第27話 三角関係
「んぁ?」
さらに変な声が出る俺。
ん? 綺海と鹿野が付き合ってるのに、綺海は俺の事が好きで俺と付き合いたいって? どうゆう事だ。
それに、今俺は鹿野と付き合っていて、鹿野は俺の事も好きだし綺海の事も好きという訳だ。
………混乱してて頭が使い物にならない。何も考えられないな……これ。
「要するに、私は南くんの事も好きで、綺海ちゃんの事も好きだからどっちとも付き合ってるってことで、綺海ちゃんは南くんと付き合いたいから、私と付き合ってるってこと」
「……」
「おーい、聞いてる?」
「……」
「目を覚まして南くん!」
「……ちょっと待て! 状況を整理させてくれ!」
ヤバい……一瞬意識が飛んでいた。一気にものすごい情報量が入ってきたから脳がショートしてた。
……色々、2人に聞きたいことがあるが、今はまともに話せそうにないからとりあえず話を聞くとしよう。
「綺海は俺の事が好きで、なのに鹿野と付き合ってるのか?」
「あくまで、南と付き合うための契約というかなんというか」
「俺と付き合う為になんで鹿野と付き合う必要があるんだよ」
「それは………」
「三角関係にするためだよ」
俺と綺海の手を握りながら、鹿野は言う。
「……三角関係?」
「うん。だって、南くんも私と付き合ってるけど、正直綺海ちゃんのことまだ好きでしょ?」
「……それは友達として?」
「いや、恋愛対象として」
「……バレバレだったってことか……」
今、ここでウソをついても意味がないので、俺は正直に答える。
いくら鹿野という彼女が居たって、初恋の幼馴染のことを簡単にあきらめるなんてことは出来ない。
人間の悪い部分が出ているな。なんでも自分の物にしたいという欲が。
「だからさ、綺海ちゃんと南くんが付き合うにはどうしたらいいか~って考えたんだよ私は」
「んで、三角関係にするっていう答えたでたわけか」
「そう!」
キリッとした顔で言う鹿野。
「でも、鹿野はいいのか? その……俺と綺海が付き合う事に関しては。あと、綺海と鹿野が付き合うのも、別に本気ってわけじゃないよな」
「私は南くんと綺海ちゃんがくっついてくれるのは嬉しいよ? 初々しい恋が見れるのは楽しいし。私と綺海ちゃんが付き合うのは……単純に私が好きだからなか」
「綺海の事をか?」
「まぁね」
どこか照れくさそうにする。
なんだこのややこしい問題は。
俺と綺海は両想い。俺と鹿野は恋人同士。綺海と鹿野は一応付き合ってる。
簡単に説明するとこうだな。
「だから、私はみんな円満になる方法として三角関係っていう案を出したの」
「鹿野ちゃんと私が付き合うのは、あくまで私が南と付き合いたいからであって他はなんの理由もないから勘違いしないでね」
赤面しながら、綺海は付け加えて言ってくる。
「……三角関係ね」
現実世界にあっていいものなのか? 目の前で百合カップルが誕生して、俺は幼馴染とも付き合う。
どこのラノベ主人公だよ全く。
「私と綺海ちゃんは、この件については納得してるから、あとは南くんの回答待ちだよ」
「回答って」
「三角関係の件についてと、綺海ちゃんへの答えだよ」
「……そうか」
この状況で、三角関係なんか絶対にダメだ! とは言えない。ていうか言える立場じゃない。
彼女がいるくせに幼馴染の事も好きで、その彼女と幼馴染が付き合ったらダメ出しする。
そんなの自己中すぎる。
初恋が叶い、円満になるのならば、俺の選択肢は一つしかない。
「綺海、付き合おう。それと合法的に三角関係になろう」
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