第50話 東の世界樹ダンジョン ②
真っ暗な穴に飛び込み2階層?に移動した。
エミリンとカリンも着いてきていた。
今回は2度目とあってひっくり返ってはいなかった。
「森ですかね?」
「森だね。」
「ん? この気配は?」
「エミリン、ストップ!」
「え?」
*鑑定
名称: トレント
ランク: C+
特徴: 樹木型の魔物。木に擬態し、近づいたものを襲う。
特技: 擬態、鞭打ち、幻影
ドロップ: 魔石、木材、トレント材
「うわっ、周囲にある木の全てが魔物だよ。」
非常に厄介な樹木型の魔物だった。
気配を消し擬態して、近づいた獲物を狩る習性をもつ。
しかも、木なのに鉄より硬い。
素材は、超レアアイテムに位置付けられたトレント材で最高級の木材だ。
固く軽く丈夫で腐らない。
上流貴族の間のみで高値で取引されている。
それもそのはず、弱点である火魔法を使えば燃えて素材が残らない。
固くて普通の斧や剣では斬れない。
だから高ランクの冒険者でないと叩き切ることは難しいのだ。
だが、ダンジョンでは別だ。
ドロップアイテムとして得られる。
それに超レアだろうが、限りなくドロップ率100%の俺たちには関係ない。
エミリンが斧に、カリンが双剣に、鋼にミスリルコートした武器に切り替えた。
もちろん、俺が火属性を付与してある。
そして、2人とも武器に魔力を込めて切れ味を増し、攻撃力を増強している。
「こんだけ密だと動き辛いからちょっと俺が間引きしちゃうね。トルネード!」
俺は両手それぞれに竜巻を作り投げた。
竜巻はどんどん大きくなり左右に分かれて周囲の木々(トレント達)を巻き込みながら進んでいった。
その竜巻の中に特大のファイアーボールを叩き込んだ。
巻き上がったトレントは一気に燃え上がり、消し炭となって消えていった。
そして、トレント材が降ってきて山となり、有難く収納した。
手前にいたトレントが消えると奥のトレントが地面から自ら根を抜き這い出てきた。
その根を足のように動かし、ガサガサと音を立てながらこちらに向かって走ってきた。
そして、左右の枝は柔らかくしなり、まるでムチのように振り回す。
そのトレントに向かってエミリンは駆け出した。
エミリンが右から攻めたのを確認し、カリンは左から攻め切り倒して行く。
2人とも武器に炎を纏い、切り倒していく。
すると中央にいたトレントが異常な動きを見せた。
身体を震わせ口のような幹の洞から黒い煙を吐き出した。
その黒煙は徐々に周囲に広がり視界を奪う。
エミリンとカリンの動きが止まった。
「2人とも戻れ!」
聞こえていないようだ。
全く動かない。
転移でそれぞれのところに飛び抱えて退避した。
「キュア! 大丈夫か?」
「「うん」」
あの煙は、かなりヤバいようだ。
視界が全く無くなり、真っ暗な空間にポツンっと立っていた感覚がしたそうだ。
というより、周囲が真っ暗闇の中にポツンと立っているように見せられていた。
多数の敵に囲まれていたのに。
『幻影を獲得しました。闇魔法に吸収しました。』
「トルネード! トルネード!『トルネード! トルネード!』」
渚の魔法も含め、4つの竜巻が暴れ回り、煙もトレントも全て舞い上げた。
「ファイアストーム!」
煙も晴れ、トレントも綺麗に燃え尽きた。
そして、魔石、木材、トレント材の山ができた。
また有難く収納した。
トレント材は加工できる職人も少なく、テーブルや椅子が驚く値段になるそうだ。
俺は錬金術で加工できるけどね。
「ゴゴゴゴゴゴゴ」
「ん? 何の音だ?」
「アトム様。前方より巨大な何かがもの凄いスピードで近づいています。」
地面が揺れる。地鳴りがしてきた。
すると砂埃とともに巨大な木が見えてきた。
*鑑定
名称: エルダートレント(ダンジョンボス)
ランク: B
特徴: 樹木型の魔物。トレントの群れの中で稀に産まれるイレギュラー上位種。
トレントを率いて統率を取る。癒しの水と再生で不死身となる。
特技: 鞭打ち、癒しの水、再生、統率
ドロップ: 魔石、トレント材、上質トレント材、宝箱
ラスボス?
通常はトレントを統率するのだろうが、既に全滅している。
召喚はできないようだ。
ていうか、こいつは早いしデカいな。
トレントは左右の2本の枝だけが鞭のようになっていたが、ボスは複数枝を触手のように振り回している。
近づくのは難しい。
こちらに向かって枝を振り下ろし、それをエミリンが斬った。
しかし、枝はすぐに再生されてしまった。かなり厄介だ。
近づく枝はエミリンとカリンに任せ、俺は後方から魔法だ。
「メテオ!」
巨大な隕石が大木に直撃し、当たった部分が砕け燃え上がった。
すると全ての触手状の枝がツルのように大木に巻きつき穴を塞ぎ、さらに全身が濡れ始め火を消した。
数秒後、完全体に戻り復活した。
『癒しの水を獲得しました。水魔法に吸収しました。』
「すごい再生能力だ。全力で行くから支援よろしくね。」
「「わかった!」」
また触手状の枝が襲い掛かってきた。
そっちは2人に任せ、俺は対策を練る。
『木だから火が弱点なのは変わらないよね。でも、癒しの水が厄介だな。半端な火では消火されてしまうだろう。』
『インフェルノは周囲を巻き込む範囲魔法なので、ゴッドスパークをお勧めします。』
なるほど。前世の神社にあった大木が落雷で倒れ燃えたのを見たことがある。
「行くぞ! ゴッドスパーク!」
巨大な落雷が大木を襲い、半ば過ぎまで引き裂いた。
先程と同じようにツル状の枝が巻きつき修復しようとしたが、直るまで待つはずがない。
「ゴッドスパーク! ゴッドスパーク! 『ゴッドスパーク! ゴッドスパーク!』」
癒しの水で濡れたおかげで通電が良くなり、連続の落雷で砕け散っていった。
流石のトレント材でも上級雷魔法には歯が立たない。
再生が追い着かず、どんどん粉々に砕けて燃えていく。
そして、消し炭となり消えていった。
『世界樹ダンジョンを攻略いたしました。ダンジョンマスターとして、このダンジョンを継承しますか?』
「No!」
ドロップされた宝箱が開き、中から正8面体の結晶が現れゆっくりと回っている。
「これって、北のダンジョンでみたことのあるダンジョンコアに似てないか?」
「多分、それでしょうね。」
「宝箱から出たのだからドロップアイテムってことだよね? もらっても良いんだよね?」
「おそらくわ。」
「もらっちゃいなさい。」
ゆっくりとコア近づき、触れてみた。
『あなたを新しいマスターと認識しました。』
「うわっ! びっくりした。えっと、俺は旅を続けなきゃならないからマスターにはなれないんだけど?」
『私は設置されるまでアイテム扱いになりますので、あなたの亜空間倉庫に収納可能です。』
「そうなのか。じゃあ、収納するね。」
あとのことは渚さんに丸投げしよう。
どうしたものかと思ったが、あっさりと収納された。
「誰と話していたの?」
「コアかな?」
「ふうん。」
なんだよ、愚姉。
「おっ? なんか揺れてるよね?」
「そりゃ、コアを失ったのだからダンジョンは崩壊するでしょ。常識よ。」
おい、呑気だな姉よ。
「早く逃げなきゃ不味いだろ! どうやって地上に戻れば良いんだ?」
「アトム様、あそこに前回と同じ転送ゲートのような穴があります。」
急いでボスのドロップアイテムを収納し、穴に飛び込んだ。
「エミリン、カリン大丈夫か?」
「大丈夫。」
「はい。」
良かった。2人とも無事だ。
俺たちは世界樹の根元に帰ってきていた。
*ステータス
名前: アトム・ハリス
称号: 伯爵、ハーフエルフ、Cランク冒険者
職業: 大錬金術師
性別: 男
年齢: 15歳
レベル: 35→40
HP: 500→660
MP: 930→999
STR: 200→320
INT: 900→999
DEF: 220→320
AGI: 250→360
DEX: 700→850
Luck: 100
スキル
錬成、錬金ボックス、神眼、分解、合成改、抽出、付与、解析改、
リスト、複製、魔力操作、亜空間工房、調理、裁縫
魔法スキル
生活魔法:ファイア、ウォーター、ウィンド、ライト、クリーン、
デオドラント、フレグランス
全初級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽
全中級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽
水魔法▽-
闇魔法▽-
全上級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽
空間魔法:スペース、テレポート、ゲート、ダンジョンウォーク、
セレクトバリア
時魔法:ヘイスト、スロー、タイマー
重力魔法:グラビデ、ライト
契約魔法:奴隷契約、眷属契約、主従契約、眷属召喚
聖魔法:ターンアンデット、ドレイン、コンテイン、リカバリ
精霊魔法:火精霊魔法、水精霊魔法、風精霊魔法、土精霊魔法、
光精霊魔法、闇精霊魔法
ユニークスキル
異世界言語、全魔法適性、
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