第15話 風呂最高!

早速、風呂にお湯をはり、一番風呂を楽しむことにした。

大浴場は銭湯のイメージで手前の両側の壁にシャワーを設置した洗い場5×2列、奥に長方形の10m×5mの湯舟がある。

一度に入れる人数を10人ぐらいで想定した。

奥の壁には富士山を描きたかったが、どこの山?と聞かれると面倒なので昔父さんに贈ったペンダントのドラゴンを描いてある。

それを見た父さんは子供みたいに喜んでいた。


『渚、例のものは出来たかな?』


『もちろん、出来ていますよ。錬金ボックスに入っていますので試してみてください。』


渚にお願いしていたのは、ボディソープとシャンプー&リンスだ。


シャワーにはお湯の出る魔道具を付けてある。

試運転をしてみたが、丁度良い40~42℃程度のお湯が出た。

シャワー10台を確認しているうちに湯舟の半分ぐらいお湯がたまっていたので早速入ることにした。


鼻歌を歌いながらご機嫌で髪を洗っていると背後の気配を感じた。


「ねぇ、アトム。裸で何をしているの?」


ここはキャーって言うところかな?


「エミリン。俺はお風呂を楽しんでいるんだから邪魔しないでくれるか?」


「ふーん。なんか気持ち良さそうね。私も入ろうかしら。」


「な、なにを言っているんだ。俺が上がってからにしてくれ。」


「何を恥ずかしがっているの? 動揺しすぎだから。別に兄弟なのだから構わないわよ。」


いや、血は繋がっていないし、もう12歳なんだからアウトだろ!


「それの使い方分からないし。教えなさいよ。」


すると無言で脱衣所に戻り、全裸になって戻ってきた。

そして、隣のシャワーに腰掛けた。


「それでどうやって使うのよ?」


なるべく見ないようにしてシャワーの使い方を教えた。


「こっちが髪を洗うシャンプーね。目に入ると痛いから目を瞑って洗うんだぞ。その後にリンスを忘れずに。それで、こっちがボディソープね。身体を洗うやつ。間違うなよ。」


「は~い。」


ハッ! 背後から急に声がした。

そこには隠密を使って背後のシャワーに腰掛けたカリンがいた。


「びっくりするじゃないか! エミリンはともかく、カリンはダメでしょ!」


「私はアトム様の専属メイドですよ? 湯浴みの介助をするのは当然です。後でお背中を流しますね。」


「そんなに気にすることないわよ、アトム。責任を取って、カリンと私を嫁にすれば良いんだからね。」


「・・・・。まあ、それは考えてはいる。」


両サイドの全裸の少女はご機嫌になり鼻歌まじりで髪を洗うのだった。

その後、俺の背中を流すのをどちらがするかで争いになったが、背中は自分で洗ってさっさと湯舟に向かった。

後ろでブウブウ言っているが無視した。


「ふぅ~。気持ち良い。やっぱり、風呂は良いな。」


「そうね。なんだか疲れが抜けていくような感じがするわ。」


「おい、カリン。気持ち良いからって風呂で寝たら溺れるぞ!」


「・・・。 はい! アトム様、お茶にいたしますか?!」


「あははは。寝ぼけてるな。」


十分温まってから風呂から上がった。

2人の髪をドライヤー(魔道具)で乾かしてあげるとサラサラ、ツヤツヤになった。

尻尾もモフモフだ。

それを見た2人の母さんは無言でエミリンを拉致し、風呂へ向かうのであった。

2度目の風呂に入ることになってしまったエミリンは抗議していたが、サラ母さんには逆らえなかったらしい。

可哀想なエミリンには後でアイスを上げよう。


翌朝、風呂の効果とフカフカの布団のおかげで全員が寝坊した。


「あの布団ヤバいぞ。モフモフの羊の群れの中に埋もれて眠った感じがした。」


「私も久しぶりに熟睡した気がしたわ。」


新居での幸せな朝を迎えた。



「俺はギルマスに人の手配を相談してみることにする。」


「父さん、よろしくお願いします。」


それから2日後、ギルドからの紹介で15~18歳の男女8人が家に訪れた。

それで自己紹介が始まった。


アンリ  18歳 ヒューマン メイド

シーナ  17歳 犬獣人 槍使い

ケート  16歳 羊獣人 裁縫師

マイン  15歳 兎獣人 料理人


ジョージ 18歳 ヒューマン 剣士

エイジ  17歳 熊獣人 農民

サスケ  17歳 猿獣人 商人

バン   15歳 馬獣人 羊飼い


アンリ、ケート、マインにはメイド、エイジには庭師、バンには馬番兼御者、サスケには配達係兼在庫管理、シーナとジョージには門番をやってもらうことにした。

シーナは右手に(親指欠損)、ジョージは左膝にケガをして魔物が狩れなくなって冒険者を諦めたそうだ。

そこで2人を呼んでケガにエリクサーをかけてあげた。

するとほぼ動かなくなっていた手や足がすっかり治った。

シーナの親指も元通りだ。

改めてエリクサーの効果に驚かされた。

2人とも俺に泣いて感謝し、一生かけて恩を返すと言ってくれた。

そして、メイド見習いの3人が仕事を覚えたらサラ母さんがメイド長となり、基本的には指示のみで父さん、スーザン母さんの世話に集中してもらう。

カリンはもちろん俺の専属メイドだ。

従業員にも風呂の使用を許可した。

但し、年頃の男女が混浴するのは問題なので、夕方晩飯前は男性、晩飯後は女性と時間で分けるようにした。


*ステータス

 名前: アトム・ハリス

 称号: ハリス伯爵家長男、ハーフエルフ

 職業: 錬金術師

 性別: 男

 年齢: 7→12歳

 レベル: 12→20


 HP: 270→360

 MP: 680→750

 STR: 60→80

 INT: 650→730

 DEF: 70→90

 AGI: 60→100

 DEX: 420→550

 Luck: 100


 スキル

  錬成、錬金ボックス、鑑定眼、分解、合成、抽出、付与、解析、リスト、

  複製、魔力操作、調


 魔法スキル

  生活魔法:ファイア、ウォーター、ウィンド、ライト、クリーン

  全初級属性魔法:火▽、水▽、風▽、土▽、氷▽、雷▽、光▽、闇▽

  全中級属性魔法:火魔法▽-ファイアスピア炎の槍メテオ流星

        水魔法▽-ウォータースピア水の槍ウォーターストーム

        風魔法▽-エアショット風弾エアスラッシュ風の斬撃

        土魔法▽-ピットホール落とし穴コメット隕石

        氷魔法▽-フリーズ凍結ブリザード吹雪

        雷魔法▽-ショックボルト感電ライトニング稲妻

        光魔法▽-ハイヒール高治癒ブースト上昇、結界

        闇魔法▽-アンラッキー不幸チャーム魅了

             パラライズ麻痺ポイズン

  空間魔法:スペース、テレポート、ゲート

  時魔法:ヘイスト、スロー、タイマー

  重力魔法:グラビデ、ライト

  契約魔法:奴隷契約、眷属契約、主従契約(テイム)


 ユニークスキル

  異世界言語、全魔法適性、探究者Seeker


豪邸を組み立てていた亜空間エリアがスキル化して進化し、亜空間工房となった。

このエリアは、空間の拡張縮小(空間魔法)、温度調整、さらに時間(時魔法)を制御できる。

要するに時間を加速することができるのだ。

そして、生き物も入れることもできる。


さらにエミリンのおやつを毎日作っていたら調理というスキルを獲得した。

渚はさらに進化し、完全に自我を持ち独自で判断、行動ができるようになった。

俺が寝ている間に余剰になったMPを使ってポーションも作ってくれる。

そして、今は渚がその亜空間工房で微生物の選別を行ってくれている。

麹や酵母菌などを見つけ、分離してくれているのだ。

醤油、味噌、酒が近い未来に作れるようになるかも。

パン酵母が見つかればフカフカの柔らかいパンが食べることができる。

ショートケーキも作れるようになるだろう。


1週間後にパン酵母が見つかり、我が家のパンがフカフカになった。

そして、エミリンのお気に入りがクリームパンになった。

それから1カ月が経ち、嬉しい知らせがあった。


『麹菌が見つかりました。これで味噌、醤油、酒、酢など様々な調味料が作れるようになります。』


「なんだって! 和食が食べれるようになるじゃないか。」


いつの間にか涙がこぼれていました。


「どうしたの? アトム。お腹壊して漏らしたの?」


「はぁ? 今日はおやつ無しね。」


「ガーン。。。 心配しただけなのに。。。」


1年ほどかかる発酵期間が時間加速で1カ月で済むそうだ。

出来上がりが楽しみだ。

そして、待ちに待った1カ月後、調味料が出来上がった。




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