第37話 エッチなシーン

 話ながらも、手を動かしてゲームを進行していた鹿野のおかげで、エロゲはすぐにプレイできる状態になっていた。


「最初綺海ちゃんやってていいよ~、私と南くんこれやったことあるから」


「これ内容はちょっとあれけど面白いぞ」


「綺海ちゃんも絶対にハマると思うんだよね~これ」


 純愛ではないし、結構内容が俺達の関係と重なってる部分はあるが、ストーリー的にはピカイチで面白い。


「じゃ、じゃぁお先にやらせてもらう」


 と、コントローラーを持ち、テレビの前へ移動する綺海。


『彼女がいる幼馴染の恋人になんかならないんだからね!』


「相変わらずタイトルが凄いわね」


 プロローグの画面に進むと、タイトルが表示され、綺海は細い目をしながら呟く。

 最初の方は、ただのノベルゲームの様に日常の会話を主人公目線で進めて行くだけ。


 これもエロゲーの醍醐味だ。ただエッチなシーンを見るだけではなく、そこに至るまでの過程も大切なのだ。

 これは現実でも言えることだろう。俺は童貞だから現実については何も言及は出来ない。


 順調にストーリーを進めていき、遂に最初のエッチなシーンが訪れる。

 シチュエーションは、主人公の彼女と幼馴染が家で集まっていると、徐々にいい雰囲気が流れて行為が始まる。


「ここのエリカたんの表情がいいんだよね~」


 とあるシーンになると、先程まで静かだったら鹿野は目をキラキラさせながら言う。


 主人公、北くんの幼馴染であるエリカたんが、北くんを誘惑するシーン。

『ねぇ、私だって成長してるんだよ? 心だけじゃなくて体も』と、豊満な胸に北くんの手を当てるエリカたん。頬を紅に染め、息も少し荒く、まさにメスの顔をしている。


「昔はぺったんこだったんだけど、ふと感じる幼馴染の成長に北くんは興奮してヤっちゃうんだよね~。エリカたんおっぱいおっきいしこのシーンマジで最高!」


「そ、そうなんだ……(このヒロイン私と似すぎてない⁉ 幼馴染だしおっぱいおっきいし! 髪型とか話方もっ……!)」


 ほんわかと頬を染める綺海は、抑揚の無い返事をする。

 もうのめり込んでるのか? それとも、やっぱ主人公とかの関係が……まんま俺達と同じだから気まずいのか?


 エリカたんよく考えると綺海に似てるし……ヤバい、今考えたら色々ヤバいから忘れよう。

 変な事を考える俺、エロゲについて語る鹿野、そのエロゲに夢中になっている綺海。


 部屋の中はなんともカオスな光景になっていた。


「んっ//」


「ここがいいんだろ?」


「北っ//らめぇぇぇ//」


「ハァっ//ハァっ//なにこれめっちゃいい……」


「イっ//……イくイくイくからぁ~//」


「なら……俺も一緒にっ!」


「ハァ//ハァ//最高っ……」


 本番のシーンが流れ、ジーっと画面を見ている綺海は、鼻息を荒くしてたまに吐息交じりの声を漏らす。


 どうやら完璧に盛り上がってきたよだ。隣にいる鹿野も、既にプレイし終えたにも関わらず、画面に顔が張り付いていた。


 俺はというと、理性も保つので精一杯だ。

 こんなものを幼馴染と彼女とやってて気を抜いたら絶対に襲ってしまうからな。





「えっっっっっっっっっっっっっっっろ! 私もこんな風に南とエッチしたいんですけど⁉ ……まぁ、私にエリカたんみたいに誘える勇気はないんだけど……でもシたい!」


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