第41話 初体験奪えるよ?
「大丈夫大丈夫! ちゃんと綺海ちゃんの利になる作戦だから!」
ジト目を向けられた鹿野ちゃんは、私の疑いを晴らそうと必死に弁解しようとする。
「襲うのをためらってる私が利になる作戦って……なに?」
いまいち信憑性がない。
「まずね~、私が先に部屋に入って南くん目隠しするように誘導します!」
「誘導って……どうやって?」
「サプライズがあるって言えば絶対目隠しするよ南くん~」
「そのサプライズってなに?」
「綺海ちゃんがエッチな下着を来てそのまま南くんを押し倒す‼」
「アホか!」
「あうっ」
指パッチンをしながらアホな事を言う鹿野ちゃんにチョップを食らわす。
なんで私がサプライズなわけぇぇぇ⁉ よくある「プレゼントはワ・タ・シ」ってやつじゃん!
んな定番オブ定番で恥ずかしいこと私が出来るわけないんだよぉぉぉぉ!
「この作戦、綺海ちゃんにいい事尽くしだと思うんだけどなぁ~?」
叩かれた頭を抑えながら言う鹿野ちゃん。
「どこがいいこと尽くしなのよ」
「まず私より最初に南くんの目に入るじゃん? それからおっぱいの誘惑も使えるし、決定的なのが、南くんの初体験を奪えるってこと」
私の心を見透かしたように言ってくる。
それは強いな……。南のチェリーを奪えるのは相当大きい。
私の味を覚えさせてそのまんま私の体でしか満足できない体に……って考えるだけ妄想が膨らむ。
これらを含めて考えると……確かに私へのメリットは沢山ある。
「初体験奪えるって言っても、私も見てるだけじゃなくて少しは参戦するけどね」
「……入ってくるわけ」
「だって見てるだけじゃ私ただの虚しい人じゃん」
「そうだけど……」
「まぁ、南くんと綺海ちゃんの合体シーンは邪魔しないから安心して大丈夫!」
「合体シーンとか……変な言い方しないの!」
鹿野ちゃん、やっぱどこか人とズレている………。でも愛嬌があるからキモくならないから憎めない……なんだこの生き物は。
「じゃ、この作戦は決行でいい?」
パチンと鹿野ちゃんは手を叩く。
……どうしよう。まだ迷ってる。
でも、ここでアクションを起こさないとまたいつもと同じ流れになってしまう。
一向に関係が進歩しない。
南を待ってたって仕方ないんだ。だってあいつ動かないチキンだし……17年間私に告白してこなかったし……
ここで私が勇気を出して関係を一変させるんだ。
そっちの方が明るい未来が待っているはず!
「……やるわ」
と、私は覚悟を決めた返事をする。
「なら早速、私は南を目隠しさせてくるから綺海ちゃんは準備よろしくね~」
去り際手を振りながら、鹿野ちゃんはリビングを後にする。
取り残された私は、テーブルに置いてある紙袋を細い目で見る。
「ホントにこれ着るのか……」
おもむろに袋の中身を取り出し、黒のエッチい下着を見ながら言う。
これ、私に似合ってるの……? 一回貰った時に試しに着てみたけど、見慣れないからかなんか似合ってないような気がする……
ただの痴女にしか思われなかったらどうしよう! こんなの着たら痴女判定されるに決まってるじゃん!
でも、覚悟を決めた以上やるしかない……私は覚悟を決めたんだ!
絶対に、南の童貞を奪ってやる!
るちから下着を貰った日の夜
「これ……エッチいぃぃぃっぃ! 胸元透けてるしもう少しで見えそうぅぅぅ………でも南巨乳好きだし? これ見たらイチコロだと思うんだけど……あ、ヤバい。なんか変な性癖に目覚めそう」
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