してもらっているからそれはもう不要なものだ。」


ドラゴン素材は非常に貴重だ。

何を作ろうかな。

考えるだけでワクワクしてくる。



*ステータス

 名前: アトム・ハリス

 称号: 伯爵、ハーフエルフ、Cランク冒険者、ダンジョンマスター、

     (炎龍ルビー)

 職業: 大錬金術師

 性別: 男

 年齢: 16歳

 レベル: 50→60


 HP: 800→1000

 MP: 1200→1550

 STR: 360→420

 INT: 1300→1660

 DEF: 380→450

 AGI: 420→480

 DEX: 980→1200

 Luck: 100


 スキル

  錬成、錬金ボックス、神眼、分解、合成改、抽出、付与、解析改、

  リスト、複製、魔力操作、亜空間工房、調理、裁縫、合成魔法、

  魔力回路エディタ


 魔法スキル

  生活魔法:ファイア、ウォーター、ウィンド、ライト、クリーン、

       デオドラント、フレグランス

  全初級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽

  全中級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽

  全上級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽

  空間魔法:スペース、テレポート、ゲート、ダンジョンウォーク、

       セレクトバリア

  時魔法:ヘイスト、スロー、タイマー

  重力魔法:グラビデ、ライト

  契約魔法:奴隷契約、眷属契約、主従契約、眷属召喚

  聖魔法:ターンアンデット、ドレイン、コンテイン、リカバリ、リペア

  精霊魔法:火精霊魔法、水精霊魔法、風精霊魔法、土精霊魔法、

       光精霊魔法、闇精霊魔法

  合成魔法:メテオストライク(火土重)、エクスプロージョン(闇火重)、

       (光火重)


 ユニークスキル

  異世界言語、全魔法適性、使徒apostle、仲間の絆、ユグドラシルの祝福、

  ダンジョン管理、上限解放リミットブレイク

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