第7話 中級ポーション

恒例のゴブリン討伐から帰宅した父さんが満面の笑みで俺の元へ駆けつけた。


「アトム! 遂に手に入れたぞ。これが中級ポーションだ。」


ゴブリン討伐後、ギルドへ立ち寄ると中級ポーションを入手したと報告を受けた。

父さんは即決で買い取り、今に至るというわけだ。

やっとこれで中級ポーションのレシピがわかる。


*鑑定

 名称: 中級HP回復ポーション

 ランク: C

 特徴: 深いキズや骨折、内臓破裂等の重度のケガも治すことができる。

     HP+200回復する。

     ダンジョン産アイテム。価格500,000G。

 レシピ: 癒し草(2)+ヒール草(2)+陽だまり草(2)+魔力水(100ml)


癒し草以外に2種類の薬草が必要だった。

以前、ギルドに依頼して入手した癒し草以外の薬草の中にこの2種も含まれていたので早速錬成してみることにした。

ナビさん、よろしくね。

そして、完成したのがこれだ。


*鑑定

 名称: 中級HP回復ポーション

 ランク: B

 特徴: 深いキズや骨折、内臓破裂等の重度のケガも治すことができる。

     切断された手足でも1時間以内であれば接合することができる。

     HP+500回復する。アトム作。

 レシピ: 癒し草(2)+ヒール草(2)+陽だまり草(2)+魔力水(100ml)


やはり俺が作るとダンジョン産より高ランク、高性能になる。

もちろん、味は変えてある。

今回の色はグリーンでライム味だ。


実は、以前ギルドに依頼して入手した癒し草以外の薬草を使って回復ポーション以外のポーションも試作していた。

毒消し草を使った解毒ポーション、冷やし草を使った解熱ポーション、満月草を使った麻痺回復ポーション、数種の薬草を混合し錬成した状態異常回復ポーションなどだ。

だが、このポーションを市場に出してしまうと薬師に迷惑をかけてしまうので身内のみで使うことにした。

まあ、現在も初級回復ポーションの普及のおかげで回復師や治療院の仕事が減っているだろうが今まで高い金銭を要求し甘い汁を吸ってきたのだから少しは反省してほしい。

それとダンジョン産の初級回復ポーションの買い取り額も値崩れしてしまって買い取ってもらえないという問題も起こっているそうだ。


話を戻すが、中級ポーションは現在ダンジョン産のものが50金貨で取引されている。

だが、俺のポーションは10金貨で販売を考えている。


「父さん、これが僕の作った中級ポーションです。やはり高性能になりました。今回も爽やかな味にしてあります。10金貨で発売しようと思いますがどうでしょうか?」


「お前がそうしたいならそれで良いぞ。」


「では、今後は7割を初級、3割を中級の割合で錬成していきます。」


「任せるぞ。それで実はな。国王の呼び出しを受けたんだ。ポーションの普及に貢献したことの報酬で爵位昇格を命じられたんだ。お前の功績を横取りするみたいで心苦しいのだが、良いか? それとお前も一緒に行くか?」


「面倒ごとに巻き込まれそうなので遠慮しておきます。それに父さんの爵位が上がれば後継ぎの僕にもメリットはありますよ。ところで父さんは男爵から子爵になるのですか?」


「二つ上の伯爵をいただけるそうだ。それに王都に行けば上級ポーションが入手できるかもしれないぞ。」


「ぜひ入手してきてください。僕は留守番してます。そうだ、今回完成した中級ポーションを国王に献上してはどうですか?」


「それは良いアイデアだ。献上用に10本準備してくれ。」


「わかりました。では、癒し草以外にヒール草と陽だまり草が必要になりますので、そちらの手配をお願いします。」


「そっちは任せておけ。」


俺は中級ポーションの錬成も始め、また我武者羅に作った。

そして、熟練度とレベルが上がり、新たなスキルが芽生えた。



*ステータス

 名前: アトム・ハリス

 称号: ハリス男爵家長男、ハーフエルフ

 職業: 錬金術師

 性別: 男

 年齢: 7歳

 レベル: 8→10


 HP: 200→250

 MP: 600→650

 STR: 40→50

 INT: 600→630

 DEF: 40→60

 AGI: 40→50

 DEX: 300→400

 Luck: 100


 スキル

  錬成、錬金ボックス、、分解、合成、抽出、付与、、リスト、

  魔力操作


 魔法スキル

  生活魔法:ファイア、ウォーター、ウィンド、ライト、クリーン

  初級火魔法:ファイアボール(炎の玉)、ファイアストーム(火災旋風)、

        ファイアウォール(炎の壁)

  初級水魔法:ウォーターボール、ウォーターカッター、ウェーブ

  初級風魔法:ウィンドカッター、トルネード、エアカーテン

  初級氷魔法:アイスニードル(氷の棘)、アイススピア(氷の槍)、

        アイスウォール(氷壁)

  初級光魔法:ヒール(治癒)、キュア(治療)、ホーリーアロー(聖なる矢)

    

 ユニークスキル

  異世界言語、全魔法適性、共に歩む者バディ



新たに得たスキルは解析だ。


解析: 物の詳細を解析する。アイテムに付与された魔法を解析できる。

    解析した魔法を稀に習得することもある。


新たな魔法習得方法が生まれた。

そして、解析の影響で鑑定が鑑定眼に進化した。

今まで対物のみだった鑑定が対人も可能となった。

そして、ナビさんも進化していた。

ナビゲーションシステムさんじゃなくなったし、自我も芽生えたので名前を考えた方が良いだろうな。

前世の母さんと同じ名前にしようかな。


『ナビさん。今後、渚さんと呼んでも良いかな?』


『構いませんよ。お母様と同じ名前なのですね。素敵です。それと「さん」はいりません。渚と呼んでください。』


そうか。俺の考えてることも分かるんだったね。

気に入ってもらえたみたいで良かった。


そうだ、常に側にいるチョロミンを鑑定してみよう。


*ステータス

 名前: エミリン

 称号: 猫獣人、サラの娘、チョロミン、お菓子好き

 職業: バトルマスター

 性別: 女

 年齢: 7歳

 レベル: 3


 HP: 100

 MP: 20

 STR: 200

 INT: 10

 DEF: 180

 AGI: 200

 DEX: 150

 Luck: 80


 スキル

  武術(剣術)


 ユニークスキル

  武神の加護(全武術習得可、全武具装備可)



「エミリン。レベルが3に上がってたよ。それに剣術も覚えてた。」


「そう。どうでも良いわ。それよりクッキーはまだかしら?」


全く興味なしだ。

それより今日のお菓子をよこせとねだられた。


次は解析の確認だ。


「父さん、我が家に魔道具はありますか?」


「魔道具か? 俺のマジックバッグと天井のランプかな? あっ、そうだ。リビングにある大きな壁かけ時計も魔道具だぞ。あれは俺が昔ダンジョンで拾ってきたものだ。」


子供のころからあった、あの時計は魔道具だったのか。


*鑑定

 名称: 時を刻む壁掛け時計(古代アーティファクト)

 ランク: S

 特徴: 恒星と惑星の磁力を感知し、位置関係から時間を割り出す。

     古代人の叡智により生み出した魔道具。神器かも? 

     ダンジョン産アイテム。価格∞。作者不明。

 付与: 時魔法、隠蔽


我が家の時計は非常にヤバいものだった。

隠蔽により詳細が伏せられていたため気付いていなかったようだ。

俺は鑑定眼と解析の力で暴いてしまったが。

これは見なかったことにしよう。


『時魔法と隠蔽を習得しました。私の手にかかれば稀ではなく、100%習得可能です。』


「流石だね、渚。進化してさらに最強になったね。」


次はマジックバッグだ。

マジックバッグは、見た目以上の容量を収納可能で、重さを感じないという優れもののバッグなのだ。

スキルのアイテムボックスがバッグになった感じだ。

冒険者には必須アイテムだが、ダンジョンボスの宝箱からしか入手不可能で、しかも

滅多に出ない。

よって、超レア物でかなり高価だ。

父さんもダンジョンで入手し、ずっと愛用しているそうだ。


*鑑定

 名称: マジックバッグ(中)

 ランク: B

 特徴: 亜空間倉庫型バッグ。タンス1個分の荷物を収納可能。

     生物収納不可。重量不感。時間経過通常。

     ダンジョン産アイテム。価格1,000,000G。作者不明。

 付与: 空間魔法、重力魔法

 

『空間魔法と重力魔法を習得しました。ついでにお父様のマジックバッグに時魔法を付与し、時間経過を半分にしておきました。』


「渚、いつもありがとう。父さんも喜ぶと思う。あれ? もしかして、俺ってマジックバッグまで作れるようになった?」


『魔法の熟練度が足りないので簡易的なものであれば可能です。バッグに拘らず、アクセサリーに付与することも可能です。』


「それはもうアイテムボックスを付与するってことだね。俺って凄いね。自分でも怖くなってきたよ。」


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