第22話 お嬢様なの?
一週間後の放課後、俺と鹿野と綺海は鹿野宅へ行くために駅から3人で歩いていた。
「いやぁ~、まさかテスト範囲があそこまで多いなんて思ってなかったよぉ~」
「それなー、赤点取る気しかしない」
「ゆうてじゃない? あそこの範囲結構簡単だし」
「お前は勉強出来るからそうゆうこと言えるんだよ」
「そうだよ~、綺海ちゃんはいっつもテストの点数高いじゃん~」
テスト範囲に戸惑っている俺と鹿野に対して、綺海は余裕の表情を浮かべてる。
綺海、勉強出来るんだよな。普通にズルい。
中学の頃から毎回テスト期間にはお世話になっているが、今回はいつもの倍くらい手を借りそうだ。
テスト勉強を気にしている俺であったが、それよりも気になることがある。
「お前らなんで手繋いでるん?」
学校から今まで、ずっと鹿野と綺海は手を繋いでいる。
「友情の証だよ~。ね~綺海ちゃん」
ルンルンとした様子で綺海の顔を伺う鹿野。
「う、うん。まぁ」
「女子だったら手を繋いだりハグだったり日常茶飯事だよ~」
「そんなもんか」
確かに、クラスの女子は何かあるとすぐ抱きついたりしている気がする。
それくらい鹿野と綺海は仲がよくなったという事か。俺としては嬉しいな。
「あ、私の家着いたよ~」
と、鹿野が立ち止まるのは赤レンガのシックな印象の一軒家。
「家大きんだね、鹿野ちゃん」
「まぁね~、パパが小金持ち? みたいだから」
「へぇ~、そうなんだ」
「前、デートの時もパパがお金くれたんだ~って言って焼肉一緒に行ったもんな」
「うんうん~、彼氏とデートするーって言ったらくれたの」
「……親バカね」
他にも、表には出さないが小物類がブランドばかりだったり、財布の中に見た事ない量の諭吉が入っていたこともあったな。
「まぁまぁ、早速中に入ってください~」
玄関を扉を開けると、手招きをする。
「おじゃましまーす」
「お邪魔します……って中も豪華」
中に入ると、玄関にはいくつもの絵画が飾られており、花瓶やら置物などもいかにも高そうなものがいくつも飾られていた。
「これ全部パパの趣味なんだ~。私は全く興味ないけど~」
「そうなんだ、凄いね」
「あ、私の部屋2階だからついてきて~」
家中を見回しながらも、俺達は鹿野へとついて行き2階へと上がる。
その道中にも、美術品の数々が壁に掛けられている。
「ねぇねぇ」
後ろから、小声で俺の肩を叩く綺海。
「どうした?」
「鹿野ちゃんって、もしかしてお嬢様?」
「いや、深くは知らないけど鹿野のお父さんは海外へよく出張とかしてるらしいぞ」
「それってすごい人なんじゃない?」
「かもなー。今度聞いてみよ」
両親は凄い人かもしれないが、鹿野自身はお嬢様とかではないだろう。だってもしお嬢様だったらこんな普通の高校に通っているわけないし、言葉遣いや礼儀も堅苦しいだろう。
決定的なのがエロゲー好きだ。高貴だったら絶対に縁がないものに違いない。
「さ~、私の部屋に着いたよ~」
長い廊下を歩くと、木目の扉の前で止まる。
「ささ、遠慮なくどうぞどうぞ」
笑顔で中へと案内する鹿野であったが、
「……すげ~」
「……」
部屋の中を見た瞬間、目を見開く俺とは違い、言葉を失ったかのように口をあんぐりと開ける綺海。
部屋中にはエロゲヒロインのタペストリーやフィギュアがこれでもかと飾られており、本棚には漫画やラノベ以外にも、エロゲーのパッケージが溢れていた。
家の中とは正反対だな。いい意味でギャップがある。
俺は清楚な部屋より、個性が出ている部屋の方が好きだな。同じ趣味を極めてる人の部屋を見ると興奮が隠せない。
「なんっ……………全部エッチなやつだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます