第23話 百合はいいな

「すげー量あるな」


 本棚やらフィギュアを、俺はキラキラとした目で眺める。


「でしょ~、自慢のコレクションなの~」


「これとかプレミアじゃん! よく手に入ったじゃん!」


「オークションで落札したんだよ~これ」


「あ! この作品も限定発売された奴だ!」


「これは~、先行特典の時に付いてたやつかな?」


「……あの~」


 夢中になって話す俺達に、綺海は気まずそうに声を掛けてくる。

 赤面しながら手に取ったエロゲのパッケージを眺めながら、


「こんな量、どうやって買ったの……?」


 まぁ当然の反応だな。

 普通未成年ではR18指定の物を買えないはずだ。

 俺なんかは通販で年齢を20歳と偽ってエロゲーを買っている。グレーゾーンというかアウトな方法だが。


 どうしても買えないものは、親のクレジットカードを内緒で登録して買っている。お金はちゃんと親の財布にこっそりと入れているのですねかじりではない。

 綺海もエロゲーを持っているが、全部俺がプレイし終えたもの。自分で買っている事はないだろう。

 パッケージの裏にあるあらすじを見ながら顔を引き攣らせる綺海に、


「え? パパが全部買ってくれたんだよ?」


「え、親が?」


「うんうん、自分の趣味は大切にーってサイトのアカウントごとくれたんだ~」


「……すごいわね」


「ほんと、スゲーわ」


 親にエロゲーしてることなんてバレたら多分殺される。それか社会不適合者認定されて精神科へと行かされるかもしれない。

 だって、ものがモノだからな……触手とか、SMとか、羞恥モノ……イッチなタイトルばかり持っているからな。ロリやショタもその一部だ。


「まぁ、コレクションは自由に見てもいいから……それより勉強しない?」


 バッグから教科書と問題集を取り出すと、テーブルに広げる。


「今日の目的それだしな」


「でもやりにくくない? こんな……囲まれてさ」


「そうか? 俺は全然気になんないけど」


「あんたたちは玄人だからいいのよ、私はここまで堕ちてないからさ」


「そこは我慢だろ」


 エロゲーやエロフィギュアに囲まれて勉強とか、捗らないわけがない。まぁこれはあくまで救いようがない人。

 まだ一般人の綺海には厳しいようだ。


「さーて、何からする? 数学? 英語? 古文でもいいよ~」


「苦手教科からしたいかな」


「なら数学からね、私得意だし2人分まとめて見てあげる」


「ホントぉ~⁉ 綺海ちゃん好きぃ~」


 片目を瞑りながら言う綺海に、鹿野は勢いよく抱きつく。


「ちょ、暑苦しいから!」


「これは感謝の気持ちだから受け取って~」


「あぁ~、はいはい分かったから早くペンを持つ!」


「はぁ~い」


 促された鹿野は、渋々シャーペンを持つ。

 見てて微笑ましいな、女子同士が抱きついてる光景って。アニメやエロゲなどで百合が好きだからか、リアルでも見てていいなって思う。


 美少女と美少女がくっつくとか可愛い以外に言葉が出ない。

 綺海と鹿野はただの友達ってだけで、それ以上はないけどな。


 鹿野は俺の彼女だし、綺海は好きな人がいるらしい。もし2人が付き合ったたら修羅場になりそうだしな。

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