第50話
~マイ・ツルギ視点~
2年に上がって学園中を探してもアランはいなかった。
あのお茶会でルフランのせいでアランに近づく事が出来なかった。
せっかく会えたのにムカつく!
いくら顔が良くてもあんなルフランならいらないわ!
ゾルティーに接触しようとしても、側近だか側近候補だか知らないけど、モブ男2人が阻止してくる。
顔はそれなりにいいけど、ゾルティーやアランと比べると全然ダメね。
私が可愛く上目遣いでお願いしても、顔色ひとつ変えずに近寄らせてくれない。
あのお茶会でヒステリックに騒いだことは悪かったと認めるわ。
それで私の印象が悪くなったのね。
でも、私をバカにする女たちが許せなかった。
あれ以来、私に侍っていた男たちも減ってしまった。
ずっと儚げでか弱い女を上手く演じてきたのに、あれは失敗だった。
ガルザークもルフランの近くにいるから声もかけられなくなったし、レックスはすれ違っても目も合わせてくれない。
何もかも思い通りにいかない。
こんなのゲームと違う!
イライラして仕方がない。
面倒だけど一からやり直しね。
派手に動きすぎたのかもしれない。
しばらく私から動くのはやめて大人しくしていれば、ルフラン以外の攻略対象者はヒロインを気にかけるようになるはずよ。
まだ2年もゲーム期間が残っているものね。
ルフランに相手にもされていないリーゼは眼中に無いけど、アルマの作った微笑みで私を見る目がバカにしていることは分かるのよ!
ルフランの婚約者気取りのアルマには必ず痛い目を見せてやる。
取り巻きを引き連れて歩いているところなんてまるで悪役令嬢にピッタリ。
エリザベートが現れなかった場合は悪役令嬢になるのはアルマよ。
絶対に断罪してやるんだから!
~アルマ・セルティ公爵令嬢視点~
わたくしはアルマ・セルティ公爵令嬢
生まれた時から同じ歳のルフラン殿下の婚約者に一番近いところにいると両親に言われて育ってきたわたくしはルフラン殿下と婚姻を結ぶとこの国の王妃様になれることが幼くても理解できました。
初めて王宮のお茶会に招待された時は、未来の旦那様に会えるとわくわくしていたのです。
そこで会ったルフラン殿下は令嬢達よりも綺麗な顔でわたくしにも笑顔で挨拶してくれたのです。
その笑顔に一目惚れしてしまったわたくしは、ルフラン殿下に相応しい妻になる為に、勉学も、礼儀作法も努力してきました。
王宮のお茶会に招待れると、ルフラン殿下の隣りは常にわたくしの場所になった頃に気づいてしまったのです。
ルフラン殿下が見ているのは、わたくしではなく挨拶しかしないウォルシュ侯爵家の令嬢だということを。
確かに綺麗な顔立ちですがわたくしよりは落ちます。
家柄も作法もマナーもわたくしの方が上。
ルフラン殿下が最後に選ぶのはわたくしです。
王家だって侯爵家の令嬢よりも、公爵家のわたくしを選ぶに決まっています。
数年後、ルフラン殿下は挨拶しかしないウォルシュ嬢に『お前なんか嫌いだ!二度と王宮に来るな』と怒鳴っていました。
ルフラン殿下はウォルシュ嬢が好きで見ていたのではなく、嫌いで見ていたのだとその時に理解しました。
彼女はルフラン殿下に公衆の面前で怒鳴られたにも関わらず、謝ることもせずに笑顔で帰っていきました。
実際、次の年からのお茶会に彼女が図々しくも参加することはありませんでしたが、ルフラン殿下の綺麗なお顔からはなぜだか笑顔が消えてしまいました。
学園に入学する頃になっても王家から婚約の打診は来ていませんでしたが、わたくし以上にルフラン殿下に相応しい令嬢など、どこを探してもおりません。
その入学前のお茶会にあの『マイ・ツルギ』さんが転移してきたのです。
初めてマイさんを見た時から気に入りませんでした。
ゾルティー殿下とウォルシュ子息を敬称もなく呼び捨てにし、ルフラン殿下にまで色目を使う。
はしたない女性。
それが第一印象でした。
学園に入学してからも周りを男性に囲まれて優越感に浸って、しかも令嬢からも人気のある子息たちと身体の関係があると噂になるほどの派手な行動に、同じ女性として気持ちが悪くなりました。
もし、ルフラン殿下が留学することなく学園に通っていたら彼女の毒牙にかかっていたかも知れません。
ルフラン殿下に会えないことは寂しいですが、次期王妃としてこの学園でわたくしの派閥を作り、ルフラン殿下の帰りをお待ちしております。
思っていたよりも早く帰国したルフラン殿下は以前よりも鋭さを増しても彼の端正なお顔には変わりありません。
次期国王としての威厳がでてきました。
無口な彼はわたくしから声をかけても返事もしてくれません。
それどころか、目も合わせてもくれません。
きっと照れておられるのでしょう。
この数ヶ月の間に何があったのかは分かりませんが、わたくしが婚約者になるのは時間の問題です。
その時が来れば、わたくしがルフラン殿下を癒して差し上げますね。
学園でもマイさんは、わたくしを見るとニヤニヤしながら嫌な笑い方をしています。
何を考えているのかさっぱり分かりませんが、ルフラン殿下に嫌われている貴女は彼に近づくことも出来ませんね。
貴女が何を企もうが、高貴なわたくしと卑しい娼婦のような貴女では相手にもなりませんわよ?
わたくしは次期王妃ですもの。
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